救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:36

心血管疾患2次予防にインフルエンザワクチンは必要か

 急性冠症候群の治療期間中における早期のインフルエンザワクチン接種によって、12ヵ月後の心血管イベント転帰改善が示唆された。本研究は、スウェーデン・Orebro UniversityのOle Frobert氏らにより欧州心臓病学会(ESC 2021)にて報告された。Circulation誌2021年11月2日号に掲載。  実施された国際多施設共同二重盲検ランダム化比較試験(IAMI trial)は、2016年10月1日~20年3月1日の4シーズンに8ヵ国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、ラトビア、英国、チェコ、バングラデシュ、オーストラリア)30施設で参加者を登録。急性心筋梗塞(MI)または高リスクの冠動脈疾患患者を対象に、入院から72時間以内にインフルエンザワクチンまたはプラセボを接種する群に1:1でランダムに割り付けた。  なお、過去12ヵ月間にインフルエンザワクチン接種を受けた者、入院したシーズン中にワクチン接種を受ける意思がある者は除外された。

コロナに感染してもワクチン接種していると、コロナ入院リスクも重症化リスクも死亡リスクも低い(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による第5波の後、日本では感染者は激減して、多くの医療機関では今後押し寄せるだろう第6波に向けて、粛々と感染対策の見直しやコロナワクチンのブースター接種の業務を進めていることだろう。日本では水際対策が功を奏しているからかどうかはわからないが、世界で話題になっているSARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統、通称オミクロン株の大きな流行は12月中旬現在では認められていない。ただし米国の一部の地域や英国などでは冬になりオミクロン株が猛威を振るっている状況であり、日本でも感染対策の手を緩め過ぎることのないようにされたい。

新型コロナ再感染時の重症化リスク/NEJM

 新型コロナウイルスの初感染時と比較した再感染時の重症度について、カタールのNational Study Group for COVID-19 Epidemiologyが全国コホートのデータを用いて評価した。その結果、再感染時の入院/死亡リスクが初感染時に比べて90%低かったことを、Laith J Abu-Raddad氏らがNEJM誌オンライン版2021年11月24日号のCORRESPONDENCEで報告した。  カタールでは、2020年3~6月に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の第1波があり、その後人口の約40%がSARS-CoV-2の抗体を保持していた。その後、2021年1~5月に、B.1.1.7(アルファ株)およびB.1.351(ベータ株)による2つの連続した波が発生した。

新型コロナ予防接種実施の手引き(6版)を公開/厚労省

 厚生労働省は、12月17日に全国の市町村に「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(6版)」を発出するとともに、同省のホームページでも公開した。本手引きは2020年12月17日の初版以来、十数回の更新を行い、その時どきの臨床知見、行政施策を反映した内容に改訂されている。  今回の改訂では、武田/モデルナ社ワクチンに関する記述、他施設へのワクチンの融通、ワクチンの移送に関する記述が大幅に追加された。  主な改訂点 【第4章2(5)ア(エ) ファイザー社ワクチンをシリンジに充填して移送する場合の留意点について追記】 在宅療養患者等に対して在宅において接種を行う場合は、希釈したファイザー社ワクチンをシリンジに充填した状態で移送することを可能としているが、以下の点に留意すること。 ・シリンジの充填作業は1ヵ所で行うこと。 ・ワクチンを充填したシリンジは、添付文書の記載に従い、2~30℃で管理し、揺らさないよう慎重に取り扱うとともに、直射日光および紫外線が当たらないようにすること。 ・希釈後は6時間以内に使用すること。 ・シリンジに充填した状態のワクチンを他施設へ融通しないこと。

医療機関でのブレークスルー感染事例の共通点は/感染研

 国立感染症研究所は、12月16日に同研究所のホームページで「ブレイクスルー感染者を含む医療機関、福祉施設などでのクラスター調査から得られた知見(簡略版)」を公開した。オミクロン株の拡大が懸念されている現在、クラスター抑止の観点からも参考にしていただきたい。  今回公開された知見は、2021年8月以降、医療施設や福祉施設などにおいて、ワクチン接種後一定の期間を経過した者のうち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患する、いわゆるブレークスルー感染者を多数含むクラスターが報告されるようになったことに鑑み、「ブレークスルー感染者を多数含む複数の国内各地で発生したクラスターの各調査結果(計11事例)から得られた、共通すると思われる代表的な所見、および共通する対策に関する提案について、迅速性に重きを置いた形で簡略に紹介する」としている。

