精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

自閉スペクトラム症の易怒性に対するメトホルミン補助療法の有用性

 糖尿病治療薬は、自閉スペクトラム症(ASD)の症状緩和に有効であることが示唆されている。しかし、メトホルミンがASDに伴う易怒性に及ぼす影響についての臨床研究は、不十分である。イラン・テヘラン医科大学のZahra Bazrafshan氏らは、小児ASD患者の易怒性に対するリスペリドン+メトホルミン補助療法の有効性および安全性を評価するため、10週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2024年12月15日号の報告。

ネグレクトは子どもの発達にダメージを与え得る

 ネグレクトは身体的虐待や性的虐待、感情的虐待と同様に子どもの社会的発達にダメージを与え得ることを示した研究結果が明らかになった。基本的な欲求が満たされない子どもは、友人関係や恋愛関係を築く能力が生涯にわたって損なわれる可能性があるという。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校社会学分野のChristina Kamis氏と米ノートルダム大学社会学分野のMolly Copeland氏による研究で、詳細は「Child Abuse and Neglect」2024年12月号に掲載された。  Kamis氏らは、思春期の子どもの健康状態を成人期まで追跡調査している米連邦政府の長期研究(National Longitudinal Study of Adolescent to Adult Health;Add Health)調査参加者9,154人のデータを分析し、マルトリートメント(ネグレクトや虐待などの不適切な養育)が参加者の社会性や仲間からの人気度、社会と強固なつながりを築く能力に及ぼす影響について調べた。参加者は、7~12年生時(1994〜1995年)に初回の調査を受け、その後、第3次調査(2001〜2002年)および第4次調査(2008〜2009年)も受けていた。

成人ADHDに対するさまざまな治療の有用性比較〜ネットワークメタ解析

 成人の注意欠如多動症(ADHD)に対する利用可能な介入のベネフィットとリスクの比較は、これまで十分に行われていなかった。英国・オックスフォード大学のEdoardo G. Ostinelli氏らは、これらの重要なギャップを解消し、将来のガイドライン作成に役立つ入手可能なエビデンスを包括的に統合するため、システマティックレビューおよびコンポーネントネットワークメタ解析(NMA)を実施した。The Lancet Psychiatry誌2025年1月号の報告。  2023年9月6日までに公表された、成人ADHDに対する薬理学的および非薬理学的介入を調査した発表済みおよび未発表のランダム化比較試験(RCT)を複数のデータベースより検索した。ADHDと診断された18歳以上の成人に対する症状改善を目的とした治療介入群と対照群またはその他の適格な積極的介入群を比較したRCTの集計データを含めた。薬理学的介入は、国際ガイドラインに従い最大計画投与量が適格であると判断された研究のみを対象とした。薬理学的介入は1週間以上、心理学的介入は4セッション以上、神経刺激的介入は適切とみなされる任意の期間であったRCTを分析に含めた。薬物療法、認知機能トレーニング、神経刺激単独療法のRCTについては、二重盲検RCTのみを対象に含めた。2人以上の研究者により、特定された研究を独立してスクリーニングし、適格なRCTよりデータを抽出した。主要アウトカムは、有効性(12週間に最も近い評価時点における自己評価および臨床医評価尺度によるADHDの中核症状の重症度変化)および受容性(すべての原因による治療中止)とした。介入を特定の治療要素に分解し、ペアワイズランダム効果およびコンポーネントNMAを使用して、標準化平均差(SMD)およびオッズ比(OR)を推定しました。研究および執筆には、成人ADHDの実体験を有する人が関与した。

日本人の認知症予防に有効な緑茶やコーヒーの摂取量は

 緑茶やコーヒーには認知機能低下の予防効果があることが報告されているが、認知機能に対する長期的な影響は、よくわかっていない。慶應義塾大学の是木 明宏氏らは、中年期における緑茶やコーヒーの摂取が認知症予防に及ぼす影響を調査した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2025年1月8日号の報告。  JPHC佐久メンタルヘルスコホートには、1,155人(1995年時点の年齢:44〜66歳)の参加者が含まれた。参加者の緑茶およびコーヒーの摂取量は、1995年と2000年のアンケートにより評価した。認知機能レベルは、2014〜15年に神経心理学的評価を行った。有意な認知機能低下(マルチドメイン認知機能低下およびより重篤な状態と定義)を従属変数としてロジスティック回帰分析を行った。性別および年齢による層別化解析も行った。

ブレクスピプラゾールは統合失調症患者の精神症状だけでなくQOLも改善

 統合失調症治療では、感情的、身体的、社会的、認知機能的な領域にわたる健康的な生活への関与と関連する因子の向上が重要である。カナダ・カルガリー大学のZahinoor Ismail氏らは、統合失調症患者の健康的な生活への関与に対するブレクスピプラゾールの短期的および長期的な影響を評価するため、臨床試験データの事後分析を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2025年1月3日号の報告。  成人統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性および安全性を評価した臨床試験のデータを分析した。臨床試験には、6週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験3件(1,385例)、52週間の非盲検延長試験2件(408例)を含めた。患者の生活への関与は、妥当性が証明されている陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の14のサブセットを用いて測定した(スコア範囲:最高14〜最低98)。平均スコアの変化および治療反応率(臨床的に重要な最小差異推定値5ポイント以上および10ポイント以上)を算出した。

