外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

新経口薬camizestrant、ER+進行乳がんでフルベストラントに対しPFS延長/AZ

 アストラゼネカは2022年11月8日、次世代経口選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD)であるcamizestrantが、進行乳がんに対して内分泌療法による治療歴があり、エストロゲン受容体(ER)陽性の局所進行または転移乳がんを有する閉経後の患者を対象に、フルベストラント500mgと比較して、75mgおよび150mgの両用量で主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したと発表した。なお、camizestrantの忍容性は良好であり、安全性プロファイルは過去の試験で認められたものと一貫しており、新たな安全性上の懸念は確認されていない。  Camizestrantは、強力で経口投与可能なSERDかつERへの完全拮抗薬であり、ER活性型変異を含む幅広い前臨床モデルで抗がん活性を示している。第I相臨床試験(SERENA-1試験)では、camizestrantの忍容性が良好であり、単剤療法またはCDK4/6阻害剤パルボシクリブとの併用療法として投与したときに有望な抗腫瘍プロファイルを有することが示されている。

乳がんの再発恐怖を認知行動療法アプリが軽減/名古屋市⽴⼤学ほか

 患者自身で認知行動療法を実施できるスマートフォンアプリを用いることで、乳がん患者の再発に対する恐怖が軽減したことを、名古屋市立大学大学院精神・認知・行動医学分野の明智 龍男氏らの共同研究グループが発表した。スマートフォンのアプリを用いることで通院などの負担を大きく軽減でき、場所や時間を選ばずに苦痛を和らげるための医療を受けられることが期待される。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版11月2日掲載の報告。

ICUせん妄患者へのハロペリドール、生存や退院増につながらず/NEJM

 せん妄を有する集中治療室(ICU)入室患者において、ハロペリドールによる治療はプラセボと比較して、生存日数の有意な延長および90日時点の有意な退院数増大のいずれにも結び付かないことが示された。デンマーク・Zealand University HospitalのNina C. Andersen-Ranberg氏らが多施設共同盲検化プラセボ対照無作為化試験の結果を報告した。ハロペリドールはICU入室患者のせん妄治療にしばしば用いられるが、その効果に関するエビデンスは限定的であった。NEJM誌オンライン版2022年10月26日号掲載の報告。  研究グループは、急性症状でICUに入室したせん妄を有する18歳以上の成人患者を対象に、ハロペリドール治療がプラセボ治療と比較して、生存日数および退院数を増大するかどうかを検討した。試験は2018年6月14日~2022年4月9日に、デンマーク、フィンランド、英国、イタリア、スペインのICUで行われた。

ガーダントヘルスジャパン、Guardant360 CDxでエスアールエルと業務提携

 ガーダントヘルスジャパンとエスアールエルは、固形がん患者を対象とした包括的がんゲノムプロファイリング(CGP)用リキッドバイオプシー検査Guardant360 CDx がん遺伝子パネル(Guardant360CDx)のサービス提供のために業務提携契約を締結した。  ガーダントヘルスジャパンは、今回の業務提携によりSRLの遺伝子検査領域におけるロジスティックスならびにネットワーク、サービスを活用することが可能となる。SRLが医療機関から検体を受理してから14日を目途に、国立がん研究センター、がんゲノム情報管理センター(C-CAT)およびGuardant360 CDxがん遺伝子パネル検査ポータルに解析結果を提供する。

家族性腺腫性ポリポーシス、新たな治療戦略を日本で開発(J-FAPP Study III)

 京都府立医科大学の石川 秀樹氏らが大腸がんの超高危険群である家族性大腸腺腫症(FAP)患者に対し、予防のための内視鏡的積極的摘除術を世界で初めて開発したことがEndoscopy誌2022年10月10日号オンライン版に掲載された。  結腸全摘は、FAPの標準治療であるにもかかわらず、若年層のFAP患者が手術を延期したり、手術を拒否したりするケースもあるという。そこで、同氏らはFAP にきわめて多発する大腸ポリープのダウンステージングを目的とする積極的な内視鏡的摘除(IDP)の有効性を評価することを目的に内視鏡的積極的摘除術の多施設共同介入試験(J-FAPP Study III)を実施した。本試験は22施設で実施した単群介入研究で、参加者は2012年11月24日~2014年9月25日の間に登録。結腸切除術を受けていない、または結腸切除術を受けたが大腸が10cm以上残っている16歳以上で、100個のポリープがあったFAP患者を対象とした。IDPでは、10mm以上の大腸ポリープが摘除され、続いて5mm以上のポリープが摘除された。主要評価項目は5年間の介入期間中の結腸切除術の有無、副次評価項目は内視鏡による穿孔/出血、結腸直腸がんの発生、内視鏡治療に適さない腫瘍の発生、結腸直腸がんおよびその他の原因による死亡だった。

