呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:322

上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬に耐性の非小細胞肺がんに対するAZD9291の効果について(解説:小林 英夫 氏)-361

 すでにご承知の読者も多いであろうが、非小細胞肺がんの臨床において2002年から登場した上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)は現在不可欠な薬剤となっている。2014年版日本肺癌学会編『EBMの手法による肺癌診療ガイドライン』においても、手術不能非扁平上皮がんでEGFR遺伝子変異陽性例に治療推奨グレードAと位置付けられた。

ロシレチニブ、EGFR T790M耐性変異NSCLCに有効/NEJM

 ロシレチニブ(rociletinib)は、T790M耐性変異による上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)で、多くの前治療歴がある患者に対し、優れた抗腫瘍効果と持続的な病勢コントロールをもたらすことが、米国・マサチューセッツ総合病院のLecia V Sequist氏らの検討で示された。EGFR変異陽性NSCLC患者における既存のEGFR阻害薬に対する耐性の原因の多くはEGFR T790M変異である。ロシレチニブは新規の経口EGFR阻害薬であり、EGFR変異陽性NSCLCの前臨床モデルにおいて、T790M耐性変異の有無にかかわらず抗腫瘍活性が確認されている。NEJM誌2015年4月30日号掲載の報告。

第3世代EGFR-TKI、既存TKI耐性のNSCLCに有効/NEJM

 開発中の上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるAZD9291は、既存のEGFR-TKIに耐性となった非小細胞肺がん(NSCLC)に対し高い抗腫瘍効果を発揮することが、米国・ダナファーバーがん研究所のPasi A Janne氏らの検討で示された。 EGFR T790M変異は、 EGFR 変異を認める肺がん( EGFR 変異陽性肺がん)患者のEGFR-TKIに対する薬剤耐性の獲得機構として最も頻度が高いとされる。AZD9291は、EGFR-TKI活性化変異およびT790M耐性変異を選択的かつ不可逆的に阻害する第3世代の経口EGFR-TKIで、前臨床モデルではこれらの変異の双方に有効であることが確認されている。NEJM誌2015年4月30日号掲載の報告より。

EGFR遺伝子変異検査、アジアで高い実施率

 ベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社(本社:東京都品川区)は2015年4月、肺がん専門医を対象としたの国際調査の結果を発表。この国際調査は、進行非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の診断、遺伝子変異検査、治療実態について把握することを目的として、10ヵ国(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、スペイン、台湾、英国、米国)、562人の医師を対象に行われた。調査期間は2014年12月~2015年1月。ベーリンガーインゲルハイムがスポンサーとなり実施され、本年(2015年)の欧州肺癌学会議(ELCC)において発表された。

喫煙は人工股関節全置換術後合併症の有意なリスク因子

 喫煙は人工股関節全置換術(THA)後にインプラント関連合併症の頻度を増加させる可能性があるとの報告が増えてきている。ドイツ・ハノーバー医科大学のSongsong Teng氏らは、メタ解析にてその関連を調べた。結果、喫煙はTHA後の無菌性のゆるみ、深部感染症および再置換術のリスク増加と関連していることを報告した。PLoS One誌オンライン版2015年4月24日号の掲載報告。

コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究

これまで、コーヒー摂取と死亡・主要死因別死亡との関連を検討した前向きコホート研究はほとんどなかったが、今回、わが国における前向き大規模コホート研究(JPHC Study※)により、習慣的なコーヒーの摂取が全死亡および心疾患、脳血管疾患および呼吸器疾患による死亡リスクを減らす可能性が示唆された。The American journal of clinical nutrition誌2015年5月号(オンライン版2015年3月11日号)に掲載。