自閉スペクトラム症の世界的状況、20歳未満の健康負担のトップ10にランク

 自閉スペクトラム症(ASD)の疫学や健康ニーズに関する高品質の推定は、サービス計画者やリソース配分者にとって必要である。米国・Global Burden of Disease Study 2021 Autism Spectrum Collaboratorsは、疫学データと負担推定方法改善後の世界疾病負担研究(GBD)2021より、ASDの世界的な有病率および健康負担を報告した。The Lancet Psychiatry誌オンライン版2024年12月19日号の報告。  GBD 2021では、PubMed、Embase、PsycINFO、Global Health Data Exchangeより検索し、専門家との協議を含むシステマティック文献レビューにより、ASDの疫学に関するデータを特定した。適格データより有病率を推定するため、ベイズメタ回帰ツール(DisMod-MR 2.1)を用いた。モデル化された有病率および障害の重み付けを用いて、致死的でない健康負担(障害生存年数[YLD])および全体的な健康負担(障害調整生存年数[DALY])を推定した。民族別のデータは入手できなかった。本研究のデザイン、準備、解釈、執筆には、ASDの経験を有する人が関わった。

自分の飲酒量は仲間次第で変わる?

 飲酒量は仲間次第で変化するという研究結果が報告された。お酒をたくさん飲む人が身近にいる場合は自分が飲む量も多くなり、飲まない人がそばにいる場合は少なくなるという。  この研究は、アムステルダム大学(オランダ)のMaarten van den Ende氏らによるもので、結果の詳細は「Alcohol: Clinical and Experimental Research」に1月1日掲載された。論文の筆頭著者である同氏は、「われわれの研究結果は、年齢にかかわりなく、周囲の人のつながりが個人の飲酒行動の形成に、極めて重要な役割を果たしていることを浮き彫りにしている」と話している。

毎日どのくらい歩くとうつ病予防に効果的か〜メタ解析

 1日の歩行は、心血管イベントや全死亡リスクを低下させ、保護的に作用することが、近年のエビデンスで報告されている。しかし、歩数に基づく健康アウトカムには、追加の推奨事項が含まれる可能性がある。スペイン・Universidad de Castilla-La ManchaのBruno Bizzozero-Peroni氏らは、一般成人における1日の歩数とうつ病との関連を総合的に評価した。JAMA Network Open誌2024年12月2日号の報告。  2024年5月18日までに公表された研究をPubMed、PsycINFO、Scopus、SPORTDiscus、Web of Scienceデータベースをシステマティックに検索し、メタ解析を実施した。対象研究には、身体活動、1日の歩数、うつ病などに関連するキーワードで検索した観察研究を含めた。補足的な検索方法も適用した。研究データには、客観的に測定された1日の歩数、うつ病に関するデータを含めた。PRISMA、MOOSEガイドラインに従い、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。独立した2人のレビューアーにより、データを抽出した。プールされたエフェクトサイズ(相関係数、標準化平均差[SMD]、リスク比[RR])、95%信頼区間(CI)の推定には、Sidik-Jonkmanランダム効果モデルを用いた。

自閉スペクトラム症と統合失調症の鑑別に有用な評価尺度は

 統合失調症と自閉スペクトラム症(ASD)は、別々の疾患として認識されているが、症状の類似性により鑑別診断が困難な場合が少なくない。昭和大学の中村 暖氏らは、統合失調症とASDの症状について類似点と相違点の特定、より有用で客観的な鑑別診断法の確立、統合失調症患者におけるASD特性を明らかにすることを目的に、本研究を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2024年12月18日号の報告。  対象は統合失調症患者40例(女性:13例、平均年齢:34±11歳)およびASD患者50例(女性:15例、平均年齢:34±8歳)。自閉症診断観察尺度第2版(ADOS-2)およびその他の臨床尺度を用いて評価を行った。

25種類の治療抵抗性うつ病治療の有効性比較〜ネットワークメタ解析

 オーストリア・ウィーン医科大学のJohan Saelens氏らは、治療抵抗性うつ病に対するさまざまな抗うつ薬治療を比較し、エビデンスに基づく治療選択を促進するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2024年12月30日号の報告。  2つ以上の抗うつ薬試験で治療反応が認められなかった成人うつ病を対象に実施されたランダム化比較試験(RCT)を対象研究とした。2023年4月13日までに公表された研究をPubMed、Cochrane Library、Embaseより検索した。すべてのRCTは、研究群が10例以上で構成され、双極性うつ病または精神病性うつ病患者は除外された。研究の質の評価には、Cochrane Risk of Bias Tool-2を用いた。主要アウトカムは、治療反応率とした。ランダム効果ネットワークメタ解析を用いてオッズ比(OR)を算出した。