救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:103

院外心停止時の機械的心肺蘇生、生存率改善せず/Lancet

 院外心停止時の心臓マッサージについて、機械的心肺蘇生(CPR)vs.徒手的CPRのアウトカムを比較した結果、両群の30日生存率は同等であったことが、英国・ウォーリック大学のGavin D Perkins氏らによる検討の結果、示された。心マは質の高い胸骨圧迫を維持したCPRが求められることから、機器使用のほうが有効ではないかとして普及が進んでいる。しかし、有効性のエビデンスはほとんど示されておらず、先行研究でもアウトカムを改善しないと報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「先行研究の報告とも合わせて、機械的CPR法を普及させても、生存は改善しないことが示された」と述べ、「本研究により、機械的CPRが優位である点は認められないこと、および救急医療についての訓練および実践の難しさを強調するものとなった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告より。

早期経鼻栄養、感染症・死亡リスク低下せず/NEJM

 急性膵炎で合併症リスクの高い患者に対し、早期に経鼻栄養チューブによる経腸栄養を始めても、救急受診から72時間後に経口摂取を始め必要に応じて経管栄養を行う場合と比べ、主要な感染症や死亡リスクの低下に結び付かないことが示された。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのO.J.Bakker氏らが、208例の患者について行った多施設共同無作為化試験の結果、報告した。重症急性膵炎の患者に対しては、腸管からの感染症予防を目的として、早期に経鼻腸管栄養を開始することが多い。しかし、この戦略を支持するエビデンスは限定的だった。NEJM誌2014年11月20日号掲載の報告より。

脳卒中急性期の高血圧管理は、効果がない? ~無数のCQに、臨床試験は応えられるのか -ENOS試験の教訓~(解説:石上 友章 氏)-279

 臨床試験は、臨床現場の葛藤に回答を与えてくれることが期待されている。結果の不確実な選択肢に対して、丁半博打のような行為を繰り返す愚を回避するための、有力で科学的な解決策である。しかし、臨床現場のクリニカル・クエスチョン(CQ)は、有限個であるとはいっても、無数に存在する。1つのCQに、1つの臨床試験が確度の高い回答を与えてくれるとは限らない。CQを解決するつもりで行った臨床試験が、未知のCQを発掘することもある。また、臨床試験にかかるコストは、費用だけではない。人的なコスト、時間的なコストも莫大にかかるので、こうしたコストに見合った結果が得られるのかは、重大な関心事であろう。

脳卒中患者への降圧治療、身体機能改善せず/Lancet

 高血圧を伴う脳卒中患者に対する降圧治療は、血圧の低下はもたらすものの、身体機能は改善しないことが、英国・ノッティンガム大学のPhilip M W Bath氏らが行ったENOS試験で示された。脳卒中発症後の高血圧は不良な予後と関連することが知られているが、発症後早期の降圧治療の必要性や、投与中の降圧薬継続の是非は明らかにされていないという。Lancet誌オンライン版2014年10月22日号掲載の報告。

ビタミンD欠乏患者への高用量VD3、効果みられず/JAMA

 ICU入室のビタミンD欠乏(20ng/mL以下)重病患者に対し、高用量ビタミンD3の投与はプラセボと比較して、入院期間、院内死亡率または6ヵ月死亡率を低減しなかったことが明らかにされた。オーストリア・グラーツ医科大学のKarin Amrein氏らが無作為化試験「VITdAL-ICU」の結果、報告した。12ng/mL以下の重度ビタミンD欠乏患者では、院内死亡率の低下がみられたが、この所見については、さらなる検討を要するものではないと著者は結論している。重病患者のビタミンD値低下は死亡率、罹患率増大に結び付くが、因果関係があるのかについては明らかにされていなかった。JAMA誌2014年10月15日号掲載の報告より。

ICUでの栄養療法、静脈と経腸は同等/NEJM

 ICU入室の重症患者への早期栄養療法について、経静脈ルート(静脈栄養法)と経腸ルート(経腸栄養法)を比較した結果、30日全死亡率などのアウトカムは同等であることが示された。低血糖症と嘔吐の発生については、静脈栄養療法群で有意に低率だった。英国・Intensive Care National Audit and Research Centre(ICNARC)のSheila E. Harvey氏らが、ICU患者2,400例について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。同早期栄養療法については、いずれのルートが最も効果的かについて明らかとなっていなかった。NEJM誌オンライン版2014年10月1日号掲載の報告より。

急性呼吸促迫症候群へのスタチンの効果/NEJM

 急性呼吸促迫症候群(ARDS)の治療において、シンバスタチンは臨床転帰の改善をもたらさないことが、英国・クイーンズ大学ベルファストのDaniel F McAuley氏らIrish Critical Care Trials Groupが行ったHARP-2試験で示された。ARDSでは、肺胞障害を引き起こすコントロール不良な炎症性反応が認められ、豊富なタンパク質を含む肺浮腫液の肺胞腔内への滲出により呼吸不全を来す。スタチンは、HMG-CoA還元酵素を阻害することで、ARDSの発症に関与する複数の機序を修飾することが示され、動物実験やin vitro試験、さらにヒトの第II相試験においてARDSの治療に有効である可能性が示唆されている。NEJM誌2014年9月30日号掲載の報告。

腎結石疑いの画像診断、超音波 vs. CT/NEJM

 腎結石疑いの患者に対する初回の画像診断法として、超音波検査法とCT検査法とでは、その後のアウトカムに有意差はないことが報告された。一方で、検査によって受ける累積被曝量については、超音波検査のほうがCT検査より低かった。また、超音波検査について、緊急救命室(ER)の医師が同室で行う「ポイント・オブ・ケア(POC)超音波検査」と、放射線科医による超音波検査を行った場合を比較した検討では、アウトカムは同等であることが示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のR. Smith-Bindman氏らが、2,759例について行った多施設共同無作為化比較試験の結果、報告した。NEJM誌2014年9月18日号掲載の報告より。