救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:106

外傷性脳損傷に対するシチコリン、身体・認知機能改善に結びつかず/JAMA

 外傷性脳損傷(TBI)に対するシチコリン(商品名:シチコリン、ニコリンほか)の投与は、プラセボと比較し90日時点で、身体機能および認知機能の改善に結びつかなかったことが示された。米国・ハーバードメディカルスクールのRoss D. Zafonte氏らによる無作為化試験の結果、報告された。TBIについては今のところ転帰を改善する治療法がない。シチリコンには、損傷神経修復の促進と同様の潜在的な神経保護作用があり、世界59ヵ国で承認されていた。JAMA誌2012年11月21日号掲載報告より。

ICU患者へのHES使用、90日死亡率は有意差なし、腎代替療法リスクは2割増/NEJM

 ICUの患者に対する輸液蘇生における代用血漿剤のヒドロキシエチルデンプン(HES、商品名:サリンヘスなど)の使用について、生理食塩水を用いた場合と比較した90日死亡率は有意差は認められなかったことが示された。一方で、HESを用いた患者では生理食塩水を用いた場合と比べて腎代替療法を受けるリスクが2割ほど高かった。オーストラリア・George Institute for Global HealthのJohn A. Myburgh氏らが、ICU入室患者7,000人について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月15日号(オンライン版2012年10月17日号)で発表した。

院内心停止患者への蘇生処置時間、長いほど生存率が改善:AHA報告/Lancet

 院内心停止患者では、蘇生処置で蘇生した患者の処置時間は蘇生しなかった患者よりも長く、処置時間が長いほうが生存の可能性は高くなることが、米国・ミシガン大学のZachary D Goldberger氏ら米国心臓協会(AHA)の研究グループの検討で示された。先進国では、入院患者1,000人当たり1~5人が心停止を来し、心停止患者の退院時の生存率は20%に満たない。蘇生処置をいつ止めるかは臨床医が直面する最大の課題の1つだが、心停止患者の予後は全般的に不良なため、臨床医は処置開始後早期に自己心拍が再開しない場合は処置の継続に消極的になりがちだという。Lancet誌2012年10月27日号(オンライン版2012年9月5日号)掲載の報告。

重度骨折では術前血管造影を行うべき

Gustilo IIIC外傷については、その定義のコンセンサスが求められており、また重度開放脛骨骨折のアウトカムに関する血行障害の影響について調査されている。英国 Frenchay HospitalのChummun S氏らは、約3,300人の形成および整形外科医から患者データを集め、血行障害とアウトカムとの関連について評価を行った。その結果、血行障害は肢機能に影響を与える独立した因子であることが示される一方で、医師の半数近くが血管損傷は無関係だと考えていることなどが明らかになった。

外傷性出血患者へのトラネキサム酸投与、重症度を問わず死亡リスクを減少

 外傷性出血患者の死亡および血栓イベントに関するトラネキサム酸(商品名:トランサミンほか)投与の効果について検討した、国際多施設共同無作為化試験「CRASH-2」データ解析の結果、トラネキサム酸投与は重症度を問わず幅広い患者に、安全に投与可能であることが明らかにされた。英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのIan Roberts氏らによる報告で、BMJ誌2012年10月6日号(オンライン版2012年9月11日号)で発表した。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(26)〕 集中治療室(ICU)における入院患者の厳格な血糖管理はいかにあるべきか

 集中治療室に入室する重症患者においては、ストレスによる内因性のカテコラミンやコルチゾール、炎症性サイトカインの増加、さらには治療薬剤として用いられる外因性のステロイド薬やカテコラミンなどの影響により、糖尿病の有無にかかわらず、高血糖を示すことが多い。

小児救急における急性下痢症状へのプロバイオティクス乳酸菌の効果

 アメリカのNixon氏らによって、小児救急における急性感染性下痢症状の罹患期間を減らすことを目的として、プロバイオティクス乳酸菌(ラクトバチルスGG;LGG)の有用性が検討された。その結果、LGGは2日以上下痢症状を呈する患児の罹患期間を短縮する可能性が示唆された。Pediatr Emerg Care誌2012年10月号の報告。

重症患者における低血糖、死亡リスクを1.4~2.1倍に増大

 重症患者において、低血糖は死亡リスクを1.4~2.1倍増大することが明らかにされた。死亡リスクは中等症低血糖よりも重症低血糖のほうがさらに増大し、血液分布異常性ショックによる死亡との関連が最も強かった。オーストラリア・シドニー大学のSimon Finfer氏らにより行われたNormoglycemia in Intensive Care Evaluation-Survival Using Glucose Algorithm Regulation(NICE-SUGAR)試験の結果で、これまで重症患者における低血糖が死亡に結びつくのかどうかは明らかではなかった。なお、同関連の因果関係については、この試験では明らかにはならなかった。NEJM誌2012年9月20日号掲載より。

日本人薬物乱用者の自殺リスクファクターは「低年齢」「女性」

世界各国で深刻な社会問題となっている薬物乱用。日本においても例外ではなく、とくに若年層を中心に薬物乱用が浸透しているのが現状である。また、自殺者が薬物乱用の問題を抱えていることも少なくないと言われている。国立精神・神経医療研究センター 松本氏らは、日本人薬物乱用者における自殺のリスクファクターと性別による違いを明らかにするため検討を行った。Psychiatry Clin Neurosci誌2012年8月号の報告。