呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:12

新型コロナが世界の死因の第2位に(GBD 2021)/Lancet

 米国・ワシントン大学のMohsen Naghavi氏らGBD 2021 Causes of Death Collaboratorsは、「世界疾病負担研究(GBD)」の最新の成果としてGBD 2021の解析結果を報告した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、長期にわたる平均余命の改善や多くの主要な死因による死亡の減少が妨げられ、このような悪影響が地域によって不均一に広がった一方、COVID-19の流行にもかかわらず、いくつかの重要な死因の減少には継続的な進展がみられ、世界的な平均余命の改善につながったことが明らかとなった。研究の詳細は、Lancet誌オンライン版2024年4月3日号に掲載された。

特発性間質性肺炎の指定難病・診断基準改訂、外科的肺生検なしでも診断可能に/日本呼吸器学会

 間質性肺疾患は、2022年の日本人の死因の第11位となっており、対策の必要な疾患である。特発性間質性肺炎(IIPs)は、特発性肺線維症(IPF)を代表疾患とする原因不明の間質性肺炎の総称で、国の指定難病となっている。2024年4月より、本疾患の厚生労働省の診断基準および重症度分類基準が改訂され、蜂巣肺を伴わないIPFやIPF以外のIIPsでも外科的肺生検なしで認定可能になるなど大きな変更があった。そこで、第64回日本呼吸器学会学術講演会のランチョンセミナーにおいて、千葉 弘文氏(札幌医科大学医学部 呼吸器・アレルギー内科学講座 教授)が診断基準および重症度分類基準の改訂のポイントを解説した。

非高リスクコロナ患者、ニルマトレルビル・リトナビルvs.プラセボ/NEJM

 重症化リスクが高くない症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人外来患者において、COVID-19のすべての徴候または症状の持続的な緩和までの期間は、ニルマトレルビル/リトナビルとプラセボで有意差は認められなかった。米国・ファイザーのJennifer Hammond氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第II/III相試験「Evaluation of Protease Inhibition for COVID-19 in Standard-Risk Patients trial:EPIC-SR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビル/リトナビルは、重症化リスクがある軽症~中等症COVID-19成人患者に対する抗ウイルス治療薬であるが、重症化リスクが標準(重症化リスク因子のないワクチン未接種者)または重症化リスク因子を1つ以上有するワクチン接種済みの外来患者における有効性は確立されていなかった。NEJM誌2024年4月4日号掲載の報告。

肺がん化学放射線療法の症例データベース検索システムを共同開発/富士フイルム・AZ

 富士フイルムとアストラゼネカは、切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法(CRT)の過去症例を検索できるシステムを共同開発した。富士フイルムは、この検索機能を3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」にオプション機能として搭載した。SYNAPSE VINCENT Ver7.0は富士フイルムメディカルを通じて4月10日より提供を開始した。  今回開発したシステムは両社が2021年から共同で開発を進めてきた医療情報システムで、切除不能Stage III NSCLCに対するCRT症例の検索に加え、放射線治療計画の表示が可能。アストラゼネカが14の医療機関からNSCLCに対するCRT適用例1,900症例の放射線治療計画を収集し、富士フイルムがデータベース化および検索機能の開発を行った。

アレクチニブ1次治療肺がん患者のリアルワールドデータ(ReAlec)/ELCC2024

 アレクチニブの1次治療を受けたALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の特徴と、後治療のリアルワールドデータが示された。  ALK陽性進行NSCLCに対するアレクチニブの1次治療は優れた有用性を示す。しかし、アレクチニブ後の治療シークエンスについては十分な知見がない。ReAlec試験はアレクチニブ治療患者の特徴をリアルワールドで確認する後ろ向き多施設コホート観察研究である。欧州肺がん学会(ELCC2024)では、イタリア・サクロ クオーレ カトリック大学のEmilio Bria氏が、アレクチニブの1次治療患者を対象としたReAlec試験コホート1(データカットオフ2023年5月10日)の初回中間解析結果を報告した。

