呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:260

グルコサミン、心血管イベントを抑制/BMJ

 変形性関節症の痛みを軽減するためのグルコサミンの習慣的な補充療法が、心血管疾患イベントのリスクを低減しており、とくに喫煙者でその効果が高い可能性があることが、米国・テュレーン大学のHao Ma氏らによる前向きコホート研究で明らかとなった。研究の成果はBMJ誌2019年5月14日号に掲載された。グルコサミン補助剤を用いる補充療法は、変形性関節症の治療で一般的に使用されているが、疾患や関節痛の軽減への効果は議論が続いている。その一方で、最近の動物実験やヒトの横断研究により、心血管疾患の予防や死亡率の抑制において役割を担う可能性が示唆され、前向き研究のエビデンスが求められている。

IV期NSCLCに対するEGFR-TKIと放射線療法の併用

 EGFR変異を有するIV期の非小細胞肺がん(NSCLC)における1次治療として、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)と胸部放射線療法を組み合わせた有効性と安全性が、前向き研究により検討された。  今回、中国・Xinqiao Hospitalがん研究所のLinPeng Zheng氏らが行った研究結果は、The oncologist誌オンライン版2019年4月30日号に掲載された。末期NSCLCにおける1次治療としてのEGFR-TKIと胸部放射線療法の併用は、原発性肺病変の長期管理を可能にするかもしれない。

がん患者の喫煙継続で増える治療失敗とコストはどの程度?

 喫煙は、がんの大きなリスク因子といわれているが、がん患者の喫煙継続およびがん1次治療の失敗増は、がん2次治療コストの有意な増大と関連していることが、米国・サウスカロライナ医科大学のGraham W. Warren氏らによる検討の結果、示された。著者は「さらなる調査を行い、コスト増を軽減する最適な方法を明らかにする必要があるだろう」と述べている。先行研究で、がん患者の喫煙継続は全死亡率・がん死亡率や二次原発がんリスク、がん治療の毒性作用を増大することが示唆されていたが、著者らによれば、喫煙によるがん治療の追加コストの推算はこれまでされていなかったという。JAMA Network Open 2019年4月5日号掲載の報告。

プロカルシトニン値による抗菌薬投与短縮と肺炎再発

 肺炎における抗菌薬投与について、プロカルシトニン(PCT)値に基づいた管理により、死亡率を増加させることなく投与期間を短縮したという研究がいくつか報告されている。今回、福岡大学筑紫病院の赤木 隆紀氏らの研究により、PCTガイドによる抗菌薬中止により、肺炎の再発を増加させることなく投与期間を短縮するのに役立つ可能性が示唆された。the American Journal of the Medical Sciences誌オンライン版2019年4月16日号に掲載。

重症OSAは非心臓手術後30日の心血管リスクと関連/JAMA

 非心臓大手術を受ける成人において、未診断の重症閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、術後30日の心血管合併症リスクの有意な増大と関連することが示された。中国・香港中文大学のMatthew T.V. Chan氏らが、1,218例を対象に行った前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2019年5月14日号で発表した。一般集団の検討で、未診断のOSAは心血管リスクを増大することが示されていたが、OSAが周術期において同程度のリスクとなるかは不明であった。今回の結果について著者は、「さらなる研究を行い、介入によって同リスクが軽減可能かを評価する必要がある」とまとめている。

IV期NSCLCにおける放射線治療と免疫CP阻害薬の相乗効果

 切除不能な局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学放射線同時療法の維持治療にデュルバルマブが適応になるなど、放射線治療と免疫チェックポイント阻害薬との組み合わせは相乗効果をもたらすとされる。しかし、IV期NSCLCにおける放射線治療の意義を明確に示した報告は少ない。埼玉医科大学国際医療センターの山口央氏らは、放射線療法(RT)の治療歴がその後のニボルマブ(抗PD-1抗体)の治療効果や予後に影響を与えるかを後方視的に解析した。Thoracic Cancer誌2019年4月号の掲載報告。

CVD高リスクCOPD、LAMAの長期安全性確認/JAMA

 心血管疾患リスクの高いCOPD患者に対して、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)アクリジニウムの長期投与はプラセボと比較して、3年時点の主要心血管イベント(MACE)リスクについて非劣性であることが示された。中等症~重症COPDの1年時増悪率も有意に減少した。米国・ジョンズ・ホプキンズ大学のRobert A. Wise氏らが、約3,600例を対象に行った多施設共同無作為化二重盲検試験の結果で、JAMA誌2019年5月7日号で発表した。LAMAについては、COPD患者の心血管罹患率および死亡率を増大するとの懸念が示されていた。

5/9呼吸の日に「ぜん息外来.jp」リリース

 アストラゼネカ株式会社は、5月9日“呼吸の日”に喘息治療サポートサイト「ぜん息外来.jp」をオープンした。  本サイトは、「ぜん息について」「あなたのぜん息タイプは?」「知ろう、あなたのぜん息コンディション」「専門医からのメッセージ」「医療機関検索」という5つのコンテンツで構成され、疾患が起こるメカニズムや検査、重症化の原因によって分けられる喘息のタイプなど、喘息に関する最新情報を提供する。  とくに喘息患者の5~10%を占める重症喘息については、昨今の研究によって好酸球などの存在が喘息を悪化させる原因として明らかになってきた。

内容充実!『がん免疫療法ガイドライン』の第2版が発刊

 2019年3月29日、日本臨床腫瘍学会が編集した『がん免疫療法ガイドライン第2版』が発刊。2016年に初版が発行されてから2年。非常にスピーディな改定が行われた。今回の改定では、この間に明らかとなった各疾患での治療エビデンスや副作用管理などが集約化された。  本ガイドラインの構成についての大幅なリニューアルはないが、各項の解説が「発症の頻度」、「臨床症状と診断」、「治療方針」に細分化されたことで、実臨床に役立てやすくなっている。

新インフルワクチンで毎年の接種不要に? P1試験開始/NIH

 インフルエンザワクチンは次シーズンの流行予測に基づき、ワクチン株を選定して毎年製造される。そのため、新たな変異株の出現と拡大によるパンデミックの可能性に、世界中がたえず直面している。米国国立衛生研究所(NIH)は4月3日、インフルエンザウイルスの複数サブタイプに長期的に対応する“万能(universal)”ワクチン候補の、ヒトを対象とした初の臨床試験を開始したことを発表した。  この新たなワクチン候補は、菌株ごとにほとんど変化しない領域に免疫系を集中させることで、さまざまなサブタイプに対する防御反応を行うよう設計された。本試験は、米国国立アレルギー感染症研究所のワクチンリサーチセンター(VRC)が主導している。