リハビリテーション科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:1

筋トレを数週間休んでも再開後は速やかに筋肉が元に戻る

 ウェイトトレーニングをしている人の中には、何らかの理由でしばらくジム通いができなくなったときに、筋肉量や筋力が大きく低下してしまうことを心配する人がいるかもしれない。しかし、新たな研究により、たとえ数週間トレーニングを休んだとしても、再開すれば速やかに元のレベルに回復することが分かった。ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のEeli Halonen氏らの研究によるもので、詳細は「Scandinavian Journal of Medicine and Science in Sports」に10月4日掲載された。

50歳を過ぎたら30秒間片足立ちできるかが老化の指標に?

 50歳以上の人では、片足立ちできる時間が自分の老化の程度を知る指標となるようだ。新たな研究で、片足、特に利き足でない側の足(非利き足)で30秒間立つことができるかが、筋力や歩行の変化よりも老化をよく反映する重要な指標であることが明らかになった。論文の上席著者である米メイヨー・クリニック動作分析研究所所長のKenton Kaufman氏は、「バランスの維持は、筋力に加え、視覚、前庭系、体性感覚系からの入力を必要とするため、老化の重要な指標となる」と述べている。この研究結果は、「PLOS ONE」に10月23日掲載された。

運動を週末にまとめてしても、200種類の疾患リスクが減少

 忙しくて運動を毎日続けることが難しいという人に、朗報といえるデータが報告された。毎日運動するのと週末に集中して行うのとで、健康に対して同程度のプラス効果を期待できるという。米マサチューセッツ総合病院不整脈センターのShaan Khurshid氏らの研究の結果であり、詳細は「Circulation」に9月26日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「健康のための運動で最も大切なことは、運動のスケジュールではなく運動の総量なのかもしれない」と語っている。  運動に関するガイドラインでは一般的に、中~高強度の運動を1週間に150分以上行うことが推奨されているが、その運動を毎日20分ずつ程度に小分けして行うのと、数日にまとめて行うのとで、健康への影響力が異なるのかという点については、十分検討されていない。そこでKhurshid氏らは、英国の大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いた検討を行った。

発酵乳製品、加齢による歩行速度の低下を抑制

 発酵乳製品が加齢に伴う歩行速度の低下を抑制することを示唆するデータが報告された。摂取頻度の多寡によって、男性では歩行速度に7.3年分に相当する差が生じ、さらに日常の歩数の多寡も考慮した場合、最大で22.0年分の差が生じる可能性があるという。東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室の青栁幸利氏らの研究によるもので、詳細は「Beneficial Microbes」に7月5日掲載された。  加齢に伴い身体機能およびストレス耐性が低下した、要介護予備群とも言える「フレイル」への公衆衛生対策が急務となっている。

高齢男性の筋肉量、食事摂取量に左右されず?

 地域在住高齢者の筋肉量の多寡と食事・栄養素摂取量の関係を、性別に検討した結果が報告された。女性で筋肉量の少ない人は食事摂取量が少ないが、男性はそのような差がないという。順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の加賀英義氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Geriatrics」に7月18日掲載された。著者らは、性差に配慮したサルコペニア予防戦略の必要性を指摘している。  高齢社会の進展とともにサルコペニア(筋肉量や筋力低下)対策が公衆衛生上の喫緊の課題となっている。筋肉量や筋力を高めるために、タンパク質を中心とする十分な栄養素摂取が推奨されているが、高齢者の筋肉量と栄養素摂取量の関連については不明点も残されている。そこで加賀氏らは、都市在住高齢者コホート研究である「文京ヘルススタディ」のベースラインデータを横断的に解析し、詳細な検討を行った。

