外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

米国の肺がんアジュバント実施率53% ガイドライン準拠に改善の余地(ALCHEMIST)/JAMA Oncol

 米国の早期非小細胞肺がん(NSCLC)ではガイドラインに沿った標準治療をどの程度行っているのか。全米の後ろ向きコホート試験の結果、実施割合には改善の余地があることが明らかになった。  米国のNCCNガイドラインでは、リンパ節郭清を含めた外科的切除と術後補助化学療法を適切な患者に行うことが早期NSCLCの標準治療となっている。しかし、以前から多くの患者が、そのような治療を受けていないとされる。  そこでNCCNガイドラインに準拠した手術と補助化学療法がどの程度行われているかを、全米の補助療法の大規模スクリーニング試験ALCHEMISTで確認した。

乳がん術前・術後補助療法、乳がん死亡率とその他の死亡率への影響~系統的レビュー

 乳がん治療における術前補助療法や術後補助療法は、乳がんによる死亡率を低下させる可能性がある一方、乳がん以外による死亡率を増加させる可能性がある。今回、英国・オックスフォード大学のAmanda J. Kerr氏らが系統的レビューを実施したところ、ほとんどの比較試験で、がんによる死亡率または再発率が10〜25%減少し、乳がん以外による死亡率の増加はみられなかったが、アントラサイクリンでの化学療法と放射線療法については乳がん以外による全死亡率が増加していた。Cancer Treatment Reviews誌オンライン版2022年3月4日号に掲載。

「非心臓手術症例」の静脈血栓予防におけるDOACと低分子ヘパリンの効果のネットワークメタ解析?(解説:後藤信哉氏)

筆者は題名を見て奇妙だなと思った。整形外科術後の静脈血栓リスクが高いことは広く知られている。がんの症例の血栓イベントリスクも高いと思う。しかし、本研究では「非心臓手術症例」を対象としている。方法の部分で著者も記載しているように、血栓リスクの高い整形外科手術とそうでない非整形外科手術をあえて研究対象として包括したとしている。血栓リスクの高い症例と低い症例をあえて包括して論じる意味は出血が不可避な「手術」に対するDOACと低分子ヘパリンの有効性と安全性に注目したのであろうか? 結果の実臨床への応用は難しいけれど題名の通りに抗凝固薬のbenefitとharmに関するエビデンスの提供を目指した研究かもしれない。

NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント承認 /大鵬薬品

 大鵬薬品とヘルシングループは、2022年3月28日、NK1受容体拮抗型制吐薬ホスネツピタント(製品名:アロカリス)について、抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)の効能・効果で製造販売承認を取得した。  化学療法に伴い発現する悪心・ 嘔吐は、患者のQOLに負の影響をおよぼし、化学療法の施行を妨げる原因となる。ガイドラインでも積極的な予防対策が推奨されている。

乳がん検診10年の偽陽性リスク、乳房トモシンセシスvs.デジタルマンモグラフィ

 デジタル乳房トモシンセシスによる乳がん検診は、デジタルマンモグラフィより偽陽性率が低い可能性がある。米国・カリフォルニア大学デービス校のThao-Quyen H. Ho氏らは、デジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィによる10年間の検診で、偽陽性の累積リスクを推定した結果、デジタル乳房トモシンセシスのほうが低く、また、モダリティの違いよりも隔年検診・高齢・非高濃度乳房が偽陽性率の大幅な低下と関連することが示された。JAMA Network Open誌2022年3月1日号に掲載。  本研究は、Breast Cancer Surveillance Consortiumの126の放射線施設において、2005年1月1日~2018年12月31日に前向きに収集したデータを用いた効果比較研究で、40~79歳の90万3,495人の結果を2021年2月9日から9月7日まで分析。乳がん診断と死亡の競合リスクを考慮し、年1回もしくは隔年でデジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィで10年間検診後、追加画像診断・短い間隔での経過観察の推奨・生検の推奨について1回以上の偽陽性リコールの累積リスクを評価した。

HER2+乳がん2次治療、HR0.28でT-DXdがPFS延長(DESTINY-Breast03)/NEJM

 トラスツズマブおよびタキサン系薬剤による治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移のある乳がん患者において、抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)はトラスツズマブ エムタンシン(同:カドサイラ)と比較し、病勢進行または死亡のリスクを有意に低下させることが認められた。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏らが、世界15ヵ国169施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「DESTINY-Breast03試験」の中間解析結果を報告した。本試験での発現率はこれまでの臨床試験に比べ数値的に低かったもののトラスツズマブ デルクステカンの投与は間質性肺疾患の発現と関連しており、著者は「臨床使用においては慎重なモニタリングが不可欠」と注意を促したうえで、「トラスツズマブ デルクステカンは、トラスツズマブとタキサン系薬剤、ならびにペルツズマブによる治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者に対する有効な新しい治療薬である」とまとめている。NEJM誌2022年3月24日号掲載の報告。

