CABGでのグラフト採取、内視鏡下 vs.切開法で長期転帰に差なし/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2018/11/26

 

 冠動脈バイパス術(CABG)における静脈グラフト採取法について、切開採取と内視鏡下採取で主要有害心血管イベント(MACE)に有意差は確認されなかった。米国・VAボストン・ヘルスケアシステムのMarco A. Zenati氏らが、CABGにおける切開/内視鏡下静脈グラフト採取法の長期臨床アウトカムを評価した多施設共同無作為化試験(Randomized Endovein Graft Prospective trial:REGROUP試験)の結果を報告した。伏在静脈グラフトは、CABGで最も一般的であるが、静脈グラフト採取法の長期アウトカムへの影響はこれまで十分に明らかにはされていなかった。NEJM誌オンライン版2018年11月11日号掲載の報告。

1,150例対象に、MACE発生率を評価
 研究グループは、米国の退役軍人心臓外科センター16施設において、CABG実施予定患者を、切開静脈グラフト採取法(切開)群、または内視鏡下静脈グラフト採取法(内視鏡下)群のいずれかに無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、MACE(全死因死亡、非致死的心筋梗塞、血行再建術再施行の複合)とし、創部合併症も同様に評価した。統計解析は、Cox比例ハザードモデルを用いてintention-to-treat集団で実施された。

 2014年3月~2017年4月の期間で、計1,150例が無作為化を受けた(切開群574例、内視鏡下群576例)。

追跡中央値約3年、内視鏡下採取と切開採取のMACE発生率に有意差なし
 追跡期間中央値2.78年において、主要評価項目であるMACEは、切開群で89例(15.5%)、内視鏡下群で80例(13.9%)が確認された(ハザード比[HR]:1.12、95%信頼区間[CI]:0.83~1.51、p=0.47)。死亡は、切開群46例(8.0%)、内視鏡下群37例(6.4%)(HR:1.25、95%CI:0.81~1.92)、心筋梗塞は、それぞれ34例(5.9%)および27例(4.7%)(1.27、0.77~2.11)、血行再建術は、35例(6.1%)および31例(5.4%)(1.14、0.70~1.85)であった。

 創部感染は、切開群で18例(3.1%)、内視鏡下群で8例(1.4%)に認められた(相対リスク:2.26、95%CI:0.99~5.15)。

 なお、著者は、グラフト開存の画像評価がないことや、多くの患者が男性であったことなどを研究の限界として挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

専門家はこう見る

コメンテーター : 今中 和人( いまなか かずひと ) 氏

医療法人朗源会 大隈病院

J-CLEAR推薦コメンテーター