精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

抗精神病薬の早期処方選択が5年後の体重増加に及ぼす影響

【精神科】5 英国・マンチェスター大学のAdrian Heald氏らは、精神疾患1年目における抗精神病薬による治療が、その後5年間の体重増加に及ぼす影響を分析した。Neurology and Therapy誌2025年8月号の報告。  対象は、精神症、統合失調症、統合失調感情障害、妄想性障害、情動精神症と初めて診断された患者1万7,570例。5年間の体重変化を調査し、診断1年目に処方された抗精神病薬との関連を30年にわたり評価した。  主な結果は以下のとおり。

緑茶摂取量が多い日本人は認知症リスクが低下

 緑茶は、コーヒーと同様、認知症を予防する可能性が示唆されているが、それを裏付けるエビデンスは不十分である。新潟大学のRikuto Kaise氏らは、日本人中高年における緑茶摂取と認知症リスクとの独立した関連性および緑茶とコーヒー摂取の相互作用を明らかにするため、12年間のコホート研究を実施した。The Journal of Nutrition誌オンライン版2025年6月24日号の報告。  同研究は、加齢性疾患に関する村上コホート研究の12年間フォローアップ調査として実施した。対象は、地域在住の40〜74歳の日本人1万3,660人(男性:6,573人[48.1%]、平均年齢:59.0±9.3歳)。ベースライン調査は、2011〜13年に行った。自己記入式質問票を用いて、性別、年齢、婚姻状況、教育、職業、体格、身体活動、喫煙、アルコール摂取、紅茶・コーヒーの摂取、エネルギー摂取量、病歴などの予測因子と関連する情報を収集した。緑茶摂取量は、検証済み質問票を用いて定量的に測定した。認知症発症は、介護保険データベースを用いて特定した。

高齢者への不眠症治療、BZD使用で睡眠の質が低下

 高齢者の不眠症治療は、ベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)およびベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZRA)の頻繁な使用と関連しており、慢性的な使用により睡眠調節や認知機能に悪影響を及ぼすことが報告されている。しかし、高齢者の記憶において、きわめて重要であるNREM低周波波動(SO)および紡錘波に対するBZD/BZRAの影響については、ほとんどわかっていない。カナダ・Concordia UniversityのLoic Barbaux氏らは、BZD/BZRAの慢性的な使用が、睡眠メカニズム、脳波の相対的パワー、SOおよび紡錘波の特性、結合に及ぼす影響について調査した。Sleep誌オンライン版2025年6月17日号の報告。  高齢被験者101例(年齢:66.05±5.84歳、年齢範囲:55〜80歳、女性の割合:73%)を対象に、習慣化ポリソムノグラフィー(PSG)後2夜目のデータを解析し、睡眠良好群(28例)、不眠症群(26例)、BZD/BZRA慢性使用不眠症群(47例、ジアゼパム換算6.1±3.8mg/回、週3夜超)の3群に分類した。睡眠構造、脳波(EEG)相対スペクトル、関連する脳波活動について、SOおよび紡錘波、そしてそれらの時間的結合に焦点を当て、包括的に比較した。

AI支援で脳画像を用いた認知症タイプの診断精度が向上

 新たに開発されたAIツールが、患者が罹患している認知症タイプの特定に役立つ可能性のあることが明らかになった。この「StateViewer」と呼ばれるAIツールにより、認知症を含む9種類の神経変性疾患症例の89%において疾患を特定できたという。米メイヨー・クリニック神経学人工知能プログラムのディレクターであるDavid Jones氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に6月27日掲載された。  研究グループによると、このツールは、患者が認知障害の一因となっている可能性のある病状を抱えている場合でも、医師が認知症を早期かつ正確に特定するのに役立つ可能性があるという。Jones氏は、「私のクリニックを訪れる全ての患者は、脳という複雑な器官によって形作られたそれぞれに異なる物語を抱えている。私を神経学へと導いたのはその複雑さであり、今もそれが、より明確な答えを求める私の原動力となっている」と話す。その上で同氏は、StateViewerは同氏の情熱の表れであり、「神経変性疾患のより早期の理解と適切な治療に加え、将来的にはこれらの疾患の経過を変えるための1歩につながる」と述べている。

