呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:132

COVID-19外来患者へのロナプリーブ、第III相試験結果/NEJM

 重症化リスクを有する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の外来患者の治療において、REGEN-COV(モノクローナル抗体カシリビマブとイムデビマブの混合静注薬、商品名:ロナプリーブ)はプラセボと比較して、COVID-19による入院/全死因死亡のリスクを低減するとともに、症状消退までの期間を短縮し、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のウイルス量を迅速に低下させることが、米国・Regeneron PharmaceuticalsのDavid M. Weinreich氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年9月29日号に掲載された。

COVID-19に有効な治療は?抗体薬4剤を含むメタ解析/BMJ

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、カシリビマブ/イムデビマブはほぼ確実に入院を減少させ、bamlanivimab/etesevimab、bamlanivimab、ソトロビマブは入院を減少させる可能性があるが、回復期血漿、IVIg、他の抗体および細胞治療は、いかなる意味のあるベネフィットをも与えない可能性がある。カナダ・マックマスター大学のReed Ac Siemieniuk氏らが、COVID-19の試験に関するデータベースを基にリビング・システマティック・レビューとネットワークメタ解析を行い明らかにした。BMJ誌2021年9月23日号掲載の報告。

AZ製ワクチン第III相試験主要解析結果/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンAZD1222(ChAdOx1 nCoV-19、AstraZeneca製)は、高齢者を含む多様な集団においてCOVID-19の発症・重症化を安全・有効に予防することが示された。米国・ロチェスター大学のAnn R. Falsey氏らが、米国、チリ、ペルーにおいて現在進行中の、高齢者を含む3万例超を対象とした第III相二重盲検無作為化プラセボ対照試験「AZD1222試験」の結果を報告した。同3ヵ国では、AZD1222の安全性および有効性が明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2021年9月29日号掲載の報告。

高齢者がCOVID-19に感染する場所と感染対策/感染研

 国立感染症研究所実地疫学研究センターは、9月29日に同研究所のウェブサイト上で「高齢者の会合等、人が集う場面での新型コロナウイルス感染症に関する感染事例の所見と公民館や体育館等を利用する際の感染対策についての提案」を発表した。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第5波はピークアウトし、全国的に緊急事態宣言も解除され、今後秋祭りなどの行事がCOVID-19に警戒しながら行われていくことが予想されている。「特に多くの高齢者は、新型コロナワクチンの接種も進んでいるが、高齢者が集った場合に発生したCOVID-19のクラスター事例を再度振り返り、これまでに得られた知見や必要な対策について考えてみたい」と同研究所は提案の目的を示している。

プロバイオティクス、ICUでの人工呼吸器関連肺炎を抑制せず/JAMA

 人工呼吸器を要する重症患者において、プロバイオティクスであるLactobacillus rhamnosus GGの投与はプラセボと比較して、集中治療室(ICU)における人工呼吸器関連肺炎(VAP)の発生に関して有意な改善効果はなく、有害事象の頻度は高いことが、カナダ・トロント大学のJennie Johnstone氏らの検討で示された。研究の詳細は、JAMA誌2021年9月21日号で報告された。  本研究は、ICUにおけるVAPや新たな感染症、その他の臨床的に重要なアウトカムの予防におけるL. rhamnosus GG投与の有効性の評価を目的とする無作為化プラセボ対照比較試験であり、2013年10月~2019年3月の期間にカナダと米国、サウジアラビアの44のICUで患者登録が行われた(カナダ健康研究所[CIHR]などの助成による)。

ブレークスルー感染、死亡・入院リスクが高い因子/BMJ

 英国・オックスフォード大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、英国政府の委託で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の第2波のデータを基に作成した、ワクチン接種後の死亡・入院のリスクを予測するアルゴリズム(QCovid3モデル)の有用性の検証を行った。その結果、ワクチンを接種しても、COVID-19関連の重症の転帰をもたらすいくつかの臨床的なリスク因子が同定され、このアルゴリズムは、接種後の死亡や入院のリスクが最も高い集団を、高度な判別能で特定することが示された。研究の成果は、BMJ誌2021年9月17日号に掲載された。

Data Driven Scienceの時代(解説:後藤信哉氏)

医学の世界では、ランダム化比較試験による仮説検証はエビデンスレベルが高いとされた。世界からランダムに対象症例が抽出され、バイアスなく無作為に各治療に割り付けることができれば、仮説検証ランダム化比較試験の結果には科学的価値が高いといえる。しかし、現実的には世界の症例の一部がランダム化比較試験の対象例として選択され、世界から完全に無作為に抽出されているとは言い難い。電子カルテの使用が一般的になり、医療データのデジタル化は進んでいる。クラウド上にて電子カルテの情報を共有できれば、現在のランダム化比較試験のように特定の症例を抽出するプロセスを排除できる。世界のすべての症例のデータが利用可能な世界では、真の意味でのdata driven scienceの世界ができると思う。英国は医療データベース化の進んだ国の一つである。本研究を見ると、database化が進んだ世界では、大規模データを用いて臨床的仮説を精度高く提案できることがわかる。

EGFR変異陽性肺がん1次治療、オシメルチニブ+ベバシズマブ併用の結果は?(WJOG9717L)/ESMO2021

 未治療の進行EGFR変異陽性非扁平上皮非小細胞肺がん(Ns-NSCLC)に対して、オシメルチニブとベバシズマブの併用療法はオシメルチニブ単剤と比べて、無増悪生存(PFS)を有意に改善できなかった。静岡県立静岡がんセンターの釼持広知氏が、日本で行われた「WJOG9717L試験」の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)プレジデンシャル・シンポジウムで発表した。  WJOG9717L試験は、2018年1月~9月に21医療機関で行われた第II相無作為化試験。

COVID-19の積極的疫学調査の最終報告/感染研

 国立感染症研究所は、9月27日に同研究所のホームページにおいて、「新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(最終報告)」を公開した。  この報告は、感染症法(第15条第1項)に基づいた積極的疫学調査で集約された、各自治体・医療機関から寄せられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の退院患者の情報に関する最終報告である。  なお、「本情報は統一的に収集されたものではなく、各医療機関の退院サマリーの様式によるため解釈には注意が必要」と解析の読み方に注意を喚起している。調査は一定の情報が得られたことにより5月25日をもって停止している。

ニボルマブとイピリムマブが悪性胸膜中皮腫に引き続き良好な成績(CheckMate743)/ESMO2021

 転移を有する悪性胸膜中皮腫に対するニボルマブとイピリムマブの併用第III相試験CHeckMate743の3年追跡結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress2021)で発表され、良好な長期ベネフィットが示された。これが転移のある悪性胸膜中腫に対する免疫療法としては、初めての長期成績の報告となる。 ・対象:転移のある切除不能な未治療の悪性胸膜中皮腫 ・試験群:ニボルマブ(3mg/m2)2週ごと+イピリムマブ(1mg/m2)6週ごと ・対照群:シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド3週ごと6サイクル ・評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS ) [副次評価項目]全奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)、盲検化独立評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS)など