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2024/07/10
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リハビリテーション科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

手首の骨折の実態が明らかに―好発年齢は性別により顕著な差

 手首の骨折〔橈骨遠位端骨折(DRF)〕の国内での発生状況などの詳細が明らかになった。自治医科大学整形外科の安藤治朗氏、同大学地域医療学センター公衆衛生学部門の阿江竜介氏、石橋総合病院整形外科の高橋恒存氏らの研究によるもので、詳細は「BMC Musculoskeletal Disorders」に6月13日掲載された。  DRFは転倒時に手をついた際に発生しやすく、発生頻度の高い骨折として知られており、高齢化を背景に増加傾向にあるとされている。ただし日本国内でのDRFに関する疫学データは、主として骨粗鬆症の高齢者を対象とする研究から得られたものに限られていて全体像が不明。これを背景として安藤氏らは、北海道北部の苫前郡にある北海道立羽幌病院の患者データを用いて、全年齢層を対象としたDRFの疫学調査を行った。なお、北海道立羽幌病院は苫前郡で唯一、整形外科診療を行っている医療機関であり、同地域の骨折患者はほぼ全て同院で治療を受けている。そのため、著者によると、「単施設の患者データの解析ではあるが、骨折に関しては、地域全体の疫学研究に近似した結果を得られる」という。

椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛にはパルス高周波とステロイド注射の併用が有効

 腰椎椎間板ヘルニアにより坐骨神経痛を来した患者の疼痛緩和と障害改善において、パルス高周波(PRF)と経椎間孔ステロイド注射(TFESI)の併用療法は、TFESI単独よりも優れていることが、「Radiology」に3月28日報告された。  ローマ・ラ・サピエンツァ大学付属ポリクリニコ・ウンベルト・プリモ病院(イタリア)のAlessandro Napoli氏らは、12週間以上続く腰椎椎間板ヘルニアにより坐骨神経痛を来し、保存治療に反応しない患者を、CTガイド下でのPRFとTFESIの併用療法1回を受ける群(174人)と、TFESI単独療法1回を受ける群(177人)にランダムに割り付けた。治療後1週目と52週目に、下肢痛の重症度を数値評価スケール(NRS)で測定した。

タンパク質摂取で筋肉痛は抑えられない

 レジスタンス運動(筋肉に繰り返し負荷をかける運動)の前後にタンパク質を摂取することは、運動後の回復とトレーニング効果を高める一般的な戦略である。一方、タンパク質摂取が運動誘発性筋損傷(EIMD:いわゆる筋肉痛)を抑制できるのかについて調査した、英国・ダーラム大学のAlice G. Pearson氏らによるシステマティックレビューの結果が、European Journal of Clinical Nutrition誌2023年8月号に掲載された。  研究者らはPubMed、SPORTDiscus、Web of Scienceで2021年3月までの関連論文を検索し、運動後の各時点(24時間未満、24時間、48時間、72時間、96時間)におけるタンパク質摂取の効果と、EIMDを計る間接的マーカーのヘッジズ効果量(ES)を算出した。

筋トレは方法次第で1日3秒、週3日で効果あり!?

 「筋力トレーニングはつらいので嫌い」という人は、少なくないだろう。しかし1日3秒、週3日で効果があるとしたらどうだろうか。新潟医療福祉大学とオーストラリア・Edith Cowan Universityの研究グループは、1日3秒、週3日の全力の伸張性収縮(重りをゆっくりと降ろすなどの運動)を4週間実施することで、筋力が増加することを明らかにした。本研究結果は、吉田 麗玖氏(間庭整形外科医院)らによってEuropean Journal of Applied Physiology誌オンライン版2023年7月28日号で報告された。  健康な大学生26人を対象として、全力の伸張性収縮を1日3秒、週2日実施する群(週2日群)と1日3秒、週3日実施する群(週3日群)に均等に割り付け、4週間のトレーニングを実施した。4週間のトレーニング前後における短縮性収縮、等尺性収縮、伸張性収縮時の随時最大筋力の変化を群間比較した。また、上腕二頭筋、上腕筋の筋厚の変化も比較した。これらの結果は、先行研究において1日3秒、週5日のトレーニングを4週間実施した群(週5日群)とも比較した。

全ての指を1本ずつ動かせる義手の開発が前進

 腕の切断を余儀なくされた患者にとって、大きな進歩となる研究成果が報告された。米国、スウェーデン、オーストラリア、イタリアのエンジニアと外科医から成る国際共同研究グループが、生体工学の技術を用いて、1本1本の指を動かせる機能性の高い義手(バイオニックハンド)を開発したことを、「Science Translational Medicine」7月12日号に発表した。  失われた手足に代わるものとして最も広く使用されているのが義肢(義手、義足)である。しかし、義肢はコントロールが難しい場合が多く、動きも限定的になることがある。義肢のうち、生物学的な原理(筋肉の発する信号)を電子工学系の技術(センサー)で読み取ることで手の機能を再現しようとするバイオニックハンドでは、切断した腕に残された筋肉を使って義手をコントロールすることが選択肢として考えられる。患者は、残された筋肉を自在に収縮させられるため、収縮により電気信号を発生させることで、手を広げたり握ったりなどの指令を義手に伝えることができるからだ。しかし、肘より上からの切断など切断範囲が広い場合には、それを行うための十分な筋肉を得ることができない。