重症COVID-19患者への高流量酸素療法、気管挿管を低減/JAMA

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の治療において、鼻カニューレを用いた高流量酸素療法は従来型の低流量酸素療法と比較して、侵襲的機械換気の必要性を低減し、臨床的回復までの期間を短縮することが、コロンビア・Fundacion Valle del LiliのGustavo A. Ospina-Tascon氏らが実施した「HiFLo-Covid試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2021年12月7日号に掲載された。  本研究は、コロンビアの3つの病院の緊急治療室と集中治療室が参加した非盲検無作為化試験であり、2020年8月13日~2021年1月12日の期間に参加者の無作為化が行われ、2021年2月10日に最終的な追跡調査を終了した(Centro de Investigaciones Clinicas, Fundacion Valle del Liliの助成を受けた)。

「不退転の覚悟で挑む大きな医療政策とは?」衆議院議員・松本 尚氏インタビュー(後編)

 新型コロナウイルス感染症が社会を覆い尽くしたこの2年。世の中の常識や既定路線にも大小の揺らぎが生じ、来し方行く末を考えた人は少なくないだろう。今秋の衆議院選挙で、千葉県の小選挙区において初出馬ながら当選を果たした松本 尚氏(59歳)は、救急医療(外傷外科)専門医であり、国内のフライトドクターの第一人者としてその名前を知る人も多いはずだ。34年の医師のキャリアを置き、新人代議士として再出発を切った松本氏に、キャリア転換に至ったいきさつや、医療界と政界それぞれに対する思いや提言について伺った。

「僕がいるべき場所は医療現場より国会だった」衆議院議員・松本 尚氏インタビュー(前編)

 新型コロナウイルス感染症が社会を覆い尽くしたこの2年。世の中の常識や既定路線にも大小の揺らぎが生じ、来し方行く末を考えた人は少なくないだろう。今秋の衆議院選挙で、千葉県の小選挙区において初出馬ながら当選を果たした松本 尚氏(59歳)は、救急医療(外傷外科)専門医であり、国内のフライトドクターの第一人者としてその名前を知る人も多いはずだ。34年の医師のキャリアを置き、新人代議士として再出発を切った松本氏に、キャリア転換に至ったいきさつや、医療界と政界それぞれに対する思いや提言について伺った。

有害事象を追記、COVID-19ワクチンに関する提言(第4版)公開/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、12月16日に同学会のホームページで「COVID-19ワクチンに関する提言」の第4版を公開した。  今回の提言では、昨今のオミクロン株拡大の懸念を踏まえ「COVID-19ワクチンついて、その有効性と安全性に関する科学的な情報を解説し、接種を判断する際の参考にしていただくために作成いたしました。第3版のあとに明らかになったことや今後の課題について追記し、第4版として公開いたします。COVID-19の終息に向かって、COVID-19ワクチンが正しく理解され、安全性についても慎重に検証しながら、接種がさらに進んでゆくことを願っています」と今後のさらなるCOVID-19の予防に期待を寄せている。

肺塞栓除外、YEARS基準+D-ダイマー年齢補正カットオフ値が有効/JAMA

 肺塞栓症の疑いで救急部門に搬送され、肺塞栓症除外基準(PERCルール)で除外できなかった患者について、YEARS基準とD-ダイマー年齢補正カットオフ値を組み合わせた診断戦略は、従来のD-ダイマー年齢補正カットオフ値のみによる診断戦略と比べて非劣性であることが、フランス・ソルボンヌ大学のYonathan Freund氏らが1,414例を対象に行った無作為化試験で示された。YEARS基準+D-ダイマー診断群では、胸部画像撮影実施率も約9%低減し、救急部門入院期間は短縮したという。これまで非コントロール試験では、YEARS基準とさまざまなD-ダイマーのカットオフ値を組み合わせた診断戦略が、安全に肺塞栓症を除外できることが示されていた。JAMA誌2021年12月7日号掲載の報告。