BRCA変異陽性高リスク早期乳がん患者への術後オラパリブ、OSも改善(OlympiA)

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子変異陽性(gBRCAm)かつHER2陰性の高リスク早期乳がん患者に対する、オラパリブ(商品名:リムパーザ)の術後投与が、全生存期間(OS)を有意に延長した。本試験(第III相OlympiA試験)の主要評価項目は無浸潤疾患生存期間(iDFS)であり、主要解析結果は、2021年の米国臨床腫瘍学会年次総会で初めて発表され、NEJM誌に同時掲載されている。今回、2022年3月16日に行われた欧州臨床腫瘍学会のバーチャルプレナリーで、OSの最新の結果が発表された。

早期乳がんへの術前/術後カペシタビン追加、DFSとOS改善~メタ解析

 早期乳がん(EBC)患者に対する術前/術後療法として、標準的な全身療法へのカペシタビンの追加投与が、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を改善した。ドイツ・German Breast Group(GBG)のMarion T van Mackelenbergh氏らは1万5,000例以上のEBC患者データのメタ解析結果を、European Journal of Cancer誌オンライン版3月16日号へ報告した。  clinicaltrials.govおよびpubmedにおいて、EBCに対する術前または術後療法としてのカペシタビンの使用、患者数100人以上の多施設共同無作為化試験、募集完了、主要アウトカムの評価済であることを条件に検索され、13試験が該当した。

HER2+乳がんへの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブ追加、N-でベネフィットのある患者は?(APHINITY)

 APHINITY試験はHER2陽性乳がんの術後化学療法+トラスツズマブへのペルツズマブの上乗せを検証した第III相試験で、HER2陽性乳がん患者全体とリンパ節転移のある患者で無浸潤疾患生存(iDFS)が大幅に改善することが報告されている。今回、米国・ダナファーバーがん研究所のRichard D. Gelber氏らは、リンパ節転移陰性(N-)でペルツズマブ追加によるベネフィットが得られるサブグループ、リンパ節転移陽性(N+)でde-escalationを考慮すべきサブグループについて検討した。European Journal of Cancer誌オンライン版2022年3月18日号に掲載。  著者らは、STEPP(subpopulation treatment effect pattern plot:サブグループ別治療効果パターンプロット)を用いて、臨床的複合リスクスコア、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の割合、HER2コピー数(FISH)によるサブグループについて、全体およびリンパ節転移の有無別に、6年iDFS率のカプラン-マイヤー差(ペルツズマブ群-プラセボ群:Δ±SE)を推定した。

乳がんサバイバーの倦怠感、長期的な経過の特徴/JCO

 早期乳がん1次治療後の倦怠感の長期的な経過は個人差が大きい。フランス・Gustave RoussyのInes Vaz-Luis氏らが乳がんサバイバーにおける倦怠感の長期的な経過の特徴を調査した結果から、がん関連の倦怠感の多次元的な性質とその危険因子の複雑さが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2022年3月15日号に掲載。  本研究は、2012~15年に治療を受けたStage I~IIIの乳がん患者を対象とした全国的な大規模前向き研究(CANcer TOxicity)を使用して、倦怠感に関する詳細な縦断的解析を実施した。倦怠感は、診断時、診断後1、2、4年に調査し、ベースラインでの臨床的、社会人口統計学的、行動的、腫瘍関連、治療関連の特徴を入手した。  調査の結果、総合的倦怠感が重度だった4,173例において、その経過について3つの群が特定され、各群の重度の総合的倦怠感のリスク推定値は以下のとおりであった。 1)持続的にリスクが高い群:患者の21% 診断時94.8%(95%CI:86.6〜100.0)、4年後64.6%(95%CI:59.2〜70.1) 2)リスクが悪化する群:患者の19% 診断時13.8%(95%CI:6.7~20.9)、4年後64.5%(95%CI:57.3~71.8) 3)リスクが低いままの群:患者の60% 診断時3.6%(95%CI:2.5~4.7)、4年後9.6%(95%CI:7.5~11.7)