活動制限の有病率に、性差や国の経済水準による差はあるか/Lancet

 活動制限(activity limitation)の世界的な有病率は、男性よりも女性で、高所得国よりも低所得国や中所得国で大幅に高く、歩行補助具や視覚補助具、聴覚補助具の使用率のかなりの低さも手伝ってこの傾向は顕著であるため、活動制限の影響を軽減するための公衆衛生キャンペーンの焦点となりうる重要な課題であることが、カナダ・マクマスター大学のRaed A. Joundi氏らが実施した「PURE研究」で示された。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2024年7月25日号に掲載された。  PURE研究は、活動制限の有病率と補助具の使用、および活動制限と有害なアウトカムとの関連の定量化を目的とする前向きコホート研究で、経済水準の異なる25ヵ国の個人データの解析を行った(カナダ・Population Health Research Instituteなどの助成を受けた)。

消毒の難しい器具の消毒、消毒用ワイプvs.UV+過酸化水素

 理学療法で用いられる器具の消毒は、消毒液を含浸したワイプを用いた消毒では不十分である可能性が示された。米国・デューク大学のBobby G. Warren氏らは、理学療法で使用される消毒の難しい器具について、消毒方法の効果を評価した。その結果、消毒液を含浸したワイプによる消毒では病原体が残存する可能性が高かったが、深紫外線(UV-C)と過酸化水素を用いた消毒方法は病原体の残存が抑制された。本研究結果は、Infection Control & Hospital Epidemiology誌オンライン版2024年7月26日号で報告された。

動機付け面接などの行動介入で、身体活動は増える?97試験のメタ解析/BMJ

 動機付け面接を含む行動介入は、総身体活動を増加させるがエビデンスの確実性は低く、中高強度身体活動(MVPA)の増加と座位時間の減少効果についてはエビデンスの確実性が非常に低かった。また、介入の効果は時間の経過と共に低下し、1年を超えて身体活動を増加させる動機付け面接の有用性を示すエビデンスは確認されなかった。英国・オックスフォード大学のSuFen Zhu氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。動機付け面接は患者を中心とした行動変容アプローチで、少数の臨床試験のこれまでのメタ解析では、慢性の健康障害を有する人々においては比較対照群より優れていることが報告されていたが、これらは効果を過大評価している可能性があった。BMJ誌2024年7月10日号掲載の報告。

ウォーキングに腰痛の再発防止効果

 腰痛がようやく治ったという人は、再発防止のためにウォーキングをすると良いようだ。オーストラリアの新たな研究で、ウォーキングを始めた人は、ウォーキングをしない人に比べて腰痛が再発するまでの期間がはるかに長かったことが示された。マッコーリー大学(オーストラリア)理学療法学教授のMark Hancock氏らによるこの研究結果は、「The Lancet」に6月19日掲載された。  本研究の背景情報によると、腰痛に悩まされている人は全世界で8億人以上に上る。腰痛患者の10人中7人は腰の痛みが和らぐものの、後に再発を経験する。本研究では、最近、特定の疾患を原因としない、24時間以上続く腰痛を経験している18歳以上の成人701人(平均年齢54歳、女性81%)を対象にランダム化比較試験を実施し、6カ月間にわたる個別化された段階的なウォーキングプログラムと理学療法士による教育セッションから成る介入が腰痛の再発予防に有効であるかどうかが検討された。対象者は、351人が介入群、350人が介入を提供されない対照群に割り付けられ、12カ月以上(最長36カ月間)追跡された。

定年退職前後の高強度トレーニングで老後も活動的に

 定年退職が視野に入ってきたら、高強度の筋力トレーニングをしておくと良いかもしれない。それにより、身体的に自立した生活にとって重要な下肢の筋力が、退職後にも長期間維持されるという。ウメオ大学(スウェーデン)のCarl-Johan Boraxbekk氏らの研究の結果であり、詳細は「BMJ Open Sport & Exercise Medicine」に6月18日掲載された。  筋力トレーニングによって、加齢による筋肉量や筋力の低下が抑制される。ただし筋力トレーニングを一定期間継続した後に、その効果がどれだけ長く維持されるのかという点はよく分かっていない。Boraxbekk氏らはこの点を検証するために、無作為化比較試験を実施した。