HR+HER2-早期乳がんの遠隔転移再発率の低下(解説:下村昭彦氏)
早期乳がん治療についてはEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)が多くのメタ解析を出版しており、日常臨床に活用されている。今回EBCTCGから早期乳がんの遠隔転移再発に関するプール解析が実施され、Lancet誌2024年10月12日号に掲載された。本研究では、1990年から2009年までに151の臨床試験に登録された早期乳がん患者15万5,746例のデータが用いられた。遠隔再発については各試験の定義が用いられ、10年遠隔再発リスクについて検討された。年代を1990年から1999年と、2000年から2009年の各10年に分けて検討され、リンパ節転移陰性では、エストロゲン受容体(ER)陽性で10.1% vs.7.3%、ER陰性で18.3% vs.11.9%、リンパ節転移が1~3個では、それぞれ19.9% vs.14.7%、31.9% vs.22.1%、リンパ節転移が4~9個では、それぞれ39.6% vs.28.5%、47.8% vs.36.5%であった。治療について補正後、2000年代は1990年代と比較して、遠隔再発率がER陽性例で25%、ER陰性例で19%減少し、ER陽性例では5年を超えても同様の改善が認められた。