広範囲虚血患者に対する経皮的脳血栓回収術の有効性が示された(解説:高梨成彦氏)
本研究はこれまで治療適応外とされていた広範囲虚血患者でも、経皮的脳血栓回収術によって予後が改善することを示したものである。先のRESCUE-Japan LIMIT(Yoshimura S, et al. N Engl J Med. 2022;386:1303-1313.)の結果を補強するもので、同じくISC2023において中国から報告されたANGEL-ASPECTSでも同様の結果が示された。今後はASPECTSの低い=虚血コアの大きな患者に対しても血栓回収術の適応が拡大されることになるだろう。研究対象となっているのはCT検査においてASPECTS 5点以下、または潅流CTかMRI拡散強調画像をRAPIDで評価して虚血コアが50mL以上である症例である。90日後のmRSが0~2であった患者の割合は内科治療群が7.0%であったのに対して血管内治療群では20.0%にも達している。興味深いことに、さらに広範な虚血を来した患者についても解析が行われており、70mL、100mL、150mLでも血管内治療群で予後が良好であった。