外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:110

重症OSAは非心臓手術後30日の心血管リスクと関連/JAMA

 非心臓大手術を受ける成人において、未診断の重症閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、術後30日の心血管合併症リスクの有意な増大と関連することが示された。中国・香港中文大学のMatthew T.V. Chan氏らが、1,218例を対象に行った前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2019年5月14日号で発表した。一般集団の検討で、未診断のOSAは心血管リスクを増大することが示されていたが、OSAが周術期において同程度のリスクとなるかは不明であった。今回の結果について著者は、「さらなる研究を行い、介入によって同リスクが軽減可能かを評価する必要がある」とまとめている。

APT試験のHER2陽性乳がん、術後パクリタキセル+トラスツズマブの長期転帰/JCO

 Adjuvant Paclitaxel and Trastuzumab(APT)試験は、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんに対する術後化学療法としてのパクリタキセル・トラスツズマブ併用療法について検討した第II相試験。これまでに主要解析の3年無病生存率(DFS)は98.7%であることが示されていたが、今回、長期追跡(7年)の結果が米国・ダナ・ファーバーがん研究所のSara M. Tolaney氏らにより発表された。長期予後はきわめて良好であったこと、また、腫瘍径が小さなHER2陽性乳がんの内因性サブタイプは腫瘍径が大きなHER2陽性乳がんと類似していることや、パクリタキセル誘発性末梢神経障害(TIPN)に関連する一塩基多型(SNP)について明らかになったという。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年4月2日号掲載の報告。

がん生存率に降圧薬が影響するか

 降圧薬のがん生存率に対する影響について結論は出ていない。米国ヴァンダービルト大学医療センターのYong Cui氏らは、主な降圧薬と乳がん、大腸がん、肺がんおよび胃がんの全生存(OS)・がん特異的生存(DSS)との関連について、潜在的な交絡因子を包括的に調整し、時間依存Cox回帰モデルにより検討した。その結果、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、β遮断薬、Ca拮抗薬が、消化器がんの生存を改善する可能性が示唆された。American Journal of Epidemiology誌オンライン版2019年5月7日号に掲載

ER陽性/HER2 陰性乳がんに対するS-1 アジュバントが有効中止/京都大学

 京都大学大学院医学研究科外科学講座乳腺外科 戸井雅和氏(中井雅和氏)を主任研究者とした研究グループが2012年より実施してきたエストロゲン受容体(ER)陽性/HER2陰性乳がんに対するS-1術後療法ランダム化比較第Ⅲ相試験(POTENT試験)の中間解析結果を同大学のHPで発表。  主要評価項目である無浸潤疾患生存期間が、事前に設定した有効中止の基準に合致したことにより試験を中止することを決定した。POTENT試験は先進医療Bに基づく医師主導の臨床試験。

DS-8201、HER2陽性乳がん第II相臨床試験の結果/第一三共

 第一三共株式会社とアストラゼネカは、HER2陽性の再発または転移のある乳がん患者を対象とした抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)の第II相臨床試験(DESTINY-Breast01)において、臨床的意義のある効果が示されたと発表。  同試験は、T-DM1治療を受けたHER2陽性の再発または転移のある乳がん患者253例を対象とした北米、欧州および日本を含むアジアにおけるグローバル第II相臨床試験。同試験の主要評価項目である客観的奏効率は、2019年4月に医学雑誌「The Lancet Oncology」にて公表された本剤の日米共同第1相臨床試験の結果と同様の傾向が認められた。

ABO血液型不適合腎移植は、生存・生着を改善するか/Lancet

 ABO血液型不適合腎移植(ABOi-rTx)は、脱感作プロトコルや最適化に進展がみられるものの、3年以内の死亡率や移植腎の非生着率がABO血液型適合腎移植(ABOc-rTx)を上回ることが、ドイツ・オットー・フォン・ゲーリケ大学マクデブルクのFlorian G. Scurt氏らによるメタ解析で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年4月18日号に掲載された。ABOi-rTxは、提供臓器不足の打開策としてその使用が増加しているが、早期および長期のABOc-rTxに対する非劣性のエビデンスが求められている。

女性医師だけの問題ではない…!?(解説:小松郷子氏)-1041

これまでにも大規模な質的研究における母親差別、セクシャルハラスメント、給与やキャリアへの性差別の報告がいくつもあるが、今回の研究は英国とオーストララシアの女性医師を対象にして、外科研修プログラムを途中で辞めた(辞めざるを得なかった)要因をブロックで視覚的にまとめたものである。スノーボール・サンプリング法による対象者はわずか12名で、インタビュアーのバイアスも除外しきれない中で逆に深く掘り下げることにより、新たな6つの要因を浮き彫りにしている。性差比較の研究結果の多くが先進国を含む世界中で同じ傾向にあることは残念ではあるが、悪しき要因改善を促す研究が世の中に出てくるようになったことは進歩なのかもしれない。

フルベストラントとAI剤併用の意義(解説:矢形寛氏)-1044

本試験は2つの内分泌療法薬の併用(FUL+AI)で、PFSだけでなくOSの改善までみられたという点で大変興味深いが、臨床応用においては注意が必要である。ポイントをまとめてみたい。1.AI単独群でPD後はFULの使用を無料で提供しており、半数弱が切り替えていたにもかかわらずOSの明確な改善がみられた。2.FULは250mgと通常の半量の使用であり、FUL 500mgより医療経済的にメリットが高そうである。3.現在の標準であるFUL単独(500mg)のAI剤に対する優位性はすでに示されているが(FALCON試験)、OSに関しては明確ではない(弱い間接的証拠はある[FIRST試験+CONFIRM試験])。

乳がんのリンパ浮腫が一過性から持続性になるリスク因子

 乳がん治療関連リンパ浮腫(breast-cancer-related lymphedema、以下BCRL)には一過性と持続性があるが、持続性への移行のリスク因子が明らかにされた。台湾・Koo-Foundation Sun Yat-Sen Cancer CenterのI-Wen Penn氏らによる5年間のコホート研究の結果、対象患者342例のうち3分の2が持続性で、「リンパ節転移が多い」「体重増加がある」「上腕周囲径の差(circumferential difference、以下CD)が大きい」患者ほど、持続性の尤度が高いことが示されたという。Supportive Care in Cancer誌2019年3月号掲載の報告。

がんゲノム医療の今

 手術や放射線治療では根治できないと判断された進行固形がんにおけるがん薬物療法は、正常細胞とがん細胞との“生物学的な違い”をターゲットにする「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」が主流になりつつある。わが国におけるがんゲノム医療の現状は、どのようになっているのだろうか。  2019年4月、中外製薬株式会社が「第1回 がんゲノム医療に関する基礎メディアセミナー」を都内にて開催した。そこで、土原 一哉氏(国立がん研究センター 先端医療開発センター トランスレーショナルインフォマティクス分野 分野長)が講演を行った。