循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

無症候性心房細動の脳卒中予防、アピキサバンvs.アスピリン/NEJM

 無症候性の心房細動患者への経口抗凝固療法について、アピキサバンはアスピリンと比較し、脳卒中または全身性塞栓症を減少するが大出血が増加したことを、カナダ・マクマスター大学のJeff S. Healey氏らが、欧米16ヵ国247施設で実施された無作為化二重盲検比較試験「Apixaban for the Reduction of Thrombo-Embolism in Patients with Device-Detected Subclinical Atrial Fibrillation trial:ARTESIA試験」の結果で報告した。無症候性心房細動は、持続時間が短く無症状であり、通常はペースメーカーまたは除細動器による長期的な連続モニタリングによってのみ検出可能である。また、脳卒中のリスクを2.5倍増加するが、経口抗凝固療法による治療効果は不明であった。NEJM誌オンライン版2023年11月12日号掲載の報告。

抗狭心症薬非服用の安定狭心症、PCIは有効か?/NEJM

 抗狭心症薬による治療をほぼ受けていない、またはまったく受けていない、客観的虚血を認める安定狭心症の患者において、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)はプラセボ処置と比較して、狭心症症状スコアを有意に改善し、狭心症関連の健康状態を良好とすることが示された。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのChristopher A. Rajkumar氏らが、301例を対象に行った二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。PCIは、安定狭心症の症状軽減を目的に施行される頻度が高いが、抗狭心症薬治療を受けていない患者への有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。

ハイリスク患者のLDL-C目標達成に期待、持続型LDL-C低下siRNA製剤とは/ノバルティス

 2023年9月25日に製造販売承認を取得した国内初の持続型LDLコレステロール(LDL-C)低下siRNA製剤インクリシランナトリウム(商品名:レクビオ皮下注)が11月22日に薬価収載および発売された 。それに先立ち開催されたメディアセミナーにおいて、山下 静也氏(りんくう総合医療センター 理事長)が薬剤メカニズムや処方対象者について解説した(主催:ノバルティスファーマ)。  インクリシランナトリウムは、PCSK9蛋白をコードするmRNAを標的としたsiRNA(低分子干渉RNA)製剤である。PCSK9は、LDLの肝臓への取り込みを促進するLDL受容体を分解して血中LDLの代謝を抑制する効果があり、PCSK9阻害薬として国内ではモノクローナル抗体のエボロクマブ(製品名:レパーサ)が2016年に上市している。一方、インクリシランナトリウムは「GalNAc(N-アセチルガラクトサミン)という構造体を有することで標的組織である肝臓に選択的に取り込まれ、肝細胞内で肝臓のRNAi機構によりPCSK9蛋白の産生を抑制するというまったく異なる作用機序を持つ」と、山下氏はインクリシランナトリウムと既存のPCSK9阻害薬の主な違いについて説明した。

セマグルチド、非糖尿病の肥満患者でも心血管アウトカム改善/NEJM

 心血管疾患既往で過体重または肥満だが糖尿病既往のない患者において、セマグルチド皮下投与はプラセボと比較し、平均追跡期間39.8ヵ月における心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合エンドポイントの発生率を有意に減少した。米国・ケース・ウェスタン・リザーブ大学Cleveland Clinic Lerner College of MedicineのA Michael Lincoff氏らが、41ヵ国804施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照優越性試験「SELECT試験」の結果を報告した。GLP-1受容体作動薬のセマグルチドは、糖尿病患者において有害心血管イベントのリスクを減らすことが示されているが、糖尿病既往のない過体重または肥満患者において、心血管リスク減少が可能か否かについては明らかにされていなかった。NEJM誌オンライン版2023年11月11日号掲載の報告。

生体吸収型ステントの再挑戦やいかに(解説:野間重孝氏)

