呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:29

忽那氏が振り返る新型コロナ、今後の対策は?/感染症学会・化学療法学会

 2024年8月2日の政府の発表によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定点当たりの報告数は14.6人で、昨夏ピーク時(第9波)の20.5人に迫る勢いで12週連続増加し、とくに10歳未満の感染者数が最も多く、1医療機関当たり2.16人だった。週当たりの新規入院患者数は4,579人で、すでに第9波および第10波のピークを超えている。  大阪大学医学部感染制御学の忽那 賢志氏は、これまでのコロナ禍を振り返り、パンデミック時に対応できる医師が不足しているという課題や、患者数増加に伴う医師や看護師のバーンアウトのリスク増加など、今後のパンデミックへの対策について、6月27~29日に開催の第98回日本感染症学会学術講演会 第72回日本化学療法学会総会 合同学会にて発表した。

ニルマトレルビル・リトナビルには曝露後予防効果がない(解説:栗原宏氏)

2024年現在も定期的にCOVID-19の感染拡大が繰り返されている。家庭内や職場等で感染者が出た場合、無症状者に対する有効な予防策が問題となる。重症化リスクを持つ患者の家庭、医療機関や療養施設では大きな関心があると思われる。とくに医療機関や療養施設での患者やスタッフのクラスターの発生は、当該施設だけでなく地域全体にも大きな負担となりうる。  現在、ニルマトレルビル・リトナビル(商品名:パキロビッド)5日分の費用は、3割負担でも約3万円とかなり高額である。

EGFR陽性NSCLC、オシメルチニブはどこで使う?~日本のリアルワールドデータ

 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、オシメルチニブが標準治療として広く用いられている。そこで、上原 悠治氏(国立がん研究センター/都立駒込病院)らの研究グループは、リアルワールドデータを用いて、1次治療に第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)オシメルチニブを用いた場合と、第1世代または第2世代EGFR-TKIを用いた場合の治療成績を後ろ向きに比較した。その結果、1次治療の薬剤選択によって全生存期間(OS)には有意差がみられなかった。また、1次治療で第1世代または第2世代EGFR-TKIを用いたのちに、2次治療でオシメルチニブを用いた患者は、1次治療でオシメルチニブを用いた患者よりもOSが良好な傾向にあった。本研究結果は、ESMO Real World Data and Digital Oncology誌2024年9月号に掲載された。

日本人の進行・転移胸腺腫、ステロイドが有効か

 何らかの前治療歴を有する局所進行または転移を有する胸腺腫患者において、ステロイドが抗腫瘍効果を示す可能性が示された。新潟大学の田中 知宏氏らがRespiratory Investigation誌2024年7月4日号で報告した。  国立がん研究センターにおいて、2010年1月~2021年3月にステロイド単剤(プレドニゾロンまたはデキサメタゾン)による治療を受けた局所進行または転移を有する胸腺腫患者13例を対象として、後ろ向き研究を実施した。評価項目は、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などとした。

公共の場でのマスク着用、呼吸器感染症の発症予防効果は/BMJ

 14日間にわたり公共の場でサージカルフェイスマスクを着用した場合、着用しない場合と比較して、自己申告に基づく呼吸器感染症の症状発症リスクが有意に減少した。ノルウェー・公衆衛生研究所のRunar Barstad Solberg氏らが実用的無作為化優越性試験の結果を報告した。感染予防策としてのサージカルフェイスマスクの有効性は定かではなく、観察研究でフェイスマスクの着用が呼吸器感染症のリスクを減少させることが示唆されているが、これまでの無作為化試験は検出力不足など方法論的に限界があった。著者は、「本研究は多くの先行試験と異なり、十分な検出力を有している。フェイスマスクの着用は、負担の少ない比較的低コストで簡単な、呼吸器感染症の流行を抑えるために検討する価値があると考えられるいくつかの公衆衛生および社会的対策の1つである」とまとめている。BMJ誌2024年7月24日号掲載の報告。

ニボルマブ承認から10年、がん治療はどう変わったか/小野・BMS

 本邦初の免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ニボルマブ。2014年7月4日に製造販売承認を取得してから、早くも10年が経過した。ICIによるがん免疫療法は、どれだけ社会に認知されているのだろうか。また、ICIはがん治療においてどのようなインパクトを与えたのだろうか。小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、これらの疑問に答えるべく「免疫チェックポイント阻害薬によるがん免疫療法のいまとこれから」と題し、2024年7月24日にメディアセミナーを実施した。  小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、がん免疫療法に対する医師・患者さんの現状評価を把握することを目的として、がん治療に関わる医師100人とがん患者さん900人を対象にアンケート調査を実施した。本調査の結果について、高井 信治氏(小野薬品工業 メディカルアフェアーズ統括部長)が紹介した。

日本女性の平均寿命87.14歳は世界1位、男女とも前年より寿命延長/厚労省

 厚生労働省は、7月26日に令和5年の簡易生命表の概況を発表した。これによると男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.14歳となり、3年ぶりに前年を上回った。  前年と比較して男性は0.04年、女は0.05年上回ったほか、平均寿命の男女差は6.05年で前年より0.02年延長した。  65歳の死因別死亡確率(主要死因)について、男性では肺炎6.18%(前年6.13%)、老衰8.85%(前年8.31%)が前年に比べ死亡確率が上昇し、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患は前年に比べ低下した。女性では肺炎4.44%(前年4.34%)、老衰20.77%(前年19.79%)が前年に比べ死亡確率が上昇し、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患は前年に比べ低下した。

妊娠・乳幼児期の大気汚染物質の複合曝露が小児喘息と関連

 妊娠期、子どもの乳幼児期における大気汚染物質への曝露と小児喘息の発症との関連が、日本全国のデータを用いて詳細に検討された。その結果、低濃度の大気汚染物質への複合曝露が、持続性小児喘息の発症と関連していることが明らかとなった。昭和大学医学部リウマチ・膠原病内科の城下彰宏氏らによる研究の成果であり、「Ecotoxicology and Environmental Safety」に6月20日掲載された。  小児喘息の発症は、環境的、社会経済的、遺伝的要因の影響を受ける。大気汚染は喘息の発症や悪化と関連するが、大気汚染物質は複雑な混合物である。比較的低濃度の大気汚染物質の複合曝露による影響については十分に研究されておらず、海外と日本では大気汚染の状況も異なり、エビデンスが不足している。

妊娠初期のコロナ感染・ワクチン接種、児の先天異常と関連せず/BMJ

 妊娠第1三半期(13週+6日)における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種は、生児の先天異常のリスクに大きな影響を及ぼさないことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のMaria C. Magnus氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年7月17日号で報告された。  研究グループは、妊娠第1三半期における新型コロナウイルス感染およびワクチン接種による主要な先天異常のリスクへの影響の評価を目的に、北欧の3ヵ国でレジストリベースの前向き研究を行った(ノルウェー研究会議[RCN]などの助成を受けた)。

ベイピング製品の長期使用、電子タバコの普及で増加/BMJ

 イングランドの成人では、2013年から2023年にかけて長期のベイピング(vaping)が大幅に増加し、その多くが新しい使い捨て電子タバコ(e-cigarettes)の人気が高まった2021年に使用を開始していた。現時点での長期ベイピング者の半数は使い捨てデバイスを使用し、この増加は喫煙歴のある集団に集中しているものの非喫煙者でもとくに若年層で増加していることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのSarah E. Jackson氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年7月17日号に掲載された。