精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

若年性認知症リスクとMetSとの関連

 若年性認知症は、社会および医療において大きな負担となっている。メタボリックシンドローム(MetS)は、晩年の認知症の一因であると考えられているが、若年性認知症への影響はよくわかっていない。韓国・Soonchunhyang University Seoul HospitalのJeong-Yoon Lee氏らは、MetSおよびその構成要素が、すべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症を含む若年性認知症リスクを上昇させるかを明らかにするため、本研究を実施した。Neurology誌2025年5月27日号の報告。

女性のオーガズム持続性とADHD症状との関係

 注意欠如多動症(ADHD)症状の有無による女性のオーガズムの持続性の違いを評価するため、カナダ・Kwantlen Polytechnic UniversityのTina Jensen-Fogt氏らは、十分な検出力を有する事前登録制オンライン調査より、性的自己主張および性的態度といったこれまで検討されていない構成要素を対照に調査を行った。Journal of Sex Research誌オンライン版2025年4月21日号の報告。  対象は、Qualtricsという調査プラットフォームを通じてオンライン調査に回答した18歳以上、過去6ヵ月間で1人以上のパートナーと性交を有する女性(シスジェンダー)815人(平均年齢:28.93±9.23歳)。既存のADHD診断は不要とした。

アルツハイマー病のアジテーション、日本におけるブレクスピプラゾールの長期安全性

 アジア人アルツハイマー病患者におけるアジテーション(攻撃的行動および発言、非攻撃的行動の亢進、焦燥を伴う言動等)の治療に対するブレクスピプラゾールの長期安全性および有効性は、明らかとなっていない。香川大学の中村 祐氏らは、第II/III相試験において10週間の二重盲検投与期間を完了した日本人患者におけるブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日を14週間投与した場合の安全性および有効性を評価した。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2025年4月16日号の報告。  本試験は、多施設共同第III相オープンラベル試験である。元試験において、プラセボまたはブレクスピプラゾール1mg/日または2mg/日の10週間投与を完了した患者を、本延長試験に組み入れた。主要エンドポイントは、有害事象の発現頻度とした。

帯状疱疹ワクチンで認知症の発症リスクを低減できる可能性(解説:小金丸博氏)

「帯状疱疹ワクチンの接種が、認知症の発症リスクを低減する可能性がある」。この仮説は近年の観察研究で示唆されてきたが、2025年になってそれを強く支持する2つの高品質な準実験的研究がNature誌およびJAMA誌に相次いで報告され、大きな注目を集めている。まず、先行研究としてウェールズでの研究結果が2025年4月2日号のNature誌に報告された。2013年にウェールズで導入された帯状疱疹ワクチン接種プログラムでは、1933年9月2日以降に生まれた人が接種対象となり、それ以前に生まれた人は対象外とされた。この明確な誕生日による区分を利用し、年齢のみがわずかに違うと推定される2つの集団を比較することで、交絡因子の影響を最小限に抑えた。その結果、ワクチン接種者では、7年間の追跡期間中に認知症と診断されるリスクが20%低下(3.5%ポイントの絶対リスク減少)し、この効果はとくに女性で顕著であった。

日本における治療抵抗性うつ病患者と医師の重要視しているポイントの違い

 福岡大学の堀 輝氏らは、抗うつ薬治療で効果不十分な日本人うつ病患者の臨床成績に対する医師と患者が重視するポイントの違いを、臨床的に意義のある最小差(MCID)の概念を適用して調査した。Frontiers in Psychiatry誌2025年3月26日号の報告。  本研究は、うつ病患者に対するブレクスピプラゾール2mg/日の増強療法を評価した52週間の非盲検多施設共同研究の事後分析として実施された。Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)スコア、シーハン障害尺度(SDS)スコア、EuroQol-5 dimension-5 level (EQ-5D-5L)から導き出された効用スコアにおけるMCIDを決定した。医師と患者の回答におけるMADRS、SDS、効用スコアの曲線下面積(AUC)との相関係数を比較した。