膝の痛みが消えてもメンタルヘルスは改善しない

 膝が痛くて気分が滅入ることはあるが、その痛みが和らいでもメンタルヘルスは改善しないようだ。身体機能や痛みが大幅に改善すると、不安症状は軽減するが、抑うつ症状は軽減しないことが、米ワシントン大学医学部整形外科分野のAbby Cheng氏らの研究で明らかにされた。米国立衛生研究所(NIH)から資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「JAMA Network Open」に6月28日掲載された。  背中や肩、股関節に痛みがある人が、イライラしたり、不安を感じたり、精神的に落ち込んだりするのは珍しいことではない。今回の研究では、ワシントン大学病院整形外科で筋骨格系の治療を、2015年6月22日から2022年2月9日の間に4〜6回受けた成人患者1万1,236人〔平均年齢(標準偏差)57(16)歳、女性64.2%〕を対象に、身体機能や痛みの影響が改善されることで不安や抑うつの症状も軽減するのかどうかが検討された。対象患者には、受診のたびに患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)と呼ばれる評価ツールに回答してもらい、これを基に不安と抑うつの症状、身体機能、痛みの影響のスコア化を行った。PROMISの質問には、「過去7日間で、痛みがどの程度、家事の妨げとなりましたか」「過去7日間で、痛みがどの程度、眠りにつく妨げとなりましたか」などの項目が含まれていた。

男性機能の維持にも、テストステロン増加に最適な運動/日本抗加齢医学会

 いくつになっても男性機能を維持させたい、死亡リスクを減らしたい、というのは多くの男性の願いではないだろうか―。「老若男女の抗加齢 from womb to tomb」をテーマに掲げ、第23回日本抗加齢医学会総会が6月9~11日に開催された。そのシンポジウムにて前田 清司氏(早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授)が『有酸素運動とテストステロン』と題し、肥満者のテストステロン増加につながる方法、男性機能を維持するのに適した運動について紹介した。  近年、国内の死因別死亡数では心血管疾患や脳血管疾患が上位に上っているが、肥満者(BMI≧25)が増加することでこの死因が押し上げられることが示唆されている1)。そのため、肥満者を減らせば心・脳血管疾患も減少傾向に転じる可能性がある。

変形性関節症には運動の継続を

 関節に痛みが生じた場合、ゆっくり休む必要があるように感じるかもしれないが、専門家の意見によると、それは正しい方法ではないようだ。椅子から立ち上がる時や階段を上る時に膝が痛む場合は、変形性膝関節症の可能性が考えられ、もしそうであるなら、適切な運動を続けた方が良いという。  「変形性関節症(OA)による痛みは、活動すると悪化して休息すると改善する。しかし、そうであっても費用対効果の最も高い治療法は運動だ」と語るのは、米テキサス大学サウスウェスタン医療センターのKathryn Dao氏だ。リウマチ専門医の同氏は、同医療センター発行のリリースの中で、「運動をすることで軟骨が形成されて、筋肉は強化され、関節機能と骨量が改善されることが研究で示されている。また、運動をしているOAの患者はバランスが良くなり、転倒のリスクが低下する」と解説する。

2型糖尿病の運動療法に最適な時間帯は?

 運動を午後の時間帯に行っている2型糖尿病患者は血糖コントロールがより良好になる可能性を示す、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のJingyi Qian氏らの研究結果が、「Diabetes Care」に5月25日掲載された。ただし研究者らは、この結果のみでは午後の運動を推奨することはできないと述べている。  この研究は、運動を行う時間帯を変えるという介入によって、血糖管理状態が変化するか否かを検証可能なデザインでは行われていない。それでも、午後に運動することで血糖コントロールがより良好になる機序についてQian氏は、「運動による血糖管理状態への影響は、絶食状態で行うよりも食後に行った方が大きい可能性があり、午後に運動をしている人の多くが食後に運動をしているのではないか。それに対して朝に運動をしている人は、運動をしてから朝食を食べることが多いと考えられる」との推論を述べている。とはいえ、「午後に運動をする時間を取れないからといって運動をすべきでないという意味ではない」とし、「時間帯や場所にとらわれず、運動をできるタイミングですべきだ」と同氏は推奨する。

薬剤師による運動介入でフレイル予防

 処方薬を受け取りに薬局を訪れた慢性疾患のある高齢者に対して、薬剤師が運動に関する簡単な情報提供を行うことが、フレイルの予防につながる可能性が報告された。一般社団法人大阪ファルマプラン社会薬学研究所の廣田憲威氏(研究時点の所属は武庫川女子大学薬学部臨床薬学研究室)らによる研究によるもので、詳細は「BMC Geriatrics」に4月7日掲載された。  フレイルはストレスに対する耐性が低下した状態で、介護リスクの高い「要介護予備群」。介護が必要な状態になってからの回復は困難なことが多いが、フレイル段階であれば、運動や食事の習慣を改善することで元の状態に戻ることができるため、早期介入が重要とされる。他方、地域の薬局には近年、調剤業務にとどまらず、地域住民の健康を支える機能が求められるようになってきた。フレイル予防に関しても、薬局での栄養評価などの試みの報告がなされてきている。ただし、運動介入の報告はまだない。今回の廣田氏らの研究は、以上を背景とするもの。