LINEを使った患者報告システムを副作用マネジメントに活かす/日本癌治療学会

 薬剤の副作用は、医師の評価と患者の捉え方が大きく異なるケースが多いことは以前から報告されていた。PRO(Patient Reported Outcome)とは、医師の評価を経ず、患者自身が副作用を報告するシステムを指し、これを電子的に行うePRO(electronic Patient Reported Outcome:電子的な患者報告アウトカム)取得システムが世界各地で開発され、実際の運用や効果測定のための臨床試験が行われている。  慶應義塾大学が開発した乳がん患者を対象としたePROについて、同大外科学教室の林田 哲氏が第60回日本癌治療学会学術集会(10月20~22日)上で発表した。

転移乳がんへの局所療法はescalationなのか?/日本癌治療学会

 転移乳がんに対する積極的な局所療法の追加は、がんが治癒しなくても薬剤使用量を減らすことができればescalationではなくde-escalationかもしれない。第60回日本癌治療学会学術集会(10月20~22日)において、岡山大学の枝園 忠彦氏は「転移乳がんに対する局所療法はescalationかde-escalationか?」と題した講演で、3つのクリニカルクエスチョンについて前向き試験の結果を検証し、転移乳がんにおける局所療法の意義について考察した。  転移乳がんにおいて治癒は難しいが、ある特定の患者ではきわめて長期生存する可能性があり、近年そのような症例が増えてきているという。枝園氏はその背景として、PETなどの画像検査の進歩により術後早期に微小転移の描出が可能となったこと、薬物療法が目まぐるしく進歩していること、麻酔や手術が低侵襲で安全になってきていること、SBRT(体幹部定位放射線治療)が保険適用され根治照射が可能になったことを挙げた。この状況の下、3つのクリニカルクエスチョンについて考察した。

センチネルリンパ節転移乳がん、ALNDとRNIの必要性についての検討/日本癌治療学会

 センチネルリンパ節転移陽性乳がんにおいて、腋窩リンパ節郭清(ALND)や領域リンパ節照射(RNI)がどのような症例で必要となるのかについては議論がある。Sentinel Node Navigation Surgery研究会では、センチネルリンパ節転移陽性例において、センチネルリンパ節生検(SNB)単独群とSNB後の腋窩リンパ節郭清(ALND)群を比較する多施設共同前向きコホート研究を実施。井本 滋氏(杏林大学)が、第60回日本癌治療学会学術集会(10月20~22日)で結果を報告した。  本研究では、cT1-3N0-1M0の女性乳がん患者を対象とし、組織学的または分子生物学的診断で1~3個のセンチネルリンパ節微小転移またはマクロ転移陽性が確認された場合に、医師の裁量でSNB単独またはALNDの追加を決定した。SNB前後の化学療法は可とし、両側および遊離腫瘍細胞(ITC)の症例は除外された。

HER2低発現乳がんに対するNACの効果/日本癌治療学会

 乳がんのHER2発現は免疫染色法で0~3+に分類され、0、1+、2+で遺伝子増幅がない場合はHER2陰性として治療方針が決定されるが、近年、HER2低発現例は術前化学療法(NAC)の有効性からHER2非発現例とは異なるグループであることが示唆されている。甲南医療センター乳腺外科(前兵庫県立がんセンター)の高尾 信太郎氏は、HER2低発現乳がんとHER2非発現乳がんにおけるNAC施行後の有効性と予後の違いを比較検討し、第60回日本癌治療学会学術集会(10月20~22日)で発表した。

HER2低発現とHER2ゼロ乳がん、予後に違いはあるか?

 HER2低発現(ERBB2-low)乳がんについて、HER2ゼロ(ERBB2-0)乳がんと比較してその予後や従来の治療法への反応にどのような違いがあるかはほとんどわかっていない。フランス・Institut de Cancerologie de l'OuestのOmbline de Calbiac氏らは、両者の転帰を比較することを目的にコホート研究を行い、JAMA Network Open誌2022年9月15日号に報告した。  本研究では、2008~16年にフランスの18の総合がんセンターで治療を受けた転移乳がん(MBC)患者を対象とし、データ解析は2020年7月16日~2022年4月1日に実施された。主要評価項目はHER2低発現(IHCスコアが1+もしくは2+でISH陰性)およびHER2ゼロ(IHCスコア0)の患者における全生存期間(OS)、副次評価項目は1次治療下での無増悪生存期間(PFS1)とされた。