COPD・喘息の早期診断の意義(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)
COPD(chronic obstructive pulmonary disease:慢性閉塞性肺疾患)は2021年の統計で1万6,384例の死亡者数と報告されており、「健康日本21(第三次)」でもCOPDの死亡率減少が目標として掲げられている。気管支喘息も、年々死亡者数は減少しているとはいえ、同じく2021年の統計で1,038例の死亡者数とされており、ガイドラインでも「喘息死を回避する」ことが目標とされている。いずれも疾患による死亡を減少させるために、病院に通院していない、適切に診断されていないような症例をあぶり出していくことが重要と考えられている。しかしながら、疾患啓発や適正な診断は容易ではない。現在、COPD前段階ということで、「Pre COPD」や「PRISm」といった概念が提唱されている。閉塞性換気障害は認めないが画像上での肺気腫や呼吸器症状を認めるような「Pre COPD」や、同じく1秒率が閉塞性換気障害の定義を満たさないが、%1秒量が80%未満となるような「PRISm」であるが、それらの早期発見や診断、そして治療介入などが死亡率の減少に寄与しているかどうかについては明らかになっていない。