呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:306

MEK1/2阻害薬、KRAS変異陽性NSCLCの予後改善示せず/JAMA

 既治療の進行KRAS変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療において、ドセタキセル(DOC)にselumetinibを追加しても、DOC単剤に比べ無増悪生存(PFS)は改善されないことが、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のPasi A.Janne氏らが実施したSELECT-1試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月9日号に掲載された。KRAS変異は、肺腺がん患者の約25%に発現し、NSCLCで最も高頻度にみられる遺伝子変異であるが、これを標的とする分子標的薬で承認を得たものはない。KRAS変異は、MAPKキナーゼ(MEK)に関与するMAPK経路を含むシグナル伝達経路の下流の活性化によって腫瘍の増殖を促進する。selumetinibは、MEK1とMEK2を選択的に阻害する経口薬で、アロリスティックにKRAS変異を抑制する。

世界および日本において喫煙対策は急務である(解説:有馬 久富 氏)-678

 Global Burden of Disease Study 2015から喫煙に関する成績がLancet誌に報告された。その結果は、世界において男性の25%、女性の5%が喫煙しており、年間640万人が喫煙のために死亡しているというショッキングなものであった。死因別にみると、心血管病死亡の41%、悪性新生物による死亡の28%、呼吸器疾患による死亡の21%が、喫煙によるものであった。つまり、喫煙者がいなくなることにより、心血管病死亡が約4割、悪性新生物による死亡が約3割、呼吸器疾患による死亡が約2割減少し、年間640万人の死亡が回避できると期待される。

染色体不安定性、NSCLC再発・死亡リスクを増大/NEJM

 染色体不安定性(chromosome instability)を介して誘導される腫瘍内不均一性(intratumor heterogeneity)は、非小細胞肺がん(NSCLC)の再発や死亡のリスクを高めることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのMariam Jamal-Hanjani氏らTRACERxコンソーシアムの検討で示された。この知見は、肺がんの予後予測因子としての染色体不安定性の可能性を支持するものだという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年4月26日号に掲載された。NSCLCの腫瘍内不均一性やゲノム進化(genome evolution)の詳細な探索については、小規模な後ろ向きコホート研究しか行われておらず、治療戦略の指針となる腫瘍内不均一性の臨床的重要性や、ドライバー・イベントのクローン性は不明とされている。

アルツハイマー病患者へのベンゾジアゼピン使用と肺炎リスク

 ベンゾジアゼピンや同様の作用を有する非ベンゾジアゼピン(Z薬)が、高齢者の肺炎リスク増加と関連しているかはよくわかっていない。フィンランド・Kuopio Research Centre of Geriatric CareのHeidi Taipale氏らは、催眠鎮静薬の使用と肺炎を有するアルツハイマー病患者を対象に、この関連性を調査した。CMAJ(Canadian Medical Association Journal)誌2017年4月10日号の報告。