循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:173

次世代JROADでバイオマーカーの予測目指す/日本循環器学会

 高齢化とともに心不全罹患率は上昇傾向を示し、治療の発展からその予後は短期的から長期的へ変遷する。2018年12月には、「脳卒中・循環器病対策基本法」が成立し、がん患者以外の緩和ケア医療も進んでいくだろう。2019年3月29~31日、横浜で開催された第83回日本循環器学会学術集会で、井手 友美氏(九州大学医学研究院循環器病病態治療講座准教授)が、循環器疾患診療時実態調査(JROAD)を活用した心不全に対する新たな取り組みについて講演した。

SGLT2阻害薬カナグリフロジンの腎保護作用が示される:CREDENCE試験/国際腎臓学会

 2型糖尿病患者に対する心血管系(CV)イベントリスクの低下を検討したランダム化試験から、SGLT2阻害薬による腎保護作用が示唆された。しかし、あくまで副次的解析であり、対象は腎機能が比較的保たれた例に限られていた。4月12~15日にオーストラリアで開催された国際腎臓学会(ISN)-World Congress of Nephrology(WCN)2019で報告されたCREDENCE試験では、SGLT2阻害薬カナグリフロジンが、慢性腎臓病(CKD)を合併した2型糖尿病患者の腎・心イベントを抑制することが明らかになった。Vlado Perkovic氏(オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学)が報告した。

急性冠症候群ガイドラインの改訂点は?/日本循環器学会

 急性心筋梗塞や不安定狭心症、心臓突然死を含む急性冠症候群。これは、欧米での死因第一位であり、高齢化や食の欧米化が年々加速する日本でも他人事ではない。2019年3月29~31日、第83回日本循環器学会学術集会が開催され、『急性冠症候群診療ガイドライン(2018年改訂版)』の作成班長を努めた木村 一雄氏(横浜市立大学附属市民総合医療センター心臓血管センター)が、急性冠症候群診療ガイドラインの改訂ポイントについて解説した。  『急性冠症候群診療ガイドライン』は、3つのガイドライン(「ST上昇型急性心筋梗塞の診療に関するガイドライン」、「非ST上昇型急性冠症候群の診療に関するガイドライン」、「心筋梗塞二次予防に関するガイドライン」)を包括し、発行された。作成するにあたり、急性冠症候群診療ガイドラインがアジア諸国の参考となることを目指し英文ガイドラインも同時発表されたが、このような急性冠症候群(ACS)を包括したガイドラインは、米国や欧州でもいまだに作成されていない。

鳴り物入りで登場しても…(解説:後藤信哉氏)-1025

いわゆるDOACは使いやすい。しかし、選択的・可逆的な凝固因子阻害薬では、血栓イベントリスクの高い症例では効果を期待できない。静脈血栓症も再発リスクの高い、体内局所の血栓性が亢進する病態に通用するか否か疑問があった。本研究では、1)がん、2)静脈血栓リスクが高い、3)抗がん剤治療開始、の3条件のそろった症例を、リバーロキサバンとプラセボにランダム化した。相手がプラセボであってもリバーロキサバンは静脈血栓発症予防効果を示せなかった。

心不全患者の突然死、わが国でも高い精度で予測可能に/日本循環器学会

 欧米で開発された心不全患者の突然死の統計的な発症予測モデルSeattle Proportional Risk Model(SPRM)を用いることにより、日本人の心不全患者においても高い精度で突然死の発症を予測できることが示唆された。突然死の予防に有効な植込み型除細動器(ICD)を含めた治療方針を検討するうえで役立つことが期待される。2019年3月29~31日に開催された第83回日本循環器学会学術集会で、慶應義塾大学医学部循環器内科の福岡 良磨氏らが発表した。

症候性AFへのアブレーションの効果、CABANA試験で明らかに/JAMA

 症候性心房細動(AF)患者では、カテーテルアブレーションは薬物療法と比較して、1年後のQOLに関し臨床的に意義のある改善をもたらすことが、米国・デューク大学のDaniel B. Mark氏らが行った「CABANA試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2019年4月2日号に掲載された。カテーテルアブレーションは、AF患者の洞調律復帰において、薬物療法よりも有効性が高いとされるが、長期的なQOLの増分がどの程度かは、これまで不明であった。

がん患者の深部静脈血栓症、再発率は2倍以上/日本循環器学会

 がんは深部静脈血栓症(VTE)の強力なリスク因子である。がん患者のVTE発症頻度は非がん患者に比べ高く、その発症率は近年増加している。しかし、がん関連VTEに関する研究は十分ではなく、適切な管理については明らかになっていない。天理よろづ相談所病院 循環器内科 坂本二郎氏らは、がん関連VTEの臨床的な特徴、管理、臨床的転帰をリアルワールドで評価する多施設後ろ向きコホート研究COMMAND-VTEレジストリを行い、その結果を第83回日本循環器学会学術集会で発表した。

脳卒中リスクを有するAF患者へのアブレーションの有用性/JAMA

 心房細動(AF)患者におけるカテーテルアブレーション戦略は、薬物療法と比較して主要評価項目(死亡・後遺症を伴う脳卒中・大出血・心停止の複合エンドポイント)に有意差は認められなかった。米国・メイヨー・クリニックのDouglas L. Packer氏らが、10ヵ国126施設で実施した医師主導型の多施設共同非盲検無作為化試験「The Catheter Ablation vs Antiarrhythmic Drug Therapy for Atrial Fibrillation trial:CABANA試験」の結果を報告した。

がん終末期は減薬を/Cancer

 がん終末期における予防薬の投与はいつまで行われているのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLucas Morin氏らは、高齢の進行がん患者における降圧薬、抗血小板薬、抗凝固薬、スタチン、経口糖尿病薬などの予防薬の継続について調査を行い、これらは死亡前1年間においても処方され、しばしば最後の数週間まで続けられていたことを明らかにした。著者は、「終末期の患者において、予防薬が臨床的有用性を達成する可能性は低い。

第13回Transcatheter Imaging Forum(TCIF2019)開催のご案内

 NPO法人日本血管映像化研究機構は、2019年4月26・27日に第13回Transcatheter Imaging Forumを開催する。本会は当初より、種々の画像診断技術を用いて、動脈硬化性疾患の評価をライブ中継画像を交えながら真摯に議論する集まりとして開催されてきた。近年は、改良された血流維持型血管内視鏡によって観察される大動脈内腔、自然破綻を繰り返す動脈硬化性粥腫(プラーク)に注目し、その診断、病態、治療に関する種々の検討を積み重ねている。