呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:261

capmatinib、MET変異NSCLCに良好な結果(GEOMETRY mono-1)/ESMO2018

METエクソン14スキッピング変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の約3〜4%に同定される。この変異はドライバー遺伝子と考えられている。また、深刻な予後不良因子であり、標準治療にも免疫治療にも奏効しにくい。MET阻害薬capmatinib(INC280)は、MET受容体に高い親和性を持つTKIで、最も強力なMETエクソン14スキッピング阻害薬であり、単独およびEGFR-TKIとの併用でMET変異NSCLCに対し、有効性と管理可能な安全性プロファイルを示している。

高血圧・喫煙・糖尿病は、男性以上に女性の心筋梗塞リスクを増加/BMJ

 心筋梗塞の発生率は、男性が女性の約3倍だが、心筋梗塞とそのリスク因子である高血圧、喫煙、糖尿病との関連は女性のほうが強いことが、英国・オックスフォード大学のElizabeth R C Millett氏らの調査で明らかとなった。さらに、心筋梗塞とリスク因子の関連の強さは、男女とも加齢とともに減弱するものの、女性における過剰なリスクは相対的に低下しないことも示された。研究の成果は、BMJ誌2018年11月7日号に掲載された。心筋梗塞の発生率は、若年時には女性が男性よりも低いが、加齢に伴いその差は小さくなる。以前のメタ解析において、心筋梗塞といくつかのリスク因子の関連に性差があることが示されているが、解析に含まれた試験には交絡因子調整の水準にばらつきがあり、年齢層別の性差の検討を行っていない試験も含まれたという。

COPD増悪リスク、3剤併用で有意に低減/BMJ

 症状が進行した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対し、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、吸入ステロイド(ICS)の3剤併用療法は、LAMA+LABA、ICS+LABAの2剤併用療法または単独療法に比べ、中等度/重度増悪リスクを低減し、肺機能および健康関連QOLは良好であることが示された。中国・Guangdong Medical UniversityのYayuan Zheng氏らが、21の無作為化比較試験についてメタ解析を行い明らかにしたもので、BMJ誌2018年11月6日号で発表した。研究グループは、既報のメタ解析では3剤併用療法と2剤併用療法を比較した増悪予防に関するエビデンスは十分ではなかったとして、本検討を行ったという。

IV期扁平上皮がんへの免疫療法+化学療法併用について(解説:小林英夫氏)-950

肺がんの組織型は非小細胞がんが多くを占め、とりわけ扁平上皮がんと腺がんが中心となっている。1980年代までは扁平上皮がん、なかでも肺門型(中枢型)の扁平上皮がんが多かったが、その後徐々に腺がんが多数となり、扁平上皮がんを診療する機会が減少していた。ところが近年になり、以前の肺門型扁平上皮がんではなく、肺野末梢に発生する扁平上皮がんを経験する機会が増加してきている。なぜ再増加しているのか理由は定かではない。また、切除不能であるIV期の非小細胞肺がんの治療面では、2000年代以降になり遺伝子変異陽性の腺がんに対しチロシンキナーゼ阻害薬などの分子標的治療薬が急速に普及し、腺がんの標準治療は大きく変化してきた。一方で、IV期扁平上皮がん治療に有効な分子標的薬は導入できておらず、細胞障害性抗腫瘍薬または免疫チェックポイント阻害薬が現時点における治療の主役だが、まだまだ十分な効果は得られていない状況にある。

「がんだけ診ていればよい時代」は終わった?日本腫瘍循環器学会開催

 2018年11月3~4日、都内にて第1回日本腫瘍循環器学会学術集会が開催され、盛んな議論が行われた。  がんと心血管疾患の関係は以前から見られる。近年、がん治療の進歩が生存率も向上をもたらした。そこにがん患者の増加が加わり、がんと心血管疾患の合併は増加している。がん治療の副作用は、心血管系合併症のリスクを高め、生命予後にも影響することから、がん患者・サバイバーに対する心血管系合併症管理の重要性が増している。実際、乳がん患者の死因は、2010年に、がんそのものによる死亡を抜き、心血管疾患が第1位となっている。

「かぜには抗菌薬が効く」と認識する患者が約半数、どう対応すべきか

 一般市民対象の抗菌薬に関する意識調査の結果、約半数が「かぜやインフルエンザなどのウイルス性疾患に対して抗菌薬が効く」と誤った認識をしていることが明らかになった。 AMR臨床リファレンスセンターは10月30日、「抗菌薬意識調査2018」の結果を公表し、「薬剤耐性(AMR)対策の現状と取り組み 2018」と題したメディアセミナーを開催した。セミナーでは大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター病院 副院長/国際感染症センター長/AMR臨床リファレンスセンター長)、具 芳明氏(AMR臨床リファレンスセンター 情報‐教育支援室長)らが登壇し、意識調査結果や抗菌薬使用の現状などについて講演した。

益と害を見極めてポリファーマシーを解消させる

 超高齢化社会に伴い多剤併用が問題視されているが、果たして何が原因なのだろうか。2018年11月6日にMSD株式会社が主催する「高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)に関する実態と不眠症治療の課題」について、秋下 雅弘氏(東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授)と池上 あずさ氏(くわみず病院院長)が登壇し、ポリファーマシーの原因と不眠症治療のあり方について語った。  多剤服用でも、とくに害をなすものをポリファーマシーと呼ぶ。そして、薬物有害事象、アドヒアランス不良など多剤に伴う諸問題だけを指すのではなく、不要な処方、過量・重複投与などあらゆる不適正処方を含む概念に発展している。

本庶 佑氏が語るがんと共生する未来

 ノーベル生理学・医学賞受賞が決まった、本庶 佑氏(京都大学高等研究院副院長/特別教授)が、2018年11月1日、都内の日本医師会館で、「驚異の免疫力」と題して特別講演を行った。本講演では、がん免疫療法の現状と課題、そして将来への展望が語られた。  本庶氏が発見した抗PD-1抗体とその応用による「免疫療法」は、ヒト個人の免疫力・体力によってがん細胞を殺す新たな治療法だ。ノーベル賞受賞のきっかけとなったPD-1阻害によるがん免疫治療は、1)すべての種類のがんに効く可能性が高い、2)投与を止めても数年以上有効なので再発が少ない、3)がん細胞を直接攻撃せず、免疫系を活性化するので副作用があっても軽い、という理由から画期的な治療法だと、本庶氏は自信を持って紹介した。

死亡への影響が強いのは酷暑か極寒か/BMJ

 中国・復旦大学のRenjie Chen氏らによる同国主要都市272を対象とした時系列研究の結果、中国では外気温と死亡(すべての自然死および主な心肺疾患死)の関連を包括的に描くと非線形の関係性が示され、疾患負荷は主に中程度の寒さに起因していることが明らかにされた。先行研究において、すべての死亡負荷原因は評価されているが、非至適気温に起因する特異的疾患についてはほとんど評価されていない。また、非至適気温と関連する死因の包括的評価は行われていなかった。BMJ誌2018年10月31日号掲載の報告。