呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

今後20年でオゾン関連の死亡者数はどうなる?

 気候変動が原因で、今後20年にわたり全世界のオゾンに関連した死亡者数が増加する可能性があるようだ。米イェール大学公衆衛生大学院のKai Chen氏らによる研究で、人類が地球温暖化を食い止めない限り、2050〜2054年の間に北米、欧州、アジア、オーストラリア、アフリカの20の国や地域の406都市だけで、地表レベルのオゾンによる死亡者数が年間6,200人増加すると推定された。この研究の詳細は、「One Earth」に1月23日掲載された。Chen氏は、「この研究は、より多くの国々がパリ協定を遵守することが健康上の利益につながることを裏付ける、さらなるエビデンスとなるものだ」と説明している。

新規抗体薬物複合体SG、既治療のNSCLCに対する第III相試験の結果(EVOKE-01)/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズは2024年1月22日、既治療の進行または転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)に関するsacituzumab govitecan(SG)の第III相EVOKE-01試験において、主要評価項目の全生存期間(OS)が未達であったと発表した。  EVOKE-01試験はプラチナベース化学療法やチェックポイント阻害薬で進行した転移のあるNSCLC患者に対し、SGとドセタキセルを比較した試験である。 結果、主要評価項目である全生存期間(OS )は、SG群において良好な改善が認められたものの、統計学的に有意には至らなかった。もっとも、試験集団の60%超を占める、抗PD-1/L1抗体に奏効しなかったサブグループでは、対照群に比べてSG群で3ヵ月以上のOS延長が認められたとしている。

CRT後のデュルバルマブ地固めは高齢NSCLCにも有用か?

 切除不能なStageIIIの非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する化学放射線療法(CRT)後のデュルバルマブ地固め療法は、PACIFIC試験で有用性が示され、標準治療となっている。しかし、高齢のNSCLC患者における有効性・安全性は明らかになっていない。そこで、韓国・慶北大学校のJi Eun Park氏らの研究グループは、70歳以上の高齢のNSCLC患者におけるCRT後のデュルバルマブ地固め療法の有用性を検討するため、後ろ向き研究を実施した。その結果、70歳以上のNSCLC患者でも有効性は同様であったが、有害事象は多い傾向にあった。本研究結果は、Clinical Lung Cancer誌オンライン版2024年2月16日号で報告された。

電話による緩和ケアでも患者のQOLは改善する

 命を脅かす慢性疾患を抱えている人に対する緩和ケアは、電話で行っても効果があるようだ。慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全(HF)、および間質性肺疾患(ILD)の患者を対象にした臨床試験で、看護師やソーシャルワーカーが電話を通して症状の管理や心理社会的ケアを行ったところ、患者の生活の質(QOL)が有意に改善したことが明らかになった。米コロラド大学医学部教授のDavid Bekelman氏らによるこの研究結果は、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に1月16日掲載された。  Bekelman氏は、「われわれは、これらの病気に対する治療では良い成果をあげているが、患者のQOL向上に対してはもっとできることがある。多くの患者は、持続的な抑うつ、不安、息切れ、睡眠障害などの症状に悩まされ、病気を抱えながら生きることに大きな困難を感じている。これらの症状は早期死亡とも関連している」と話す。

切除不能肺がんに対する新アプローチ、小規模試験で有望な結果

 局所進行性で切除不能な非小細胞性肺がん(NSCLC)患者に対しては、標準的な化学療法に加え、高線量の放射線をがんに対してピンポイントで照射できる体幹部定位放射線治療(SABR、SBRTとも呼ばれる)を行うことで、患者の生存率向上が望める可能性のあることが、28人のNSCLC患者を対象にした初期段階の小規模試験で明らかになった。  研究論文の共著者である、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)放射線腫瘍学分野のBeth Neilsen氏は、「われわれが得た結果は、化学療法と、患者の腫瘍の位置や形状の治療による変化などを考慮して照射方法などを再検討しながら行うSABRの併用は、患者にとって有益なことを示すものだ」と述べている。詳細は、「JAMA Oncology」に1月11日掲載された。

