外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:108

フルベストラントとAI剤併用の意義(解説:矢形寛氏)-1044

本試験は2つの内分泌療法薬の併用(FUL+AI)で、PFSだけでなくOSの改善までみられたという点で大変興味深いが、臨床応用においては注意が必要である。ポイントをまとめてみたい。1.AI単独群でPD後はFULの使用を無料で提供しており、半数弱が切り替えていたにもかかわらずOSの明確な改善がみられた。2.FULは250mgと通常の半量の使用であり、FUL 500mgより医療経済的にメリットが高そうである。3.現在の標準であるFUL単独(500mg)のAI剤に対する優位性はすでに示されているが(FALCON試験)、OSに関しては明確ではない(弱い間接的証拠はある[FIRST試験+CONFIRM試験])。

乳がんのリンパ浮腫が一過性から持続性になるリスク因子

 乳がん治療関連リンパ浮腫(breast-cancer-related lymphedema、以下BCRL)には一過性と持続性があるが、持続性への移行のリスク因子が明らかにされた。台湾・Koo-Foundation Sun Yat-Sen Cancer CenterのI-Wen Penn氏らによる5年間のコホート研究の結果、対象患者342例のうち3分の2が持続性で、「リンパ節転移が多い」「体重増加がある」「上腕周囲径の差(circumferential difference、以下CD)が大きい」患者ほど、持続性の尤度が高いことが示されたという。Supportive Care in Cancer誌2019年3月号掲載の報告。

がんゲノム医療の今

 手術や放射線治療では根治できないと判断された進行固形がんにおけるがん薬物療法は、正常細胞とがん細胞との“生物学的な違い”をターゲットにする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が主流になりつつある。わが国におけるがんゲノム医療の現状は、どのようになっているのだろうか。  2019年4月、中外製薬株式会社が「第1回 がんゲノム医療に関する基礎メディアセミナー」を都内にて開催した。そこで、土原 一哉氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野 分野長)が講演を行った。

週1本のワインによるがん生涯リスクはタバコ何本に相当?

 適度のアルコールもやはりリスクなのか。英国・サウサンプトン大学病院 NHS Foundation TrustのTheresa J. Hydes氏らが英国のデータを解析し、ワインを1週間に1本飲む女性は、アルコール関連がんの生涯絶対リスクが増加し、この増大をもたらしているのは、乳がんであることを明らかにした。女性では、週1本のワインは週10本の喫煙に相当するという。著者は、「今回の結果は、女性にとって適度な飲酒は公衆衛生上の重大なリスクであることを知ってもらうのに役立つだろう。

「働き方改革」一歩前進へ-ロボット麻酔システム-

 2019年4月16日、福井大学医学部の重見 研司氏(麻酔・蘇生学教授)、ならびに松木 悠佳氏(同、助教)とその共同研究者らは、全身麻酔の3要素である鎮静・鎮痛・筋弛緩薬をすべて自動的に制御する日本初のシステムについて厚生労働省で記者発表した。本会見には共同研究者の長田 理氏(国立国際医療研究センター麻酔科診療科長)、荻野 芳弘氏(日本光電工業株式会社 呼吸器・麻酔器事業本部専門部長)も同席し、実用化に向けた取り組みについて報告した。

セファゾリンナトリウム注射用の代替薬

 2019年3月29日、厚生労働省は、事務連絡として「セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について」を全国の関係機関に発出し、各医学会でも周知が開始された。  セファゾリンナトリウムは、日医工株式会社が製造・供給に大きなシェアをもつ抗菌薬だが、本年2月に製品供給に支障をきたす可能性がある旨の周知があり、現在も供給再開の目途が立っていない。そして、同製品の代替品と考えられる製品の一時的な供給不足も危惧されることから、安定供給が再開されるまでの間の対応として周知された。

S-1+ドセタキセルが、胃がんアジュバントのスタンダードに(JACCRO GC-07)/JCO

 Stage II/IIIの治癒切除胃がんに対する標準治療として、本邦ではS-1による術後補助化学療法が用いられる。一方、ドセタキセルは標準化学療法との併用で、進行期および周術期における生存ベネフィットが証明されている。Stage III胃がん患者に対するS-1+ドセタキセル併用療法とS-1単独療法を比較した無作為化第III相比較試験JACCRO GC-07(START-2)の中間解析の結果がJournal of Clinical Oncology誌2019年3月29日号で発表された。GC-07試験は1,100例の登録が計画されていたが、第2回中間解析において、効果安全性評価委員会より有効中止が勧告されていた。

転移乳がん、アナストロゾール単剤vs.フルべストラント併用/NEJM

 米国・カリフォルニア大学アーバイン医療センターのRita S. Mehta氏らは、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する、アロマターゼ阻害薬アナストロゾールと選択的エストロゲン受容体調節薬フルベストラントの併用療法の有効性および安全性を検証した、多施設共同無作為化非盲検試験「S0226試験」の全生存期間(OS)に関する最終解析結果を報告した。アナストロゾール+フルベストラント併用投与群はアナストロゾール単独投与群と比較して、OS延長の有意な効果が長期にわたり維持されていたことが示されたという。一方で、アナストロゾール単独投与群の患者の約半数は増悪後にフルベストラントの投与(クロスオーバー)が行われた。本試験について研究グループは2012年に、閉経後ホルモン受容体陽性転移乳がんに対する1次治療としてのアナストロゾール+フルベストラント併用療法は、アナストロゾール単独投与群と比較し、無増悪生存期間を有意に延長し、OSも有意ではあるもののわずかに延長することを報告していた。NEJM誌2019年3月28日号掲載の報告。

がんサバイバーのオピオイド使用、米国での実態/JCO

 オピオイド依存が深刻な米国では、疼痛マネジメントへの懸念も高いようだ。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのTalya Salz氏らは、「がんサバイバーは、オピオイド関連被害を受けるリスクが高い可能性がある」として、オピオイドの継続的使用と高用量使用について、大腸がん、肺がん、乳がんの高齢がんサバイバーと非がん対照集団の比較解析を行った。これまで、診断後のオピオイド使用の経時的傾向は知られていなかったという。

病棟患者のせん妄、ICU患者との違い

 入院患者ではせん妄がよくみられるが、その疫学はほとんどわかっていない。今回、オーストラリア・オースチン病院のEmmanuel Canet氏らは、病棟患者におけるせん妄患者の人口統計、臨床像、管理、アウトカムがICU患者と異なるかどうかを検証した。その結果、病棟患者のせん妄は、ICU患者のせん妄とは大きく異なり、臨床像は低活動型が優勢で、認知症が先行し、退院時に回復の可能性は低いことが示された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2019年3月19日号に掲載。