呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

切除可能非小細胞肺がんに対する 術前・後ペムブロリズマブ、無イベント生存期間を改善(KEYNOTE-671)/MSD

 Merck社は2023年3月1日、Stage II、IIIA、IIIB(T3-4N2)の切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する周術期療法としてのペムブロリズマブを評価する第III相KEYNOTE-671試験において、2つの主要評価項目のうち無イベント生存期間(EFS)を達成したことを発表した。周術期療法レジメンには術前補助療法(ネオアジュバント療法)とそれに続く術後補助療法(アジュバント療法)が含まれる。

軽症COVID-19でも脳の構造に変化が生じる可能性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後には、脳の構造的・機能的な変化が生じており、不安や抑うつ症状のある人ではそのような変化の程度が強いことを示す研究結果が報告された。カンピーナス大学(ブラジル)のClarissa Yasuda氏らの研究によるもので、第75回米国神経学会(AAN2023、4月22~27日、ボストン)での発表に先立ち、研究要旨が2月20日にオンラインで公開された。  COVID-19の急性期以降にさまざまな症状が遷延する、いわゆる「long COVID」では、不安や抑うつといったメンタルヘルス関連症状が現れることが少なくない。ただし、それらの症状の有無と、脳の構造的・機能的な変化の関連はほとんど明らかにされていない。Yasuda氏は、「long COVIDについてはまだ研究すべきテーマが数多く残されている。われわれの研究によって、急性期に軽症であった患者でさえ、罹患から数カ月後に脳の変化が観察されたことは、新たな懸念材料と言える。患者の生活の質(QOL)が長期間低下してしまうことへの予防的な介入法の確立に向けて、さらに多くの研究が必要とされる」と述べている。

3回接種後の効果、ファイザー製/モデルナ製各160万人で比較/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のデルタ変異株~オミクロン変異株の流行期において、BNT162b2(ファイザー製)ワクチンまたはmRNA-1273(モデルナ製)ワクチンによるブースター接種はいずれも、接種後20週以内のSARS-CoV-2感染および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院に関して適度な有益性があることが、英国・オックスフォード大学のWilliam J. Hulme氏らのマッチドコホート研究で明らかとなった。BMJ誌2023年3月15日号掲載の報告。  研究グループは、OpenSAFELY-TPPデータベースを用いてコホート研究を行った。本データベースは英国の一般診療所の40%をカバーし、国民保健サービス(NHS)番号を介して救急外来受診記録、入院記録、SARS-CoV-2検査記録および死亡登録と関連付けられている。

免疫チェックポイント阻害薬などを横断的に概説、『がん免疫療法ガイドライン』改訂/日本臨床腫瘍学会

 がんに対する免疫を介在した治療方法(がん免疫療法)は、新しい薬剤の開発および臨床試験の蓄積により近年急速に発展している。CTLA-4やPD-1/PD-L1といった免疫チェックポイントを標的とした免疫チェックポイント阻害薬(ICI)ががん種横断的に承認されているほか、エフェクターT細胞療法や、複数のICIを組み合わせて使う併用療法、ICIと従来の抗がん剤、分子標的薬、血管新生阻害薬、放射線治療等とを組み合わせた治療法も続々と登場している。

EGFR-TKI抵抗性NSCLC、HER3-DXd最新データ(U31402-A-U102)/日本臨床腫瘍学会

 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)抵抗性のEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、抗HER3抗体薬物複合体patritumab deruxtecan(HER3-DXd)を投与したU31402-A-U102試験について、最新の結果が報告された。2023年3月16日~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で近畿大学病院の林 秀敏氏が発表した。  HER3はHERファミリーに属する受容体型チロシンキナーゼ(RTK)であり、ホモダイマーを形成することはできず、ヘテロダイマーを形成することにより、対となるRTKを活性化するとされている。主にHER2とヘテロダイマーを形成する。

手術前後デュルバルマブ、非小細胞肺がんの無イベント生存を有意に延長(AEGEAN)/AZ

 アストラゼネカ社は2023年3月9日、第III相AEGEAN試験の中間解析の結果を発表した。切除可能な早期(IIA~IIIB期)非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした同試験の中間解析において、術前での化学療法とデュルバルマブの併用および術後デュルバルマブ単剤治療は、術前化学療法単独と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無イベント生存期間(EFS)延長を示している。

ペムブロリズマブの去勢抵抗性前立腺がんおよびEGFR陽性非小細胞がんの第III相試験/MSD

 Merck社は2023年2月28日、第III相試験KEYNOTE-641およびKEYNOTE-789の最新情報を公開。転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびアンドロゲン除去療法(ADT)との併用を評価する第III相KEYNOTE-641試験については、独立データモニタリング委員会の勧告に基づき中止する。中間解析において、ペムブロリズマブとエンザルタミドおよびADTの併用療法では、プラセボ+エンザルタミドおよびADTと比較して、2つの主要評価項目である画像上の無増悪生存期間(rPFS)または全生存期間(OS)の改善が確認されず、OSについては事前に設定した無益性の境界(futility boundary)を超えた。

日本におけるオミクロン期のコロナワクチンの有効性は?/長崎大

 長崎大学熱帯医学研究所の前田 遥氏らの多施設共同研究チームは、2021年7月1日より、日本国内における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン効果のサーベイランス「VERSUS(Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2)」を実施している。オミクロン株BA.1/BA.2の流行期における新型コロナmRNAワクチンの効果についてVERSUSのデータを基に評価したところ、初回シリーズの接種により緩やかな予防効果が得られ、さらに、有症状感染を防ぐにはブースター接種がより効果的であったことが明らかとなった。本結果は、Expert Review of Vaccines誌オンライン版2023年3月8日号に掲載された。

2歳までの下気道感染、成人期の呼吸器疾患死リスク約2倍/Lancet

 幼児期に下気道感染症に罹患すると、肺の発達が阻害され、成人後の肺機能の低下や慢性呼吸器疾患の発症リスクが高まるといわれている。そのため、幼児期の下気道感染症の罹患は、呼吸器疾患による成人早期の死亡を引き起こすのではないか、という仮説も存在する。しかし、生涯を通じたデータが存在しないことから、この仮説は検証されていなかった。そこで、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJames Peter Allinson氏らは、1946年の出生コホートを前向きに追跡した。その結果、2歳未満での下気道感染があると、26~73歳の間に呼吸器疾患によって死亡するリスクが、約2倍となることが示された。Lancet誌オンライン版2023年3月7日号の報告。

生後6ヵ月~4歳児に、ファイザー2価ワクチン追加接種を承認/FDA

 米国食品医薬品局(FDA)は3月15日、ファイザーの新型コロナウイルスのオミクロン株BA.4/BA.5対応2価ワクチンについて緊急使用許可(EUA)を修正し、生後6ヵ月~4歳の小児において、同社の1価ワクチンの3回接種(初回シリーズ)が完了してから少なくとも2ヵ月後に、2価ワクチンによるブースター接種1回を行うことができることを発表した。  2022年12月に、生後6ヵ月~4歳の小児は、1価ワクチンの初回シリーズの2回目までを接種した者に対して、3回目に2価ワクチンを接種することが承認されていた。今回の生後6ヵ月~4歳への2価ワクチンブースター接種の承認では、上記の3回目に2価ワクチンを接種した小児は対象外となり、初回シリーズをすべて1価ワクチンで3回接種した者のみが対象となる。