リハビリテーション科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

実験段階のデバイスが筋肉のパフォーマンスをリアルタイムでフィードバック

 実験段階にあるワイヤレスデバイスが、アスリートの筋肉の断裂や捻挫、筋損傷からの回復の一助となる可能性があることを示唆する新たな研究の結果が明らかになった。米デューク大学機械工学・材料科学分野のXiaoyue Ni氏らによるこの研究の詳細は、「Science Advances」9月3日号に掲載された。  このデバイスは体表面に音波を送り、それによって生じた振動を検出することで、組織の硬さを測定できるという。Ni氏らは、「ちょうど、絵を壁に掛けるときに、間柱を探そうとして壁をたたくのと同じだ。間柱のない所をたたくと低い音がするが、間柱のある所をたたくとより高い音がする」と話す。同氏らによると、組織の硬さは医師にとって重要な情報であり、がんの診断や蘇生、筋肉損傷など、さまざまな問題の把握に役立つという。しかし現状では、組織の硬さを測定するには大型で高価な超音波装置が必要である。

脳卒中リハビリテーション、レボドパ追加は有効か/JAMA

 レボドパは、脳卒中発症後の運動機能の回復を促進する可能性が示唆されているが、有効性に関するエビデンスは肯定・否定が混在するにもかかわらず、脳卒中リハビリテーションに補完的に使用されているという。スイス・バーゼル大学のStefan T. Engelter氏らの研究チームは「ESTREL試験」において、急性期脳卒中患者に対する入院リハビリテーションでは、標準的リハビリテーションにプラセボを加えた場合と比較してレボドパの追加は、3ヵ月後の運動機能の改善をもたらさないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年9月22日号で発表された。

フレイル高齢者における心リハの新展開(解説:野間重孝氏)

心筋梗塞後の心臓リハビリテーション(心リハ)は、これまで多数の臨床試験やメタアナリシスによりその有効性が検証されてきた。従来の複数の研究において、運動耐容能や生活の質の改善に加えて、全死亡や心血管死の低下といった予後改善効果も報告されている。しかし、その対象は比較的若年で活動的な患者が中心であり、フレイルや身体機能低下を伴う高齢者に関するエビデンスは乏しかった。実臨床においてはむしろこの層の患者が多いにもかかわらず、十分に検討されてこなかった点は大きな課題であった。

心筋梗塞後の高齢患者、多領域リハビリで予後改善/NEJM

 心筋梗塞で入院し退院後1ヵ月時点の受診時評価で身体機能が低下した65歳以上の高齢患者において、多領域(multidomain)リハビリテーションによる介入は通常ケアと比較し、1年以内の心血管死または心血管疾患による予定外入院(複合アウトカム)の発生を有意に減少させた。イタリア・フェラーラ大学病院のElisabetta Tonet氏らが、同国で行われた研究者主導の多施設共同優越性試験「Physical Activity Intervention in Elderly Patients with Myocardial Infarction trial:PIpELINe試験」の結果を報告した。心筋梗塞後に身体機能が低下した65歳以上の高齢患者に対する、リハビリテーション介入の有益性は明らかになっていなかった。NEJM誌2025年9月11日号掲載の報告。

システム統合型の転倒予防プログラムは高齢者に有効か/JAMA

 世界的に高齢化が急速に進む中、医療資源に乏しい地域に居住する高齢者における効果的な転倒予防戦略のエビデンスは十分ではないとされる。中国・Harbin Medical UniversityのJunyi Peng氏らは、同国農村部の転倒リスクがある高齢者において、プライマリヘルスケアのシステムに組み込まれた転倒予防プログラムの有効性を評価する、12ヵ月間の実践的な非盲検クラスター無作為化並行群間比較試験「FAMILY試験」を実施し、転倒のリスクが有意に低減したことを明らかにした。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年8月25日号で報告された。

歩き方を少し変えることで膝の痛みが大幅に軽減するかも?

