呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:261

がん患者におけるVTEとAF、わが国の実際/腫瘍循環器学会

 固形がん患者の2~8%に悪性腫瘍関連静脈血栓塞栓症(CA-VTE)が合併すると欧米より報告されている。アジア人は白人と比較してCA-VTEの合併率が低いとの報告もあるが、日本人の固形腫場患者を対象としたCA-VTEの合併率の報告は少ない。神戸大学の能勢 拓氏らは、自施設における新規固形がん患者を対象として後方視的に情報を収集し、第2回日本腫瘍循環器学会で発表した。  対象は2,735例で、観察期間中央値は103日であった。CA-VTEが認められ、合併率は3.3%(2,735例中92例)で、欧米の報告と同等であった。CA-VTE合併例の年齢中央値は70歳で、52%が女性であった。症候ありは47%で、Dダイマー正常値(<1.0μg/mL)は5.4%であった。

進行NSCLCの初回治療、ニボルマブ+イピリムマブが有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法による初回治療はPD-L1発現レベルを問わず、化学療法と比較して全生存(OS)期間を延長することが認められた。また、長期追跡において新たな安全性の懸念は生じなかった。米国・Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMatthew D. Hellmann氏らが、第III相の無作為化非盲検試験「CheckMate-227試験」の結果を報告した。進行NSCLC患者を対象とした第I相試験において、とくにPD-L1陽性患者で、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法がニボルマブ単剤療法よりも奏効率が良好であることが示され、NSCLC患者におけるニボルマブ+イピリムマブの長期的な有効性を評価するデータが必要とされていた。NEJM誌オンライン版2019年9月28日号掲載の報告。

局所進行NSCLCのCRT、10年でどこまでcure?(WJTOG0105)/ESMO2019

 WJTOG0105は、切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)における、胸部放射線治療(TRT)の併用化学療法として、第3世代レジメン(イリノテカン+カルボプラチン、パクリタキセル+カルボプラチン)と第2世代レジメン(マイトマイシン+ビンデシン+シスプラチン)を比較した第III相試験である。この試験の結果、第3世代レジメンによるCRTは切除不能Stage III NSCLCの標準治療の1つとして確立された。しかし、CRTによる累積毒性と長期生存はまだ明らかになっていない。国立がん研究センター東病院の善家 義孝氏は、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)において、わが国のStage III NSCLCにおけるCRTの生存と毒性の10年間追跡調査の結果を報告した。

進行肺がん患者への緩和ケアは生存ベネフィットあり/JAMA Oncol

 緩和ケアは進行肺がん患者の生存ベネフィットと関連していることが、米国・オレゴン健康科学大学のDonald R. Sullivan氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、示唆された。緩和ケアは患者中心のアプローチでQOL改善と関連するが、これまで生存ベネフィットとの関連については、さまざまな結果が示されていた。また、そのことが、緩和ケアが十分活用されない要因ともされている。今回の結果を踏まえて著者は、「緩和ケアは、進行肺がん患者において、疾患修飾治療を補完するアプローチとして考慮されるべきである」と述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月19日号掲載の報告。

再発悪性胸膜中皮腫に対するペムブロリズマブの成績/ESMO2019

 悪性胸膜中皮腫(MPM)はアグレッシブな腫瘍で、予後も不良である。プラチナベース化学療法の再発後は生存を改善する治療法はないが、実臨床ではビノレルビンやゲムシタビンが用いられる。そのような中、KEYNOTE-028の拡大コホートなどで免疫チェックポイント阻害薬の有効性が示されている。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)ではペムブロリズマブ単剤による既治療のMPMに対する無作為化比較第III相試験ETOP PROMISE-mesoの結果が発表された。

ペムブロリズマブ単剤のNSCLC1次治療、日本の実臨床での成績/ESMO2019

 ペムブロリズマブと化学療法の併用は、PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の初回治療において、化学療法に比べ著明な生存ベネフィット効果を示す。しかし、その毒性はペムブロリズマブ単剤に比べ高い。そのため、実臨床において、PD-L1 50%以上のNSCLC患者にペムブロリズマブ単剤を用いるか、化学療法との併用を用いるか、その判断は難しい。加えて、それらの試験対象は良好な状態の患者であり、その結果は実臨床の状況を完全に反映しているとは限らない。

小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+化学療法の成績(CASPIAN)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)においてデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)と化学療法の併用を評価する第III相CASPIAN試験の結果が、世界肺がん学会(WCLC2019)で発表され、化学療法へのデュルバルマブの追加により、全生存期間(OS)の有意な改善が示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、最新の解析結果が、スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏により報告された。 ・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)

ニンテダニブ、進行性線維化を伴う間質性肺疾患に有効/NEJM

 進行性線維化を伴う間質性肺疾患の治療において、ニンテダニブはプラセボと比較して、努力性肺活量(FVC)の年間低下率が小さく、この効果は高分解能CT画像上の線維化のパターンとは独立に認められることが、米国・ミシガン大学のKevin R. Flaherty氏らが行ったINBUILD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年9月29日号に掲載された。ニンテダニブは、細胞内チロシンキナーゼ阻害薬であり、前臨床データでは肺線維症の進行に関与するプロセスを阻害することが示唆されている。特発性肺線維症(IPF)および全身性強皮症を伴う間質性肺疾患患者では、ニンテダニブ150mgの1日2回投与により、FVCの低下が抑制されたと報告されている。

小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ+化学療法の成績(IMpower133)/ESMO2019

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、カルボプラチン・エトポシドへのアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の追加効果を評価する第III相試験IMpower133では、アテゾリズマブの追加による生存改善が、世界肺がん学会(WCLC2019)で示された。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)では、同試験の全生存期間(OS)、奏効期間(DOR)、奏効率(ORR)、安全性について最新のデータが発表され、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorのMartin Rech氏が報告した。

血糖降下薬ピオグリタゾンの肺がん予防効果?

 経口血糖降下薬にがん予防効果があるのか。米国・ロッキーマウンテン地方退役軍人医療センターのRobert L. Keith氏らは、肺がんの発症リスクが高い現喫煙者や元喫煙者において、経口血糖降下薬ピオグリタゾンに肺がんの発症予防効果があるかを検討する第II相無作為化試験を行った。その結果、有意ではないがわずかに効果が期待できる所見や、特異的病変で組織学的改善が認められたという。著者は「さらなる試験を行い、反応性異形成の特徴を明らかにする必要がある」と述べている。これまでに、前臨床試験でチアゾリジン系薬が肺がんを予防することが、また同薬を服用する糖尿病患者で肺がんの割合が低いことが示唆されていた。Cancer Prevention Research誌2019年10月号掲載の報告。