高所得のアジア太平洋地域の男性片頭痛、女性とは対照的に増加傾向

 片頭痛は有病率の高い神経疾患であり、年齢や性別を問わず生活の質に大きな影響を及ぼす疾患である。さまざまな人口統計学的グループでの影響が報告されているが、既存の研究は主に一般集団、女性、青少年に焦点が当てられており、男性が経験する片頭痛負担については、十分に調査されていなかった。中国・同済大学のHaonan Zhao氏らは、男性における30年にわたる片頭痛の影響に関する知見を明らかにするため、1990〜2021年の世界疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors study:GBD)のデータを用いて、10〜59歳の男性片頭痛の世界的な有病率、発症率、障害調整生存年(DALY)を評価した。Frontiers in Neurology誌2025年6月6日号の報告。

青年期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの長期安全性

 米国・Evolution Research GroupのSarah D. Atkinson氏らは、青年期統合失調症の維持療法として非定型抗精神病薬ブレクスピプラゾールを使用した際の長期的な安全性および忍容性を評価するため、24ヵ月多施設共同単群オープンラベル試験を実施し、その中間解析結果を報告した。JAACAP Open誌2024年5月27日号の報告。  対象は、13〜17歳の統合失調症患者。経口ブレクスピプラゾール1〜4mg/日(可変用量)を投与した。主要エンドポイントは、治療関連有害事象(TEAE)、重症度別TEAE、重篤なTEAE、治療中止に至った有害事象の発現率とした。  主な結果は以下のとおり。

昼~午後早い時間の昼寝、死亡リスクが上昇する可能性

 中高年層にとって午後の昼寝は魅惑的かもしれないが、大きな代償を伴う可能性があるようだ。特定の昼寝パターンを持つ人では、全死因死亡リスクが高まる可能性のあることが、米マサチューセッツ総合病院のChenlu Gao氏らによる研究で明らかになった、この研究結果は、米国睡眠医学会(AASM)と米睡眠学会(SRC)の合弁事業であるAssociated Professional Sleep Societies, LLC(APSS)の年次総会(SLEEP 2025、6月8〜11日、米シアトル)で報告された。  Gao氏は、「健康や生活習慣の要因を考慮しても、日中に長く眠る人や日中の睡眠パターンが不規則な人、正午から午後の早い時間に多く眠る人は全死因死亡のリスクが高かった」とAPSSのニュースリリースで述べている。

老年期気分障害における多様なタウ病理がPET/剖検で明らかに

 老年期気分障害は、神経変性認知症の前駆症状の可能性がある。しかし、うつ病や双極症を含む老年期気分障害の神経病理学的基盤は依然としてよくわかっていない。国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の黒瀬 心氏らは、老年期気分障害患者におけるアルツハイマー病(AD)および非ADタウ病態の関与について調査した。Alzheimer's & Dementia誌2025年6月号の報告。  対象は、老年期気分障害患者52例および年齢、性別をマッチさせた健康対照者47例。18F-florzolotauおよび11C-Pittsburgh compound Bを用いたtau/Aβ PET検査を実施した。さらに、さまざまな神経変性疾患を含む208例の剖検例における臨床病理学的相関解析を行った。

悪夢は早期死亡リスクを高める

 悪夢に関しては、「死ぬほど怖い」という表現が当てはまる可能性があるようだ。悪夢を頻繁に見る人は生物学的年齢が進んでおり、早死にするリスクが約3倍高まることが、新たな研究で明らかにされた。この研究結果は、英インペリアル・カレッジ・ロンドン(UCL)の神経科学者であるAbidemi Otaiku氏により、欧州神経学会(EAN 2025、6月21〜24日、フィンランド・ヘルシンキ)で発表された。  Otaiku氏は、「睡眠中の脳は夢と現実を区別することができない。それゆえ、悪夢を見て目が覚めたときにはたいていの場合、汗をかいて息を切らし、心臓がドキドキしている。これは、闘争・逃走反応が引き起こされているからだ。このストレス反応は、起きている間に経験するどんなことよりも激しい場合がある」と同氏は話す。

砂糖/人工甘味料入りドリンクはアルツハイマー病リスクを高める可能性あり

 Lebanese UniversityのNagham Jouni氏らは、加糖ドリンク、人工甘味料入りドリンク、ソフトドリンクの摂取とアルツハイマー病リスクとの関連性を評価するため、プロスペクティブコホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Aging & Mental Health誌オンライン版2025年6月13日号の報告。  2024年9月までに公表された研究をPubMed、Scopus、Web of Scienceデータベースより網羅的に検索し、甘味料入りドリンクとアルツハイマー病リスクとの関連を報告した観察研究を抽出した。ランダム効果モデルを用いて、プールされた相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。バイアスリスクの評価にはROBINS-Iツール、エビデンスの確実性の評価にはGRADEアプローチを用いた。