循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:206

降圧薬が皮膚がんのリスク増加に関連

 米国・マサチューセッツ総合病院のK.A. Su氏らによる調査の結果、光感作性のある降圧薬(AD)による治療を受けた患者では、皮膚の扁平上皮がん(cSCC)のリスクが軽度に増加することが明らかになった。多くのADは光感作性があり、皮膚の日光に対する反応性を高くする。先行の研究では、光感作性ADは口唇がんとの関連性が示唆されているが、cSCCの発症リスクに影響するかどうかは不明であった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2018年5月3日号掲載の報告。

リアルワールドエビデンスを活用したSGLT2阻害薬の治療ゴールとは

 2018年5月15日、アストラゼネカ株式会社は、「リアルワールドデータから見えるSGLT2阻害剤による糖尿病治療の新たなステージ~日本人を含むCVD‐REAL2研究の結果によって示唆される日本人糖尿病患者さんのベネフィットや真の治療ゴールとは~」をテーマとしたプレスセミナーを開催した。香坂 俊氏(慶應義塾大学医学部 循環器内科 講師)と門脇 孝氏(東京大学医学部付属病院 特任研究員・帝京大学医学部 常勤客員教授)の2名が講師として招かれ、リアルワールドエビデンス(RWE)の未来と糖尿病治療のエビデンスへの活用についてそれぞれ解説した。

TIA/脳梗塞患者、長期の心血管リスクは?/NEJM

 一過性脳虚血発作(TIA)および軽度虚血性脳卒中を発症後の心血管イベントの長期的なリスクは知られていない。フランス・パリ第7大学のPierre Amarenco氏らは、21ヵ国のレジストリデータを解析し、TIA/軽度虚血性脳卒中の発症から1年後の心血管イベントのリスクが、5年後も持続していることを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年5月16日号に掲載された。脳卒中後の新たなイベントのリスクは、発症後10日間は増大し、その後は発症後1年まで比較的安定するとされるが、1年以降の脳卒中のリスクを評価した研究は少なく、再発リスクを検討した試験の多くは単施設で行われたものだという。

きっちり飲める降圧薬は2剤まで?

 高血圧症治療に対する医師の満足度は、2014年度時点で98.9%と高いにもかかわらず、降圧目標達成率は、2013年の研究によると男性30%、女性40%と低いことが報告されている。日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は「医師および高血圧患者の高血圧治療に対する意識の実態調査」を実施し、その結果は医学雑誌「血圧」に調査研究として掲載された。

伏在静脈グラフト病変、DES vs.BMS/Lancet

 新規伏在静脈グラフト(SVG)病変にステントを留置した患者を12ヵ月間追跡した結果、薬剤溶出ステント(DES)とベアメタルステント(BMS)で、アウトカムに有意差はないことが確認された。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのEmmanouil S. Brilakis氏らが、新規SVG病変に対するDESとBMSを比較検証した無作為化二重盲検試験「DIVA試験」の結果を報告した。これまで、新規SVG病変に対するステント留置術において、BMSとDESの有効性を比較した研究はほとんどなかった。著者は、「今回の結果は、価格が低いBMSが、安全性や有効性を損なうことなくSVG病変に使用可能であることを示唆しており、米国のようなDESの価格が高い国では経済的に重要な意味がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年5月11日号掲載の報告。

ドクターXを探せ?(解説:今中和人氏)-858

この論文はさまざまな科の20術式について、非待期的(入院後3日以内)に手術が行われた症例の手術死亡率(在院死亡+30日以内の死亡)と術者の年齢・性別との関連を検討している。対象は4年間の全米のMedicare受給者の89万例で、49%が整形外科手術、38%が一般外科手術、12%が心臓血管外科手術、1%がその他の手術だった。

中高生時代の部活が心血管死リスクに影響か~日本人7万人調査

 日本人の中高生時代における運動部への参加と成人期の運動習慣が心血管疾患(CVD)死亡率にどのように関連するのかを、米国・Harvard T.H. Chan School of Public Healthのゲロ クリスティーナ氏らが調査した。その結果、成人期に運動している男性において、中高生時に運動部に参加していた人の冠動脈疾患(CHD)死亡リスクはより低いことが示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2018年5月10日号に掲載。

僧帽弁閉鎖不全症は予後は必ずしも良好ではなく過小治療の傾向がある(解説:今井靖氏)-857

心臓弁膜症は心臓疾患の中では古くからその病態生理が検討され、心臓外科手術、とくに人工弁置換術の術式が確立することに加えて、心臓超音波検査法の進歩と相まって今日の診療の枠組みが構築された。2014年に国内で6万6,453件の心臓外科手術が行われているが、そのうち2万1,939件が弁膜症であり、大動脈弁狭窄に対する弁置換と僧帽弁閉鎖不全に対する形成術の比率が増えており、それら疾患の増加が読み取れる。最近は大動脈弁狭窄症にTAVIというカテーテル治療が登場し、僧帽弁閉鎖不全にもカテーテルを用いてクリップを僧帽弁にかけるMitraClipという治療法が日本でも始まろうとしている。このような時期において一般集団における僧帽弁閉鎖不全の頻度と外科治療の実施状況、予後などについて必ずしも明らかではなかった。本邦の検討ではないが、米国からのこの論文は示唆に富むものと考えられる。