呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:306

喘息様症状、COPD増悪に影響せず

 喘息様症状を有するCOPD患者は、適切な治療の下では良好な臨床経過をたどることが、北海道大学医学部の鈴木 雅氏により報告された。American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2016年5月25日号掲載の報告。  COPD患者の中には、喘息の臨床的診断こそつかないものの、喘息様症状を有する患者が存在する。しかし、こうした喘息様症状とCOPDが重複する病態の臨床的意義は明確ではない。本研究では、北海道COPDコホート研究による10年間の追跡結果を用いて、適切な治療を行った場合に喘息様症状がCOPD患者の臨床経過にどのような影響をもたらすのかを評価した。

急性内科疾患への長期抗血栓療法は有効?/NEJM

 Dダイマー高値の急性内科疾患患者に対し、経口抗Xa薬のbetrixaban長期投与とエノキサパリン標準投与について比較検討した結果、有効性に関する有意差は認められなかった。英国キングス・カレッジ・ロンドンのAlexander T. Cohen氏らが国際多施設共同二重盲検ダブルダミー無作為化試験「APEX」の結果、報告した。急性内科疾患患者は、静脈血栓症(VT)の長期的リスクを有するが、抗血栓療法の適切な継続期間については明らかになっていない。NEJM誌オンライン版2016年5月27日号掲載の報告。

失業とがん死亡の関連:世界銀行とWHOのデータから/Lancet

 失業率上昇はがん死亡率上昇と関連する。しかし、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC;http://uhcday.jp)はこの影響を阻止することが可能である。また、公的保健医療支出の増加はがん死亡率の低下と関連していることを、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMahiben Maruthappu氏らが、がん死亡率と失業率、公的保健医療支出との関連、ならびにUHCの影響を調査する縦断的研究の結果、報告した。世界経済危機は、失業率の増加、および公的保健医療支出の減少と関連することが知られる。これまでそれに関して、がん転帰との関連を分析した研究はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2016年5月25日号掲載の報告。

PM2.5やNOxの増加が冠動脈石灰化に関連/Lancet

 大都市圏におけるPM2.5や自動車排出ガスなど大気汚染物質濃度の増加は、冠動脈石灰化と関連しており、アテローム性動脈硬化症の進展を早めることを、米国・ワシントン大学のJoel D Kaufman氏らが明らかにした。環境大気汚染への長期曝露と、冠動脈石灰化の進行および頸動脈内膜中膜厚(IMT)の増加との関連を評価した、10年にわたる前向きコホート研究「MESA Air」の結果、報告した。PM2.5や自動車排出ガスによる大気汚染物質への長期曝露は心血管リスクと関連しているが、その背後にある心血管疾患の経過は不明であった。著者は、「心血管疾患予防という点で大気汚染の削減へ向けて世界規模での取り組みが必要である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年5月24日号掲載の報告。

重症肺気腫、両側気管支内コイル治療で運動耐性が向上/JAMA

 重症エアトラッピングが認められる肺気腫患者に対し、気管支拡張薬などによる標準的治療に加え両側気管支内コイル治療を行うと、標準的治療のみに比べ、6分間歩行などのアウトカムの改善に有効であることが判明した。一方で、重篤合併症の発生率は、コイル治療群で高かった。米国・ピッツバーグ大学のFrank C. Sciurba氏らが、315例を対象に行った無作為化比較試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、さらなる検討を行い、健康アウトカムへの長期的影響を調べる必要があるとまとめている。JAMA誌2016年5月24・31日号(オンライン版2016年5月15日号)掲載の報告。

急性呼吸促迫症候群、アスピリン早期投与で予防できるか/JAMA

 急性呼吸促迫症候群(ARDS)の発症に、アスピリンの早期投与は効果があるのか、米国・メイヨークリニック大学のDaryl J. Kor氏らが、第II相の多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行い検討した。救急部門(ED)に出現した高リスク患者390例を対象に検証した結果、7日時点のARDS発症に有意差は認められなかったという。ARDS治療は支持療法が主である。一方で、早期介入の発症予防効果は明らかになっていなかった。研究グループは、アスピリンを用いた早期介入の有効性と安全性を検証したが、試験の結果を踏まえて、「より大規模な第III相試験の実施を支持するデータが得られなかった」と結論している。JAMA誌オンライン版2016年5月15日号掲載の報告より。

合成性ホルモン・ダナゾールでテロメア伸長を確認/NEJM

 テロメア疾患患者に対し、合成性ホルモンのダナゾールの経口投与による治療によって、テロメア伸長がもたらされたことが示された。米国立心肺血液研究所(NHLBI)のDanielle M. Townsley氏らが同疾患患者を集めて行った第I-II相前向き試験の結果で、NEJM誌2016年5月19日号にて発表された。テロメア維持・修復の遺伝子異常は、骨髄不全、肝硬変、肺線維症を引き起こすこと、またがんに対する感受性を高めることが知られている。歴史的に、骨髄不全症候群の治療としてアンドロゲンが有用とされてきたが、組織培養と動物モデルにおける検討で、性ホルモンがテロメラーゼ遺伝子発現を調節することが確認されていた。