コロナ感染拡大への祝日の影響、東京と大阪で大きな差

 祝日は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の伝播に影響を及ぼしたのだろうか。京都大学のJiaying Qiao氏らが2020~21年の4都道府県のデータを数理モデルで検討したところ、祝日がCOVID-19伝播を増強したこと、またその影響は都道府県によって異なり、大阪で最も大きく東京で最も小さかったことが示唆された。Epidemiology and Health誌オンライン版2024年1月22日号に掲載。  本研究では、2020年2月15日~2021年9月30日における北海道、東京、愛知、大阪の4都道府県におけるCOVID-19発症と流動性のデータを収集し、祝日の感染頻度の増加を評価した。推定された実効再生産数と、調整前後の流動性、祝日、非常事態宣言を関連付けるモデルを作成した。必須の入力変数として祝日を含めた最も適合性の高いモデルを、祝日がない場合の有効再生産数の反事実を計算するために使用した。

小児・思春期の2価コロナワクチン、有効性は?/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する2価mRNAワクチンについて、小児・思春期(5~17歳)へのSARS-CoV-2感染および症候性COVID-19に対する保護効果が認められることが示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のLeora R. Feldstein氏らが、3つの前向きコホート試験に参加した約3,000例のデータを解析し報告した。米国では12歳以上については2022年9月1日から、5~11歳児については同年10月12日から、COVID-19に対する2価mRNAワクチンの接種を推奨しているが、その有効性を示す試験結果は限られていた。著者は、「今回示されたデータは、小児・思春期へのCOVID-19ワクチンの有益性を示すものである。対象となるすべての小児・思春期は、推奨される最新のCOVID-19ワクチン接種状況を維持する必要がある」と述べている。JAMA誌2024年2月6日号掲載の報告。

新型コロナワクチンの国内での有効性評価、VERSUS研究の成果と意義

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンの有効性を評価するため、VERSUSグループは国内の13都府県の医療機関24施設で2021年7月から継続的に「VERSUS研究」を行っている。本研究は、新型コロナワクチンの国内での有効性を評価し、リアルタイムにそのデータを社会に還元することを目的としている。今後はCOVID-19のみならず、新たな病原体やワクチンを見据えたネットワークを整備・維持していく方針だ。VERSUS研究のこれまでの成果と意義について、2024年1月20日にウェブセミナーが開催された。長崎大学熱帯医学研究所呼吸器ワクチン疫学分野の森本 浩之輔氏と前田 遥氏らが発表した。なお、BA.5流行期のワクチン有効性の結果は、Expert Review of Vaccines誌2024年1~12月号に論文掲載された。

「肉なし」食生活でコロナリスクが4割低下?

 植物性食品をベースにした食生活は、血圧の低下、血糖コントロールの改善、体重減少など、さまざまな健康上の利点と関連付けられているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患リスクを低減させる可能性もあることが、新たな研究で明らかになった。この研究では、植物性食品をベースにした食生活により、COVID-19罹患リスクが39%低下する可能性が示されたという。Hospital das Clinicas FMUSP(ブラジル)のJulio Cesar Acosta-Navarro氏らによるこの研究結果は、「BMJ Nutrition Prevention and Health」に1月9日掲載された。

肺がんコンパクトパネル、細胞診検体の精度は?

 2023年1月26日に遺伝子パネル検査「肺がん コンパクトパネルDxマルチコンパニオン診断システム」(肺がんコンパクトパネル)の一部変更申請が承認された。従来、4遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、MET)のマルチコンパニオン診断検査として用いられていたが、今回の承認により3遺伝子(BRAF、KRAS、RET)が追加され、7遺伝子が対象となった。その肺がんコンパクトパネルについて、細胞診検体(液体検体)を用いた遺伝子検査の精度を検討した結果が、國政 啓氏(大阪国際がんセンター 呼吸器内科)らによって、Lung Cancer誌オンライン版2月3日号で報告された。本研究において、気管支生検鉗子洗浄液の検体では、組織検体で検出された遺伝子変異との一致率が94.9%と高率であった。