迅速承認制度を適用しすぎるのも弊害がありそうだ(解説:折笠秀樹氏)
FDAが第II相の結果で迅速承認した抗がん剤を対象に、承認後の第III相試験で有効性が立証できなかった18件を調べたものです。第II相試験で代替エンドポイントの腫瘍縮小効果は有効であったのに、第III相試験の延命効果は有効でなかった事例が2016年から2020年の間に18件もあったのです。18件のそうした事例のうち、製薬企業が自主的に取り下げたのは11件、FDAが取り下げを命令したのが1件、残る6件は取り下げなかったというのです。日本での承認が初の抗がん剤、オプジーボは皆さんご存じでしょう。肝がんへの適応拡大を目指していましたが、第II相までの試験結果で2017年にFDAは迅速承認しました。承認後に行われた第III相試験で延命効果は有意に優れなかったことを受け、2021年4月にFDAの諮問委員会が開かれました。そこの投票で5:4と不支持が勝ったため、開発企業のBMSは自主的に承認を取り下げたようです。