日本循環器学会と日本血管外科学会の合同ガイドライン『末梢動脈疾患ガイドライン』が、昨年(2022年)改訂された。この記事はCareNet .comでも紹介されたので、ご覧になった方も多いのではないかと思う。  冠動脈疾患以外のすべての体中の血管の疾患を末梢動脈疾患(PAD)と呼び、さらに下肢閉塞性動脈疾患をLEAD、上肢閉塞性動脈疾患をUEADに分ける。脳血管疾患はこの分類からいけばUEADということになるが、こちらは通常別途議論される。そうするとPADの中で最も多く、かつ重要な疾患がLEADということになる。

税負担が重過ぎる!どんな節税対策している?/医師1,000人アンケート

 年末調整に確定申告…。年末から春にかけては税金を意識する機会が増える。さらに、最近では定額減税や新NISAスタートなど、税金に関する話題が増加している。ケアネットでは、会員の勤務医(勤務先病床数:20床以上)1,021人を対象に、「今年行った、来年やりたい節税対策」についてアンケートを実施した(調査日:10/6~8)。  「Q1.今年(2023年)の所得について、確定申告をする予定ですか?」という設問には、9割以上の医師が「はい」と答えた。確定申告の条件である「年収2,000万円超」「年間20万円以上の副収入」にほとんどの回答者が当てはまっているようだ。

セマグルチド製剤の最適使用推進ガイドラインを公表/厚労省

 社会的に痩身目的での糖尿病治療薬の使用が散見され、本来必要な患者に治療薬が届かないといった事態が起こっている。そのような中でセマグルチド製剤のウゴービ皮下注が肥満症治療薬として承認され、2023年11月22日に薬価収載された。これらの事態を懸念し、厚生労働省は医療機関および薬局に対する周知を目的として、本剤に関する「最適使用推進ガイドライン」を11月21日に公表した。  本ガイドラインには、ウゴービ皮下注を肥満症に対して使用する際の留意事項が記載されており、その使用に際し、ガイドライン内容に留意するよう促している。

ワルファリン・DOAC、重大な副作用に「急性腎障害」追加/厚労省

経口抗凝固薬の添付文書について、2023年11月21日に厚生労働省が改訂を指示。国内で販売されている直接経口抗凝固薬(DOAC)4剤(アピキサバン、エドキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン)とワルファリンカリウムの添付文書の「副作用」に重大な副作用として急性腎障害が追記された。  経口抗凝固薬の投与後に急性腎障害が現れることがある。本剤投与後の急性腎障害の中には、血尿や治療域を超えるINRを認めるもの、腎生検により尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている。

猛暑日の増加で心血管疾患による死者が劇的に増加?

 夏に猛暑日が続くのが当たり前のようになりつつあるが、これから数十年のうちに米国では、暑熱に関連した心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死者数が劇的に増加するとの予測が、米ペンシルベニア大学医学部のSameed Khatana氏らの研究で示された。この研究の詳細は、「Circulation」に10月30日掲載された。  専門家の間では、熱波がしばしば脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を引き起こし、その発症例は特にリスク因子を持つ人で多いことが知られている。これは、Khatana氏によると、心臓や血管(心血管系)が体温調節で中心的な役割を果たしているためだという。体がオーバーヒートすると、発汗によって熱を放出するために、心臓はより激しく働いて血液を体の末梢まで行きわたらせようとするが、脆弱な人にはそれが過剰な負荷となることがある。

温泉地での集中的健康管理で身体の諸指標と睡眠の質が改善

 最近、温泉は、リゾートとしてヨーロッパなどでは健康増進の目的で利用されている。そこで、中国・重慶医科大学公衆衛生学のYu Chen氏らの研究グループは、温泉地での慢性疾患ハイリスク者の身体検査指標と睡眠の質に対する集中的健康管理の効果を検証し、その結果を報告した。International Journal of Biometeorology誌2023年10月6日に掲載。  本研究では、慢性疾患のリスクが高いボランティア114例を介入群57例、対照群57例に分けて検証。介入群には4週間(28日間)、重慶の統景温泉で定期的な日課、バランスの取れた食事、適切な運動、的確な健康教育など、包括的な健康管理介入を行った。