次世代コロナワクチン、第III相試験で良好な中間結果を達成/モデルナ

 米国・Moderna社は3月26日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「スパイクバックス」について、次世代の「mRNA-1283」が、第III相試験の結果、同社の既存のオミクロン株対応2価(起源株/オミクロン株BA.4-5)ワクチン「mRNA-1273.222」と比較して、SARS-CoV-2に対するより高い免疫応答の誘導を示したこと発表した。この次世代コロナワクチン「mRNA-1283」は、より長い保存期間と保存上の利点をもたらす可能性があり、インフルエンザとCOVID-19の混合ワクチン「mRNA-1083」の構成要素となる予定だ。  次世代コロナワクチン「mRNA-1283」と既存の「mRNA-1273.222」とを比較した第III相ピボタル試験「NextCOVE試験(NCT05815498)」は、米国、英国、カナダの12歳以上の約1万1,400人を対象とした無作為化観察者盲検アクティブ対照試験だ。本試験の結果、「mRNA-1283」は、SARS-CoV-2のオミクロンBA.4/BA.5および起源株の両方に対して、より高い免疫応答を引き起こすことが認められた。とくにこの免疫応答は、COVID-19による重篤な転帰リスクが最も高い65歳以上の参加者に顕著にみられたという。主な局所有害事象は注射部位の疼痛で、主な全身性の有害事象は頭痛、疲労、筋肉痛、悪寒だった。

亜鉛欠乏症、日本人の特徴が明らかに

 亜鉛欠乏症は、免疫機能の低下、味覚障害、嗅覚障害、肺炎、成長遅延、視覚障害、皮膚障害などに影響を及ぼすため、肝疾患や慢性腎臓病などをはじめとするさまざまな疾患を管理するうえで、血清亜鉛濃度の評価が重要となる。今回、横川 博英氏(順天堂大学医学部総合診療科学講座 先任准教授)らが日本人患者の特徴と亜鉛欠乏との相関関係を調査する大規模観察研究を行った。その結果、日本人の亜鉛欠乏患者の特徴は、男性、入院患者、高齢者で、関連する病態として呼吸器感染症や慢性腎臓病などが示唆された。Scientific reports誌2024年2月2日号掲載の報告。

市中肺炎、12%が「不適切な診断」

 市中肺炎は一般的な疾患だが、診断の正確性とそれに関連する有害性についてはあまり知られていない。米国ミシガン大学・アナーバー校のAshwin B. Gupta氏らは市中肺炎の不適切な診断の特徴を明らかにすることを目的に、前向きコホート研究を行った。この結果はJAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。  ミシガン州の48の病院で、市中肺炎を理由に入院し、入院1日目または2日目に抗菌薬投与を受けた成人患者を対象とした。調査は2017年7月1日~2020年3月31日にカルテレビューおよび患者への電話連絡で実施され、データ解析は2023年2~12月に行われた。

NSCLCへの周術期ニボルマブ上乗せ、術前療法が未完了でも有効か(CheckMate 77T)/ELCC2024

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験(CheckMate 77T試験)において、周術期にニボルマブを用いるレジメンが良好な結果を示したことがすでに報告されている。本レジメンは、術前にニボルマブと化学療法の併用療法を4サイクル実施するが、有害事象などにより4サイクル実施できない患者も存在する。そこで、CheckMate 77T試験において術前薬物療法が4サイクル未満であった患者の治療成績が検討され、4サイクル未満の患者でも周術期にニボルマブを用いるレジメンが治療成績を向上させることが示された。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏が、欧州肺がん学会(ELCC2024)で報告した。

シスプラチン投与後の重篤AKI、簡易リスクスコアを開発/BMJ

 シスプラチン静脈内投与後の重篤な急性腎障害(CP-AKI)を予測する、新たなリスクスコアが開発された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShruti Gupta氏らによる検討で、投与患者から容易に取得できる9つの共変量を用いた簡易リスクスコアが、従来モデルと比べて、死亡と強く関連する重篤なCP-AKIのリスクを高精度に予測可能であることが検証できたという。BMJ誌2024年3月27日号掲載の報告。  研究グループは、全米6ヵ所の主要ながんセンターを通じて、2006~22年に初回シスプラチン静脈内投与を受けた18歳以上の成人患者を対象に、重篤なCP-AKI発症に関する予測モデルの開発とその評価を行った。