呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:185

がんに存在する異常なmRNAの全長構造を同定/国立がん研究センター

 東京大学大学院新領域創成科学研究科の関 真秀特任助教と鈴木 穣教授らのグループは、国立がん研究センター先端医療開発センター免疫療法開発分野・中面哲也分野長らとの共同研究により、ナノポアシークエンサーで肺がんに存在する異常なmRNAの網羅的な同定をして、異常なmRNAから生じるペプチドが免疫細胞に認識されることを示した。  従来のシークエンサーは、RNAをばらばらに短くしてから配列を読み取っていたため、mRNAの全長配列を読み取ることはできなかった。それに対して、長い配列を読み取れるナノポアシークエンサーは、mRNAの全長配列を読み取ることができる。

COVID-19、重症患者で皮膚粘膜疾患が顕著

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の皮膚症状に関する報告が寄せられた。これまで皮膚粘膜疾患とCOVID-19の臨床経過との関連についての情報は限定的であったが、米国・Donald and Barbara Zucker School of Medicine at Hofstra/NorthwellのSergey Rekhtman氏らが、COVID-19入院成人患者296例における発疹症状と関連する臨床経過との関連を調べた結果、同患者で明らかな皮膚粘膜疾患のパターンが認められ、皮膚粘膜疾患があるとより重症の臨床経過をたどる可能性が示されたという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年12月24日号掲載の報告。

コロナ病床は簡単には増やせない、医療壊滅を防ぐために/日医

 感染者数の増加が続き、各地で医療体制のひっ迫が叫ばれる中、日本の医療体制の在り方についても様々な意見が報道・発信されている。1月13日の日本医師会定例記者会見において、中川 俊男会長は改めて国民に対し協力を要請するとともに、日本の医療提供体制の現状を説明し、日医として引き続き行っていく働きかけ、施策について説明した。  公立・公的等病院の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)受け入れ割合が約70~80%である一方、民間病院が約20%というデータに対し、より多くの民間病院が新型コロナ患者を受け入れるべきという意見がある。

住宅の断熱改修で居住者の入院率低下/BMJ

 住宅を改修し断熱を高めることで入院が減少し、その効果は呼吸器疾患に関してより顕著であることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学ウェリントン校のCaroline Fyfe氏らが、住宅の断熱改修が感冒に関連する入院率を低下させるかを調査する目的で行った、国の改修補助プログラムの評価に関するデータを用いた準実験的後ろ向きコホート研究の結果を報告した。冬季の超過死亡および罹患は、寒冷な気候の国よりも比較的温暖な気候の国のほうが高いことが多い。この矛盾は、温暖な国では住宅の熱効率が悪く室温が低くなりやすく、湿気やカビが生じやすい環境を作り出していることと関連しているとされる。一方、これまで複数の介入研究で、熱効率を改善することにより、感冒関連疾患の症状が改善することが示されていた。BMJ誌2020年12月29日号掲載の報告。

COVID-19の家庭内感染のリスク因子~54研究のメタ解析

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の家庭(同居世帯)内の感染リスクは、他のコロナウイルス(SARS-CoV、MERS-CoV)より2~4倍高く、「初発患者が症状あり」「接触者が18歳以上」「初発患者の配偶者」「家庭内の接触人数が1人」がリスク因子であることが、米国・フロリダ大学のZachary J. Madewell氏らのメタ解析で示された。JAMA Network Open誌2020年12月14日号に掲載。

高齢COVID-19患者、72時間以内の回復期血漿投与で重症化半減/NEJM

 重症化リスクの高い65歳以上の軽症新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者において、発症後早期の高力価回復期血漿療法により、COVID-19の重症化が抑制されることが明らかとなった。アルゼンチン・Fundacion INFANTのRomina Libster氏らが、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)特異的IgG抗体価の高い回復期血漿の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。COVID-19の進行を抑える治療はまだ見つかっておらず、これまで入院患者への回復期血漿の投与は成功していない。研究グループは、抗体は疾患の経過の早期に投与される必要があるのではと考え、軽度の症状発症後72時間以内に回復期血漿療法を開始する検討を行った。NEJM誌オンライン版2021年1月6日号掲載の報告。

COPD急性増悪、入院患者の約6%が肺塞栓症/JAMA

 呼吸器症状の急性増悪で入院した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、あらかじめ定めた診断アルゴリズムを用いると、5.9%の患者に肺塞栓症が検出された。フランス・Centre Hospitalo-Universitaire de BrestのFrancis Couturaud氏らが、同国内の病院7施設で実施した前向き多施設共同横断研究「prevalence of symptomatic Pulmonary Embolism in Patients With an Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease study:PEP研究」の結果を報告した。COPDで呼吸器症状が急性増悪した患者における肺塞栓症の有病率はこれまで明らかになっておらず、COPDの急性増悪で入院した患者に対していつどのように肺塞栓症のスクリーニングをするかが課題であった。JAMA誌2021年1月5日号掲載の報告。

若手研究者に国際的がん教育を「国際がん研究シンポジウム」開催/近畿大学

 近畿大学医学部を主幹とする「7大学連携個別化がん医療実践者養成プラン」は、2021年1月18日~2月17日、オンラインにて「第4回国際がん研究シンポジウム」を開催する。同シンポジウムは、2013年3月に「第2期がんプロ」の取組の中で開催し、これまでに8回の開催実績がある。  国際がん研究シンポジウムは「教育講演」と「一般演題」の2部構成。「教育講演」では国内外の著名な研究者が各分野の最新の話題をわかりやすく伝える。「一般演題」では若手研究者がそれぞれのデータを持ち寄り発表すると共に、各分野の精鋭コメンテーターからの質問が待ち受ける。

新型コロナ、再入院しやすい患者の特徴は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初発感染で入退院した患者のうち、9%が退院後2ヵ月以内に同じ病院に再入院していたことが明らかになった。また、複数の病院で患者の1.6%が再入院していた。再入院の危険因子には、65歳以上、特定の慢性疾患の既往、COVID-19による初回入院以前の3ヵ月以内の入院、高度看護施設(SNF:skilled nursing facility)への退院または在宅医療への切り替えが含まれていた。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月13日号での報告。  CDC研究班は、Premier Healthcare Database の電子健康記録と管理データを使用し、退院、再入院のパターン、およびCOVID-19による初回入退院後の再入院に関連する人口統計学的および臨床的特徴を評価した。

肺がん放射線、左前下行枝照射量と心臓有害事象の関係/JAMA Oncol

 放射線療法が冠動脈疾患(CHD)のリスクを高めることは知られているが、胸部への照射が避けられない肺がんではどうすべきか。米国・ダナ・ファーバーがん研究所およびブリガム&ウィメンズ病院のKatelyn M. Atkins氏らは、最適な心臓線量の制限がCHDの既往の有無で異なる可能性があることを明らかにした。著者は、「心臓リスクの層別化と積極的なリスク軽減戦略を改善するために、今回示された制限についてさらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Oncology誌オンライン版2020年12月17日号掲載の報告。