 歩くときの爪先の角度を個別に修正することで、変形性膝関節症の痛みを大幅に軽減できる可能性のあることが新たな研究で示された。また、この治療アプローチにより膝にかかる負荷が軽減され、変形性膝関節症の進行を遅らせることができる可能性があることも示唆されたという。米ニューヨーク大学(NYU)グロスマン医科大学のValentina Mazzoli氏らによるこの研究結果は、「The Lancet Rheumatology」に8月12日掲載された。  Mazzoli氏は、「この研究結果は、膝関節への負荷を減らす上で最適な爪先の角度を見つけるのを手助けすることが、初期の変形性膝関節症に対処するための容易で安価な方法となり得ることを示唆している」と述べている。同氏はさらに、「この治療戦略を用いることで、患者の鎮痛薬への依存が軽減され、膝関節置換術が必要となるまでの時間を延長できる可能性がある」とNYUのニュースリリースの中で付け加えている。

成人遅発型ポンペ病に2種類併用の治療薬を発売/アミカス

 アミカス・セラピューティクスは、成人遅発型ポンぺ病を対象とする新規併用療法の治療薬であるシパグルコシダーゼ アルファ(商品名:ポムビリティ)とミグルスタット(同:オプフォルダ)を8月27日に発売した。  ポンぺ病(糖原病II型)は、ライソゾーム内のグリコーゲンの分解に関与する酵素である酸性α-グルコシダーゼ(GAA)をエンコードする遺伝子の突然変異によって起こる希少疾病。この酵素の機能障害により、ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積し、細胞機能の障害が進行し、筋力、運動および肺機能が低下する。患者は、全世界で5,000~1万人と推定され、わが国では約130人とされている。

運動ベースの心臓リハビリは心房細動患者にも有効

 医師は、心筋梗塞や心不全を発症した患者にしばしば運動ベースの心臓リハビリテーション(以下、心臓リハビリ)を処方する。新たな研究で、そのような心臓リハビリプログラムは心房細動(AF)と呼ばれる一般的な不整脈を有する患者にも適しており、症状の改善にも役立つ可能性のあることが示された。英リバプール心臓血管科学センターのBenjamin Buckley氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に7月29日掲載された。  運動ベースの心臓リハビリには、運動トレーニングに加えて、個別化された生活習慣リスクの管理、心理社会的介入、医学的リスク管理、健康行動に関する教育が含まれている。こうしたリハビリは、心筋梗塞を起こした患者や心不全と診断された患者、あるいは冠動脈ステント留置術を受けた患者に用いられるが、AF患者に適しているかどうかは不明なため、国際的なAF治療ガイドラインには含まれていない。

腰痛の重症度に意外な因子が関連~日本人データ

 主要な生活習慣関連因子と腰痛の重症度・慢性度との関連について、藤田医科大学の川端 走野氏らが日本の成人の全国代表サンプルで調査したところ、脂質異常症が腰痛重症度に関連し、喫煙が腰痛の重症度および慢性度の両方に関連していることが示された。PLoS One誌2025年7月30日号に掲載。  本研究では、無作為に抽出した20~90歳の日本人5,000人を対象に全国横断調査を実施。2,188人から有効回答を得た。現在の腰痛の有無、腰痛の重症度(痛みなし/軽度または中等度/重度)、慢性腰痛の有無により層別解析を行った。主な生活習慣関連因子は、BMI、飲酒、喫煙、運動習慣、併存疾患(脂質異常症、糖尿病、高血圧)、体型に関する自己イメージなどで、多変量ロジスティック回帰分析により各因子との関連の有無を評価した。

バイオニック膝関節を用いた義足で下肢切断患者の動きが改善

 「より良く、より強く、より速く」。これはテレビドラマシリーズ『600万ドルの男(Six Million Dollar Man)』に登場するバイオニック・マンのキャッチフレーズだが、近い将来、足を膝上で切断した人にも同じ言葉が当てはまるようになるかもしれない。米マサチューセッツ工科大学(MIT)K. Lisa Yangバイオニクス・センター共同ディレクターのHugh Herr氏らが、オッセオインテグレーテッド・メカノニューロナル人工装具(OMP)と呼ばれるバイオニック膝関節を用いた義足(以下、バイオニック義足)によって切断患者の歩行速度が向上し、階段の昇降も楽になり、障害物をうまく避けられるようになったとする研究結果を、「Science」に7月10日発表した。