外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:110

男性のBRCA変異、1と2でがん発症に違い/JAMA Oncol

 生殖細胞系列BRCA1/2の病原性変異体(pathogenic variant:PV)を持つ男性のがん早期発見とリスク低減のために、イタリア・Sapienza University of RomeのValentina Silvestri氏らは、BRCA1とBRCA2のそれぞれのPVキャリアにおけるがんスペクトルと頻度を調査した。その結果、がん発症者(とくに乳がん、前立腺がん、膵がん)および複数の原発腫瘍発症者は、BRCA1 PVキャリアよりBRCA2 PVキャリアである可能性が高かった。JAMA Oncology誌オンライン版2020年7月2日号に掲載。  本研究は後ろ向きコホート研究で、Consortium of Investigators of Modifiers of BRCA1/2(CIMBA)を通じて共同研究している世界33ヵ国53グループにより、1966~2017年にがん遺伝学クリニックで集めた18歳以上の6,902人(BRCA1 PVキャリア3,651人、BRCA2 PVキャリア3,251人)が対象。臨床データと病理学的特徴を収集した。オッズ比(OR)はすべて、年齢、出身国、初回面接の暦年で調整した。

ドセタキセルベースの乳がん術後化療、BMIでベネフィットに差/JCO

 タキサンなどの脂溶性薬剤は、脂肪組織に対して高い親和性を持ち、分布容積が増す。大規模アジュバント試験BIG 2-98の再分析が実施され、ベースライン時のBMIにより、乳がん患者におけるドセタキセルベースの術後化学療法のベネフィットが異なる可能性が示唆された。ベルギー・Laboratory for Translational Breast Cancer ResearchのChristine Desmedt氏らが、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年7月2日号に報告した。  BIG 2-98は、リンパ節転移陽性乳がん患者の術後化学療法として、ドセタキセルベースと非ドセタキセルベースの治療法を比較したインターグループ無作為化第III相試験。今回、研究者らは同試験の全患者(2,887例)のデータを後ろ向きに再分析し、ベースライン時のBMI値に従って、ドセタキセルベースの術後化学療法のベネフィットが非ドセタキセルベースの術後化学療法と異なるかどうかを評価した。

忘れてはいけない日本の貢献(解説:後藤信哉氏)-1254

欧米列強に追い付け追い越せの明治時代の日本の勢いはすさまじかった。国力の勝負としての戦争は歴史に残る。日露戦争はとても互角とは言えない相手に競り勝ち、大東亜戦争も常識的に勝てるはずのない相手と同じ土俵に乗った。医学の世界でも、北里 柴三郎による破傷風の抗毒素血清療法は画期的であった。細菌学における日本の貢献は、その時の経済力から考えると驚異的である。近年はやりの抗凝固薬、抗血栓薬の開発にも日本は画期的役割を果たした。とくに、「止血のための抗線溶薬」となると世界における日本の貢献は突出している。線溶を担うプラスミンの選択的阻害薬トラネキサム酸を開発したのは日本である。「止血薬」となると世界の第1選択はトラネキサム酸である。消化管出血でも、まず安価なトラネキサム酸にて止血を図ろうとするのが世界の標準医療である。

トラネキサム酸、消化管出血による死亡を抑制せず/Lancet

 急性期消化管出血の治療において、トラネキサム酸はプラセボに比べ死亡を抑制せず、静脈血栓塞栓症イベント(深部静脈血栓症または肺塞栓症)の発生率が有意に高いことが、英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のIan Roberts氏らが実施した「HALT-IT試験」で示された。研究の詳細は、Lancet誌2020年6月20日号に掲載された。トラネキサム酸は、外科手術による出血を低減し、外傷患者の出血による死亡を抑制することが知られている。また、本試験開始前のCochraneの系統的レビューとメタ解析(7試験、1,654例)では、消化管出血による死亡を低下させる可能性が示唆されていた(統合リスク比[RR]:0.61、95%信頼区間[CI]:0.42~0.89、p=0.01)。一方、メタ解析に含まれた試験はいずれも小規模でバイアスのリスクがあるため、大規模臨床試験による確証が求められていた。

緑茶・コーヒー・アルコールと乳がんリスク~日本人女性

 日本の全国多施設前向きコホート研究であるJapan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk(JACC)Studyにおいて、緑茶・コーヒー・アルコールと乳がんリスクの関連を調べた結果、アルコール摂取と乳がんリスク増加との関連がみられた一方、乳がんリスクとの関連の結論が出ていない緑茶やコーヒーについては関連がみられなかった。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2020年6月1日号に掲載。  本研究の対象は、JACC Studyにおける国内24地域の40〜79歳の日本人女性3万3,396人。20年以上の追跡期間中に乳がんが255例に発症した。乳がんリスクと緑茶、コーヒー、アルコールの摂取の間の独立した関連性を評価するために、多変量ロジスティック回帰分析を行った。

