救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:104

ICUでのMRSA感染症を防ぐために有効な方法とは?(コメンテーター:吉田 敦 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(117)より-

 MRSAは、医療関連感染(Healthcare Associated Infections)の中で最も重要な微生物といっても過言ではなく、とくにICUでは問題になることが非常に多い。米国ではスクリーニングとして、ICU入室時に鼻腔のMRSAを調べ、接触感染予防策を徹底するよう義務づけている州がある。鼻腔にMRSAを保菌しているキャリアーからの伝播を防ぐ方法として、(1)抗菌薬であるムピロシンの鼻腔内塗布や、(2)消毒薬のクロルヘキシジンをしみ込ませた布での患者清拭を行って、除菌decolonizationできるかどうか検討され、それぞれ有効性が示されてきたが、誰にいつの時点で行えばよいかは不明であった。

ICU内の感染症対策、標的患者除菌よりも全患者除菌が有効/NEJM

 ICU内における標的患者除菌または全患者除菌は、いずれも院内感染症の予防において、とくにMRSAに対しては有望な戦略である。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のSusan S. Huang氏らは、プラグマティックなクラスター無作為化試験を行い、いずれの方法がルーチンなICUケアとして有効であるかを検討した。その結果、全患者除菌が、より有効であったことを報告した。NEJM誌オンライン版2013年5月29日号掲載の報告より。

航空機内の医学的緊急事態、医療従事者はいかに対処すべきか?/NEJM

 民間航空機の機内では、毎年、約4万4,000件の医学的緊急事態が発生し、その主な原因は失神、呼吸器症状、消化器症状であり、多くの場合に医師が有志で医療活動を行っている実態が、米国・ピッツバーグ大学のDrew C. Peterson氏らの調査で明らかとなった。現在、世界的な民間航空機搭乗者数は年間約27億5,000万人に上る。機内での医学的緊急事態発生時の対応にはおのずと限界があるが、医師や医療従事者の訓練、経験が十分でないことも事実である。これまでに行われた同様の調査は、単一の航空会社の情報に基づき、患者の転帰は対象外の場合が多かったという。NEJM誌オンライン版2013年5月30日号掲載の報告。

重症患者へのグルタミン早期投与、死亡率が増加/NEJM

 集中治療室(ICU)に入室した多臓器不全を呈する重症患者では、グルタミンの早期投与によりむしろ死亡率が上昇し、抗酸化薬の投与は臨床転帰に影響を及ぼさないことが、カナダ・キングストン総合病院のDaren Heyland氏らの検討で示された。重篤な病態にある患者は多大な酸化ストレスを受けており、グルタミンや抗酸化物質の投与により死亡率が抑制される可能性が指摘されているが、これまでに得られたデータは相反するものだという。NEJM誌2013年4月18日号掲載の報告。

退院時診断に基づくERの軽症患者の受診抑制策は効果的なのか?/JAMA

 米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMaria C. Raven氏らは、非緊急の救急部門(ER)受診を退院時診断で特定できるのか、主訴と退院時診断を比較する検討を行った。米国では増大する医療費削減策として、ERのいわゆる軽症患者の受診を抑制するため、非緊急ER受診が退院診断と関連しているような場合は医療費支払いを拒否または制限するというメディケア施策が、複数の州で制定・実行または検討されているという。本施策については効果的とする一方、たとえば高齢の糖尿病患者で胸痛を訴えた後の逆流性食道炎が退院時診断であったような場合や、医療費支払いの制限を心配した過度の受診抑制が起きるのではないかという懸念も示されている。JAMA誌2013年3月20日号掲載の報告より。

退院後30日以内の再受診のうち救急部門受診が約4割/JAMA

 米国・エール大学医学部のAnita A. Vashi氏らは、米国内3州の約1年間の退院データ解析の結果、急性期病院からの退院後30日以内の救急部門再受診が成人患者で一般的にみられ、急性期病院の再受診患者のうち39.8%を占めることを報告した。再入院率は急性期治療後における医療ケアの質の改善の指標とされており、退院後早期の救急部門受診も同様に、退院後における急性期の医療ケアの質の指標とみなされているが、これまで退院後早期の救急部門利用に関する調査はほとんど行われていなかった。JAMA誌2013年1月23・30日号掲載の報告より。

術後のAcute Pain Serviceを利用できない患者には経口オピオイド療法を

 術後痛など急性痛に対応するAcute Pain Service(APS)を受けない、すなわち局所麻酔法や患者自己管理鎮痛法を受けることができない患者は、激しい術後疼痛に苦しむ。こうした患者に対しては経口オピオイド療法が有効であり、治療アルゴリズムは外科病棟で実行可能であることがドイツ・ミュンスター大学病院のE.M. Pogatzki-Zahn氏らによる前向き観察研究で示された。