呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:307

迅速分子検査法、超多剤耐性結核菌を検出可能か/NEJM

 試薬カートリッジを用いて喀痰検体から直接、薬剤耐性結核菌の同定が可能な自動分子検査法について、研究開発中の試薬カートリッジを臨床評価した結果、イソニアジド、フルオロキノロン系薬、アミノグリコシド系薬への耐性と関連する結核菌の変異を、正確に検出可能であることが確認された。米国・国立アレルギー・感染症研究所のYingda L. Xie氏らが、NEJM誌2017年9月14日号で報告した。同検査法については、試薬カートリッジXpert MTB/RIFと解析器GeneXpertを用いたシステムが、2時間で結核菌群およびリファンピシン耐性遺伝子を検出可能であり、世界中の結核プログラムで使用されている。一方、フルオロキノロン系薬と注射二次薬は、多剤耐性結核の治療の柱であるが、これらに耐性を示す場合は超多剤耐性結核と定義される。開発中の試薬カートリッジは、そうした患者の迅速な検出や、リファンピシン耐性患者の適切な抗菌薬選択に有用なものと期待されていた。

米国で経鼻弱毒生インフルエンザワクチンが非推奨へ変更された理由(解説:小金丸博氏)-739

米国では2003年より、経鼻タイプの弱毒生インフルエンザワクチンが導入された。経鼻弱毒生ワクチンは一般的な不活化ワクチンと比べて予防効果が高いとされ、とくに小児領域で高い評価を受けてきた。日本でも2016年に承認申請が出され、国内での流通開始が待ち望まれていたワクチンだったが、米国予防接種諮問委員会(ACIP)は一転「2016-17年シーズンの弱毒生インフルエンザワクチンの接種を推奨しない」と勧告した。本論文を読むことで、経鼻弱毒生ワクチンが非推奨へ変わった理由を知ることができる。

ALK陽性肺がん2次治療におけるアレクチニブと化学療法との第III相比較試験(ALUR)/ESMO2017

 ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)治療の現在の標準はクリゾチニブである。しかし、多くの患者は、1年以内にPDを経験し、それはとくに中枢神経系(CNS)でよくみられる。第III相ALUR試験は、プラチナベース化学療法およびクリゾチニブ既治療のALK陽性NSCLCにおいて、アレクチニブと標準化学療法の有効性および安全性を比較試験であり、その初期結果がスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)で、イタリアUniversity of TurinのS. Novello氏より発表された。

オシメルチニブ、東アジア人のCNS転移例における効果(AURA17)/ESMO2017

オシメルチニブのT790M陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)のCNS転移例に対する有効性は、国際研究(AURA拡大およびAURA2試験のプール解析)で示されている。スペイン・マドリッドで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)においては、EGFR-TKIで進行した東アジア人患者のCNS転移例に対するオシメルチニブの第II相オープンラベル、シングルアーム試験AURA17の結果が報告された。

NSCLC1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法の追跡結果(KEYNOTE-021)/ESMO2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、ペメトレキセド+カルボプラチン化学療法(PC)群とペムブロリズマブ+化学療法(pembro+PC)群とを比較した第II相試験、KEYNOTE-021コホートGの更新結果が、米国Fox Chase Cancer Center のHossein Borghaei氏によりスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congerss)で発表された。

既治療の非小細胞肺がんに対するnab-パクリタキセル、単独およびdurvalumabとの併用が有望(abound2L+)/ESMO2017

 既治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する2次、3次治療は免疫チェックポイント阻害薬の登場で進化した。しかし、長期間のベネフィットを得られる患者は一部であり、最終的に化学療法を追加することになる患者も少なくない。nab-パクリタキセル(nab-P)はカルボプラチンとの併用で、進行NSCLCの1次治療の認可を得ているが、2次治療における効果も報告されている。またアザシチジン(CC-486)のようなDNAメチル基転移酵素阻害薬は免疫チェックポイント阻害薬と同様に化学療法の効果を上げるとされる。スペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017 Congress)において、nab-Pの単独療法とCC-486、およびPD-L1阻害剤durvalumabとの併用における安全性と有効性を評価したabound2L+試験の結果が、米国Washington University School of MedicineのDavid Morgenszter氏により発表された。

ダブラフェニブ・トラメチニブ併用、BRAF変異肺がん1次治療で奏効率64%/ESMO2017

 BRAF遺伝子変異でもっとも一般的なBRAF V600Eは、肺腺がんの1~2%に認められる。このBRAF V600E変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の未治療患者に対する、BRAF阻害薬ダブラフェニブ(商品名:タフィンラー)とMEK阻害薬トラメチニブ(商品名:メキニスト)の併用療法の第Ⅱ相試験の結果を、スペイン・マドリードで開催された欧州腫瘍学会(ESMO2017)でフランス Institute Gustave RoussyのDavid Planchard氏が発表した。

durvalumabとオシメルチニブは新たな標準治療となりうるか:PACIFIC/FLAURA試験

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)では、抗PD-L1抗体durvalumabの第III相PACIFIC試験ならびに第3世代EGFR-TKIオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)の第III相FLAURA試験という、肺がん領域の2つの大きな臨床試験結果が発表された。発表後、PACIFIC試験の主任研究者であるスペイン・Hospital Universitario de OctubreのLuis Paz-Ares氏、FLAURA試験の主任研究者である米国・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏がプレスに対して試験結果について解説した。本稿では、開発企業であるアストラゼネカ株式会社メディカル本部オンコロジー領域部部門長の橋上 聖氏および同社Global Medicines Development、Head of Oncology、Senior Vice PresidentのKlaus Edvadsen氏へのインタビュー内容を交え、今回の結果からみえてきた点や今後の展望について紹介する。

チオトロピウムの肺機能低下抑制、軽~中等症でも/NEJM

 軽症~中等症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するチオトロピウム(商品名:スピリーバ)は肺機能の低下を抑制することが、中国・国立呼吸器疾患センターのYumin Zhou氏らが841例を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、示された。軽症~中等症COPD患者は、症状がみられることが少なく薬物療法が行われることはほとんどない。研究グループは、そうした患者へのチオトロピウム投与は、肺機能を改善し、肺機能低下を抑制するのではないかと仮説を立て検証試験を行った。NEJM誌2017年9月7日号掲載の報告。