伏在静脈グラフト病変、DES vs.BMS/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2018/05/25

 

 新規伏在静脈グラフト(SVG)病変にステントを留置した患者を12ヵ月間追跡した結果、薬剤溶出ステント(DES)とベアメタルステント(BMS)で、アウトカムに有意差はないことが確認された。米国・テキサス大学サウスウエスタン医療センターのEmmanouil S. Brilakis氏らが、新規SVG病変に対するDESとBMSを比較検証した無作為化二重盲検試験「DIVA試験」の結果を報告した。これまで、新規SVG病変に対するステント留置術において、BMSとDESの有効性を比較した研究はほとんどなかった。著者は、「今回の結果は、価格が低いBMSが、安全性や有効性を損なうことなくSVG病変に使用可能であることを示唆しており、米国のようなDESの価格が高い国では経済的に重要な意味がある」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年5月11日号掲載の報告。

ステント留置が必要な新規SVG病変を有する患者を退役軍人施設で登録
 研究グループは、25ヵ所の米国退役軍人施設において、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を必要とする1ヵ所以上の新規SVG病変(50~99%狭窄、SVG直径2.25~4.5mm)を有する18歳以上の患者を登録し、DES群またはBMS群に1対1の割合で無作為に割り付けた。無作為化は、糖尿病の有無およびPCIを必要とする標的SVG病変の数(1ヵ所または2ヵ所以上)により各参加施設内で層別化して行われた。患者、委託医師、コーディネーター、アウトカム評価者は、割り付けに関して盲検化された。

 主要評価項目は、標的血管不全(TVF)(心臓死、標的血管の心筋梗塞、標的血管血行再建術[TVR]の複合エンドポイントと定義)の12ヵ月の発生率で、intention-to-treat解析で検討した。

標的血管不全の発生率、DES群17% vs.BMS群19%で有意差なし
 2012年1月1日~2015年12月31日に、599例が無作為化され、同意取得が不適切であった2例を除く597例が解析対象となった。患者の平均年齢は68.6歳(SD 7.6)、595例(>99%)が男性であった。ベースラインの患者背景は、両群でほぼ類似していた。

 12ヵ月後のTVF発生率は、DES群17%(51/292例)、BMS群19%(58/305例)であった(補正ハザード比:0.92、95%信頼区間[CI]:0.63~1.34、p=0.70)。主要評価項目の構成要素、重篤な有害事象、ステント血栓症の発生についても、両群間で有意差は確認されなかった。目標症例数762例に達する前に、試験への患者登録は中止された。

 著者は研究の限界として、退役軍人施設の患者を対象とした試験であるため、ほとんどが男性であること、目標症例数に達する前に試験中止となったことなどを挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)