米国では孤独感を抱える人は高齢層よりも中年層に多い

 社会的孤立は認知症、健康問題、精神障害、死亡のリスクを高めるため、老化の専門家の間では高齢者の孤独が大きな懸念事項となっている。しかし、少なくとも米国においてはその懸念はやや見当違いであり、むしろ中年層の方が高齢層よりも孤独を感じている実態が明らかになった。米エモリー大学ロリンズ公衆衛生大学院のRobin Richardson氏らによるこの研究結果は、「Aging and Mental Health」に4月21日掲載された。  Richardson氏は、「一般的に、加齢に伴い孤独感は増すと考えられているが、米国では、実際には中年層の方が高齢層よりも孤独を感じている人が多い」と同大学のニュースリリースで述べている。同氏はさらに、「孤独の蔓延に対処するためのこれまでの支援活動や介入策は高齢者や青少年に焦点が当てられてきた。中年層は、重要な対象であるにもかかわらず、見過ごされている」と指摘する。

カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連

 アルツハイマー病は、世界的な健康問題として深刻化しており、疾患進行に影響を及ぼす可能性のある改善可能な生活習慣因子への関心が高まっている。この生活習慣因子の中でも、カフェイン摂取は潜在的な予防因子として期待されているものの、そのエビデンスは依然として複雑であり、完全に解明されていない。パキスタン・Rehman Medical InstituteのZarbakhta Ashfaq氏らは、カフェイン摂取とアルツハイマー病進行との関連性についてのエビデンスをシステマティックにレビューし、評価した。Cureus誌2025年3月20日号の報告。

アリピプラゾール持続性注射剤の治療継続に影響する要因

 アリピプラゾール持続性注射剤(LAI)は、有効性が良好であり、臨床現場で広く用いられる薬剤である。注目すべきことに、韓国人集団におけるアリピプラゾールLAIの治療継続に及ぼす要因を検討した研究は、これまでなかった。韓国・Inha University College of MedicineのSoyeon Chang氏らは、アリピプラゾールLAIの治療継続に影響を及ぼす実臨床における要因を明らかにするため、1年間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2025年5月31日号の報告。  韓国・Inha University Hospitalにおいて、アリピプラゾールLAI治療を開始した患者68例を対象に、1年間のレトロスペクティブコホート研究を実施した。患者の診療記録をレビューし、治療継続率、継続中止までの期間、継続中止理由の評価を行った。

重症精神疾患に対する抗精神病薬+メトホルミン併用の有用性

 候補薬剤である。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのLuiza Farache Trajano氏らは、SGAによる治療を開始する重症精神疾患患者におけるメトホルミン併用の割合、有病率、人口統計学的パターンを明らかにし、SGA開始後2年間におけるメトホルミン併用が体重変化に及ぼす影響を推定するため、コホート研究を実施した。BMJ Mental Health誌2025年4月2日号の報告。  Clinical Practice Research Datalinkのプライマリケアデータを用いて、2005〜19年にアリピプラゾール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンによる治療を開始した重症精神疾患患者を対象に、コホート研究を実施した。メトホルミン併用の累積割合、期間有病率を推定し、人口統計学的および臨床的因子による併用処方率の違いを調査した。交絡因子を考慮し、SGA単独またはSGA+メトホルミン併用で治療された患者の体重変化について線型回帰法を用いて比較した。

青年期統合失調症に対するブレクスピプラゾールの短期的有用性〜第III相試験

 青年期の統合失調症に対する現在の治療は、不十分であり、新たな治療オプションが求められている。米国・Otsuka Pharmaceutical Development & CommercializationのCaroline Ward氏らは、青年期統合失調症に対するブレクスピプラゾール治療の短期的有効性および安全性を評価するため、10ヵ国、62施設の外来診療における国際共同ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。The Lancet Psychiatry誌2025年5月号の報告。  同試験の対象は、DSM-5で統合失調症と診断され、スクリーニング時およびベースライン時に陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)合計スコア80以上であった13〜17歳の患者。ブレクスピプラゾール群(2〜4mg/日)、プラセボ群、アリピプラゾール群(10〜20mg/日)のいずれかに1:1:1でランダムに割り付けられた。主要有効性エンドポイントは、PANSS合計スコアのベースラインから6週目までの変化とした。安全性は無作為に割り付けられ、試験薬を1回以上投与された患者について評価を行った。