循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:207

心房細動、サイナスになっても 脳梗塞リスク 高いまま/BMJ

 正常洞調律を取り戻し回復した状態(resolved)であると診断された心房細動(AF)患者について、非AF患者と比べると、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)のリスクは有意に高いままであることが、英国・バーミンガム大学のNicola J. Adderley氏らによる、同国の一般診療所(GP)で集められたデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。リスクの増大は、再発の記録がなかった患者でも認められたという。AFは明らかな回復後も再発の可能性があるが、そのような患者で脳卒中/TIAリスクの増大が認められるのかは明らかになっておらず、ガイドラインでも、同患者に関する治療は明示されていない。BMJ誌2018年5月9日号掲載の報告。

握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。

心房細動の発症、リスク1つでも明らかに上昇/BMJ

 心房細動の生涯リスクは、指標年齢(55歳、65歳および75歳)にかかわらず、リスク因子を有していない場合で約5分の1、1つ以上のリスク因子があると約3分の1強に上昇することが、米国・ボストン大学のLaila Staerk氏らによるフラミンガム心臓研究を基にした解析の結果、明らかにされた。これまで、心房細動の生涯リスクは40歳以上で約4分の1と推定されてきた。心房細動の短期的なリスク因子は確立されているが、リスク因子の負荷が心房細動の生涯リスクにどれほど影響するかは不明であった。結果を踏まえて著者は、「心房細動の疾病負担を減らす予防的な取り組みは、修正可能な境界域および明らかなリスク因子を目標とし、複数の併存疾患を考慮すべきであろう」と述べている。BMJ誌2018年4月26日号掲載の報告。

CABGのグラフト、橈骨動脈が伏在静脈に優る/NEJM

 5年間のフォローアップにおいて、橈骨動脈グラフトを用いた冠動脈バイパス術(CABG)は伏在静脈グラフトを用いたCABGに比べ、主要有害心血管イベントのリスクが有意に低く、周術期のグラフト開存性が有意に良好であることが示された。米国・コーネル大学医学部循環器手術部門のMario Gaudino氏らが、6つの無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析で明らかにした。これまで、橈骨動脈グラフト使用のCABGが伏在静脈グラフト使用のCABGに比べ、術後アウトカムが良好である可能性を示唆する試験結果はあったが、個々の試験では臨床アウトカムの差を示すには統計学的に検出力が不足していたという。NEJM誌オンライン版2018年4月30日号掲載の報告。

心房細動の男性の死亡リスク、独身は既婚の1.25倍

 心房細動患者において、社会経済的因子と死亡率や心血管系合併症リスクとの関連はあまりわかっていない。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らによる心房細動患者のコホート研究で、低学歴者および独身(未婚・離婚)男性では死亡や心血管系合併症のリスクが高いことが報告された。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年5月9日号に掲載。

抗血小板薬2剤併用、CABG後グラフト開存率を改善/JAMA

 チカグレロル+アスピリンによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、アスピリン単剤に比べ、冠動脈バイパス術(CABG)後1年時の伏在静脈グラフトの開存率を改善することが、中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のQiang Zhao氏らが行った多施設共同試験(DACAB試験)で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年4月24日号に掲載された。CABG後の伏在静脈グラフトの開存に及ぼす、アスピリン+P2Y12受容体拮抗薬によるDAPTの効果については、いくつかの小規模な短期的臨床試験で相反する結果が報告されているという。

下腿潰瘍、表在静脈逆流への早期焼灼術で迅速な治癒/NEJM

 静脈疾患は、下腿の潰瘍形成の最も一般的な原因である。英国・ケンブリッジ大学病院のManjit S. Gohel氏らは、表在静脈逆流への早期の静脈内焼灼術は待機的な静脈内焼灼術に比べ、静脈性下腿潰瘍の治癒を迅速化し、潰瘍のない期間を延長することを示した(EVRA試験)。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年4月24日号に掲載された。圧迫療法は、静脈性潰瘍の治癒を改善するものの、静脈高血圧の根本原因を治療するものではない。表在静脈逆流の治療は潰瘍の再発率を低下させるが、表在静脈逆流への早期静脈内焼灼術が、潰瘍の治癒に及ぼす効果は明らかにされていない。

手術関連死、最も少ないのは50代女性外科医/BMJ

 手術の技能は、外科医が職歴を重ね、技術や経験を蓄積することで向上するが、手先の器用さの衰えや知識の旧態化により低下する可能性が指摘されている。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の津川 友介氏らは、メディケア受給者のデータを解析し、年長の外科医による治療を受けた患者は、若年外科医の治療を受けた患者に比べ死亡率が低く、外科医の性別で手術関連死に差はないことを示した。研究の成果は、BMJ誌2018年4月25日号に掲載された。年長の外科医と若い外科医の技能の優劣については相反するエビデンスがあり、最近のカナダの1州で実施された研究では、女性外科医は男性外科医に比べ手術関連死が少ないことが示唆されているという。