COVID-19、がん患者の全死亡率への影響/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したがん患者のデータが不足している中、米国・Advanced Cancer Research GroupのNicole M. Kuderer氏らによる検討で、COVID-19に罹患したがん患者の30日全死因死亡率は高く、一般的なリスク因子(年齢、男性、喫煙歴など)、およびがん患者に特異な因子(ECOG PS、活動性など)との関連性が明らかにされた。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる長期追跡を行い、がん患者の転帰へのCOVID-19の影響を、特異的がん治療の継続可能性も含めて、明らかにする必要がある」とまとめている。Lancet誌2020年6月20日号掲載の報告。  研究グループは、COVID-19罹患のがん患者コホートの転帰を特徴付け、死亡および疾患重症化の潜在的予測因子を特定するコホート研究を行った。

全身療法が計画されている高齢者での高齢者機能評価の有用性(INTEGERATE試験)/ASCO2020

 オーストラリア・モナシュ大学Eastern Health Clinical SchoolのWee-Kheng Soo氏は、全身療法が計画されている高齢者での包括的な高齢者機能評価や老年医学専門家の介入の有無を比較する無作為化非盲検試験・INTEGERATE試験の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。老年医学的介入群ではQOLが有意に改善し、予期せぬ入院や有害事象による早期治療中止が減少すると報告した。 ・対象:固形がんあるいはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、で3カ月以内に化学療法、分子標的薬治療、免疫チェックポイント阻害薬療法が予定されている70歳以上の高齢者154例。 ・試験群:本人申告による質問票での回答と高齢者機能評価(CGA)を実施。栄養、身体機能などの改善に向けた標準的介入に加え、併存疾患のケアなどアセスメントに基づく個別介入を実施(76例) ・対照群:通常ケア(78例) ・評価項目:[主要評価項目] ELFI(Elderly Functional Index)スコアによるQOL評価 [副次評価項目] ヘルスケアサービスの利用状況、治療提供状況、機能、施設入所状況、気分、栄養状態、健康上の効用、生存状況

初診料が前年比5割減、健診・検診は9割減も/日医・医業経営実態調査

 2020年3~5月、月を追うごとに病院の医業収入が大きく落ち込み、健診・検診の実施件数は半減から9割減となった実態が明らかになった。6月24日の日本医師会定例記者会見において、松本 吉郎常任理事が全国の医師会病院および健診・検査センターの医業経営実態調査結果を発表した。  調査は73の医師会病院、164の健診・検査センターが対象。回答率はそれぞれ71.2%(52病院)、51.2%(84施設)だった。回答病院のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者「あり」は25.0%(13病院)、COVID-19患者のための病床「あり」は50.0%(26病院)。COVID-19入院患者「あり」の病院における月平均入院患者数は7.6人だった(最大は4月に76人の入院患者[東京都])。

静脈栄養製剤の「使用上の注意」改訂で透析・血液ろ過患者は慎重投与に/厚労省

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)は2020年6月25日付の課長通知で、一般用静脈栄養製剤及び肝不全用アミノ酸製剤の添付文書の改訂指示を発出した。改訂対象には一般用静脈栄養製剤計25品目(アミノ酸製剤10品目[アミパレン:大塚製薬工場 ほか]、末梢静脈栄養用製剤5品目[ビーフリード:大塚製薬工場 ほか]、中心静脈栄養用基本液4品目[ハイカリック:テルモ ほか]、中心静脈栄養用キット製剤6品目[フルカリック:テルモ ほか])と肝不全用アミノ酸製剤4品目(アミノレバン:大塚製薬工場 ほか)が該当する。

乳がん術後補助療法の非順守が血清検査で判明、再発リスクは2倍/JCO

 乳がん術後補助療法のタモキシフェン治療へのノンアドヒアランス(非順守)は、医師に認識されていないことが多い。今回、フランス・Institut Gustave RoussyのBarbara Pistilli氏らが、タモキシフェン治療の非順守率を血清検査で生化学的に調べたところ、自己申告では順守であっても順守していない患者が多いことがわかった。また、非順守患者では短期における遠隔無再発生存期間(DDFS)が順守患者より有意に短いことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年6月22日号に掲載。