呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:60

医療者の無症候コロナ感染が増加、既感染の割合は?/順大

 本邦では、ワクチン接種率が高いにもかかわらず、多くの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者が確認されている。しかし、感染の既往を示す抗体の陽性率に関する研究は限られている。そこで順天堂大学では、医療者をはじめとした職員を対象として、2020年から年次健康診断時に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗体検査を実施している。2020年、2021年における抗N抗体※陽性率はそれぞれ0.34%、1.59%と低かったが、今回報告された2022年の調査結果では、17.9%に増加していた。また、抗N抗体陽性者のうち、約半数は感染の自覚がなかったことが明らかになった。本研究結果は、順天堂大学の金森 里英氏らによって、Scientific Reports誌2023年3月27日号で報告された。

PM2.5曝露で認知症リスク増加の可能性~メタ解析/BMJ

 直径2.5ミクロン未満の微小粒子状物質(PM2.5)への曝露が認知症リスクの増加と関連する可能性があり、ややデータが少ないものの二酸化窒素と窒素酸化物への曝露にも同様の可能性があることが、米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のElissa H. Wilker氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年4月5日号に掲載された。  研究グループは、認知症リスクにおける大気汚染物質の役割の調査を目的に、文献の系統的レビューとメタ解析を行った(Harvard Chan National Institute of Environmental Health Sciences Center for Environmental Healthなどの助成を受けた)。

新型コロナ、5類感染症変更後の療養期間を発表/厚労省

 厚生労働省は4月14日、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更される5月8日以降の取り扱いについて発表した。5類変更後の療養期間は、法律に基づく外出自粛は求められず個人の判断に委ねられる。そのうえで外出を控えることが推奨される期間として、発症日を0日目として5日間は外出を控えること、かつ、5日目に症状が続いている場合は、熱が下がり、痰や喉の痛みなどの症状が軽快して24時間程度が経過するまでは外出を控え様子を見ることとした。なお、学校における取り扱いについては、文部科学省にてパブリックコメントを実施予定。

ニボルマブ+化学療法のNSCLCネオアジュバント、3年間の追跡でも持続的ベネフィット示す(CheckMate 816)/BMS

ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年3月30日、第III相CheckMate 816試験の3年間の追跡調査の結果を発表した。同結果では、切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、ニボルマブとプラチナを含む化学療法の併用療法の3回投与が持続的な臨床ベネフィットを示した。  中央値41.4ヵ月の追跡調査における3年間の無イベント生存期間(EFS)率は、ニボルマブと化学療法の併用療法群で57%、化学療法単独群では43%であった(ハザード比[HR]:0.68、95%信頼区間[CI]:0.49〜0.93)。また、無作為割付け日から遠隔転移または死亡までの期間(TTDM)において、ニボルマブと化学療法の併用療法群は引き続き良好な結果を示し(HR:0.55、95%CI:0.39~0.78)、3年間のTTDM率は、ニボルマブと化学療法の併用療法群で71%、化学療法単独群では50%であった。

60歳以上への2価RSVワクチン、下気道・急性呼吸器疾患を予防/NEJM

 呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症に対する2価融合前F蛋白ベース(RSVpreF)ワクチンは、60歳以上の高齢者において、RSV関連下気道感染症およびRSV関連急性呼吸器疾患を予防し、安全性への明らかな懸念はないことが示された。米国・ロチェスター大学医療センターのEdward E. Walsh氏らが、日本を含む7ヵ国240施設が参加し行われた無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「RENOIR試験」の中間解析結果を報告した。RSV感染症は、高齢者に重大な疾患を引き起こすが、高齢者集団におけるRSVpreFワクチンの有効性と安全性は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年4月5日号掲載の報告。

認知症のリスクを下げる7種類の習慣

 心臓に良いことは、脳にも良い――。これは、心臓の健康を維持するための7種類の習慣が、認知症の発症リスクも抑制する可能性のあることを示した、新しい研究からのメッセージだ。この研究は、米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のPamela Rist氏らによって行われ、第75回米国神経学会(AAN2023、4月22~27日、ボストン)での発表に先立ち、研究要旨が2月27日にオンラインで公開された。  この研究で認知症リスク抑制効果が評価された7項目のリストには、より多く体を動かすこと、より健康的な食事を取ること、適正体重を維持すること、タバコを吸わないこと、血圧とコレステロールおよび血糖値を良好に保つことが含まれている。これらは米国心臓協会(AHA)が、心臓の健康維持のために提唱していた「Life's Simple 7」と呼ばれるもの。なお、現在はこれらに加えて「睡眠」も留意すべき事柄とされ、「Life's Essential 8」と呼ばれている。

妊婦への2価RSVワクチン、乳児の重症下気道感染を予防/NEJM

 妊婦への2価RSV融合前F蛋白ベース(RSVpreF)ワクチン投与は、乳児において診察を要する重症の呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連下気道感染症に対し予防効果があり、安全性への懸念は示されなかった。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のBeate Kampmann氏らが、約7,400例の妊婦とその出生児を対象に行った第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。これまで、同ワクチンの妊婦への投与の効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年4月5日号掲載の報告。

コロナ入院患者のヘパリンによる治療効果、重症度・BMIで差/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者において、治療量ヘパリン投与の効果にばらつきがあることが、カナダ・トロント総合病院のEwan C. Goligher氏らにより示された。治療効果の異質性(HTE)を3つの手法で評価した結果、入院時の重症度が低い人やBMI値が低い人では有益である可能性があるが、重症度が高い人やBMI値が高い人では有害となる可能性が高かったという。これまでに行われたCOVID-19入院患者を対象とした治療量ヘパリンに関する無作為化臨床試験(RCT)では相反する結果が示されており、個人間のHTEが原因ではないかとみなされていた。結果を踏まえて著者は、「RCTのデザインおよび解析では、HTEを考慮することが重要であることが示された」とまとめている。JAMA誌2023年4月4日号掲載の報告。

ICI肺臓炎に対するプレドニゾロン6週間治療/日本臨床腫瘍学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連肺臓炎(irP)に対するプレドニゾロン6週間漸減療法の効果が示された。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)における、浜松医科大学の柄山 正人氏の発表。  irPはICIの重篤な有害事象(AE)であり、がん治療の経過にも大きく影響する。irPの標準治療は全身性ステロイドの投与だが、前向き試験は行われておらず、投与量・期間は明らかになっていない。そのような中、柄山氏らは、irPに対するプレドニゾロン6週間漸減療法の有効性と安全性を評価する前向き多施設単群第II相試験を行った。

肺がん・上部消化器がん、オランザピンが食欲・体重を改善/JCO

 食欲減退は進行がん患者の30~80%にみられ、化学療法により悪化することがある。そこで、インド・Jawaharlal Institute of Postgraduate Medical Education and ResearchのLakshmi Sandhya氏らは、がん患者の化学療法に伴う消化器症状の改善に用いられるオランザピンについて、食欲亢進・体重増加効果を検討した。肺がん患者、上部消化器がん患者に対して、化学療法中に低用量のオランザピンを毎日投与することで、食欲亢進および体重増加が認められた。本研究結果は、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年3月28日号に掲載された。