呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:61

循環器領域における「睡眠呼吸障害の診断・治療ガイドライン」改訂で“睡眠”も心血管リスク因子に

 睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB)が循環器疾患の重要なリスク因子であることが明らかになり、2010年に『循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』が発刊された。あれから13年、3月11日に本ガイドライン(以下、GL)の2023年改訂版が発刊され、第87回日本循環器学会学術集会の「ガイドラインに学ぶ2」において、葛西 隆敏氏(順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科 准教授)が改訂ポイントを6つに絞り、改訂の背景や臨床に役立つ点を発表した。

コロナ感染率と死亡率、米国各州で異なる要因は?/Lancet

 米国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックへの対応に苦労したが、州別にみると一律ではなく、将来的なパンデミックの対策に活かせる点が見いだせたことを、米国・外交問題評議会(CFR)のThomas J. Bollyky氏らが、同国の公的データベースを用いた観察的分析の結果で報告した。著者は、「今回の調査結果は、将来の危機において、より良い健康アウトカムを促進するための臨床的および政治的介入の設計と目標に寄与するものとなるだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2023年3月23日号掲載の報告。

5歳未満のコロナワクチン、地域の流行状況と有効性のバランスを鑑みて(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

生後6ヵ月~4歳児に対するファイザー製コロナワクチン「BNT162b2」3回接種の安全性と有効性がNEJM誌に示されたので、現状と照らし合わせて検討してみたい。現在日本では、6ヵ月~4歳児に対するコロナワクチンは、この論文で示されている12歳以上の1/10量であるBNT162b2ワクチン3μgを3週間間隔で2回、その後8週間以上空けて3回目接種が可能となっている(厚生労働省「生後6か月~4歳の子どもへの接種(乳幼児接種)についてのお知らせ」)。

ペムブロリズマブ+化学療法、悪性胸膜中皮腫1次治療のOSを改善/MSD

 2023年3月10日、Merck社は切除不能な進行または転移のある悪性胸膜中皮腫の1次治療においてペムブロリズマブと化学療法の併用療法を評価する第II/III相CCTG IND.227/KEYNOTE-483試験で、主要評価項目の全生存期間(OS)を達成したことを発表した。  IND.227/KEYNOTE-483試験は、Canadian Cancer Trials Group(CCTG)が実施医療機関となり、National Cancer Institute of Naples(NCIN)およびIntergroupe Francophone de Cancerologie Thoracique(IFCT)と共同で実施する非盲検無作為化第II/III相試験である。

肺がんパネル検査、RT-PCR(Amoy 9 in 1)の臨床応用/日本臨床腫瘍学会

 肺がん遺伝子パネル検査における、リアルタイムPCR(RT-PCR)Amoy 9 in 1の実用性を、大阪国際がんセンターの國政 啓氏が発表した。  次世代シークエンス(NGS)は多くの遺伝子を包括的に同定できる一方、コストが高く、解析結果の返却までの時間(TAT)が比較的長い。RT-PCRは低コストでTATが短い反面、同定できる遺伝子が限定される。第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)で、國政氏が発表したリアルワールド研究では、LC-SCRUM-Asiaに登録した自施設の肺がん患者を対象に、Amoy 9 in 1とNGSの検査成績と実用性を、2019年6月~2021年12月に比較解析している。

新型コロナ治療薬ゾコーバ錠125mgの一般流通開始/塩野義

 塩野義製薬は3月31日付のプレスリリースにて、同社の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬ゾコーバ錠125mg(一般名:エンシトレルビル フマル酸)について、同日より一般流通を開始したことを発表した。薬価は、1錠7,407.4円となる。  本剤は、2022年11月22日付で厚生労働省より「SARS-CoV-2による感染症」の適応で、緊急承認制度(医薬品医療機器等法第14条の2の2)に基づく製造販売承認を取得した。本剤の緊急承認は、オミクロン株流行期に重症化リスク因子の有無やワクチン接種の有無によらず、幅広い軽症/中等症患者を対象に日本を中心としたアジア(韓国、ベトナム)で実施した、第II/III相臨床試験のPhase 3 partの良好な試験結果に基づく。2023年3月15日に薬価基準収載となった。

肥満や男性だけでない、いびきをかく人の1/4は睡眠時無呼吸症候群/レスメド

 睡眠中に大きないびきと共に呼吸が止まったり、弱くなったりするという症状を呈する睡眠時無呼吸症候群(SAS)。いびきをかく人の25%(男性:3人に1人、女性:5人に1人)は睡眠時無呼吸を発生していたという報告もあり、SASの80%は未診断ともいわれる。しかし、SASは糖尿病・心血管疾患の発症や循環器系の疾患による死亡のリスクを上昇させるため、治療が必要である。一般的な治療法としてはCPAP(持続陽圧呼吸)治療、マウスピース治療、手術、生活習慣の改善がある。  そこで、レスメドは2023年3月16日に「CPAP治療の最前線と患者アドヒアランスの向上について」と題してメディアセミナーを実施した。

ピロリ菌感染、がん治療には良い影響か~大幸研究

 Helicobacter pylori(HP)感染は胃がんの原因と考えられているが、逆にHP陽性の進行胃がん患者の生存率がHP陰性患者よりも高いことがさまざまな国の研究で報告されている。また以前の研究から、HP感染により潜在的な抗腫瘍免疫が維持されることにより、生存期間が延長する可能性が示唆されている。今回、岩手医科大学医歯薬総合研究所の西塚 哲氏らが大幸研究コホートの前向き研究で、すべてのがんの発生率および死亡率を検討した結果、HP陽性者の全がん発生率は陰性者より有意に高かったが、全がん死亡率は同等だった。著者らは、HP感染によるがん診断後の死亡リスク低下の可能性を考察している。PLOS Global Public Health誌2023年2月8日号に掲載。

重症市中肺炎、ヒドロコルチゾンが死亡を抑制/NEJM

 集中治療室(ICU)で治療を受けている重症の市中肺炎患者では、ヒドロコルチゾンの投与はプラセボと比較して、全死因死亡のリスクを有意に低下させ、気管挿管の割合も低いことが、フランス・トゥール大学のPierre-Francois Dequin氏らCRICS-TriGGERSepネットワークが実施した「CAPE COD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年3月21日号で報告された。  CAPE COD試験は、フランスの31施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2015年10月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(フランス保健省の助成を受けた)。

アナモレリン投与、日本人5,000例のリアルワールドデータ/日本臨床腫瘍学会

 グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)は、2021年1月に非小細胞肺がん(NSCLC)、胃がん、膵臓がん、大腸がんに伴う悪液質治療として国内で保険承認された。2023年3月16~18日に開催された第20回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2023)において、室 圭氏 (愛知県がんセンター 副院長/薬物療法部長)が国内の患者約5,000例を対象とした市販後全例調査(PMS)の中間解析結果を発表した。