循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:264

抗凝固療法、ポリファーマシーによる影響は?/BMJ

 ポリファーマシー(多剤併用)による抗凝固療法への影響を調べるため、英国・ラドバウド大学ナイメーヘン医療センターのJeroen Jaspers Focks氏らは、ARISTOTLE試験の事後解析を行った。同試験は、心房細動患者を対象にアピキサバン vs.ワルファリンを検討したものである。解析の結果、被験者の4分の3が5剤以上のポリファーマシーを受けており、そうした患者では、併存疾患、薬物相互作用および死亡の有意な増大や、血栓塞栓症、出血性合併症の発症率が有意に高率であることが明らかになった。そのうえで、併用薬剤数に関係なく、アピキサバンのほうがワルファリンよりも有効性に優れることが認められ、安全性も大出血に対するベネフィットはアピキサバンのほうが大きかったが、併用薬剤数が多いほどワルファリンとの差は減少することが示されたという。BMJ誌オンライン版2016年6月15日号掲載の報告。

全粒穀物の摂取は、あらゆる死亡リスクを下げる/BMJ

 全粒穀物の摂取は、心血管疾患、がん、全死亡、呼吸器疾患・感染症・糖尿病・非心血管疾患または非がんによる死亡のリスク低下と関連していることを、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDagfinn Aune氏らが、前向き研究のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。全粒穀物の摂取量の多さと、2型糖尿病、心血管疾患および体重増加のリスク低下が関連することが示唆されていたが、慢性疾患や死亡リスクを低下させるための全粒穀物の摂取量や種類はよくわかっていなかった。著者は、「慢性疾患や早期死亡のリスクを減らすために全粒穀物を多く摂取する食事ガイドラインが推奨される」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年6月14日号掲載の報告。

リラグルチドで2型糖尿病の心血管イベントリスク低下/NEJM

 心血管イベントの発生リスクが高い2型糖尿病患者に対し、標準治療に加えてGLP-1受容体作動薬リラグルチド(商品名:ビクトーザ)を投与することで、心血管イベントリスクが有意に低下したことが報告された。米国・テキサス大学のSteven P. Marso 氏らによる9,000例超を対象とした国際多施設共同のプラセボ対照無作為化二重盲検試験「LEADER」の結果で、NEJM誌オンライン版2016年6月13日号で発表された。2型糖尿病患者で、標準治療に追加投与した場合のリラグルチドの心血管系の効果については明らかになっていなかった。

BMJは権威ある“一流”雑誌?〜大規模試験の意義を考える〜(解説:西垣 和彦 氏)-553

『ありがとう、センテンス・スプリング…』。今年前半にはやった“ゲスの極み”と化した大衆雑誌に掲載された記事であるが、これが信じられないほど売れた。この記事からは、何ら自身の生産性を上げるものでも、何ら知識欲を満たすものでもなく、単に時間を浪費させるだけのものに過ぎないことは明白であるが、現実として、とにもかくにもこの雑誌の当該号は売れたのである。

アスピリンの脳卒中早期再発予防効果(解説:内山 真一郎 氏)-552

一過性脳虚血発作や急性虚血性脳卒中に対するアスピリンの長期再発予防効果は有意ではあるものの、わずかであるが、TIAやAISは早期の再発リスクが大きいことが知られている。そこで、オックスフォード大学のRothwell教授らは、これまでに行われたアスピリンのプラセボ対照比較試験の対象となった症例の生データを用いて、TIAやAISにおけるアスピリンの早期再発予防効果を発症後の期間別にメタ解析した。また、同様な解析をアスピリンとジピリダモールの併用療法についても行った。

ESS留置後のDAPT、6ヵ月と12ヵ月の比較

 薬剤溶出ステント(DES)留置後は、ステント血栓症を防ぐため、12ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法(dual antiplatelet therapy:DAPT)が推奨されている。近年の無作為化試験では、新世代のDES留置後のDAPTの3~6ヵ月投与は12ヵ月投与と同等の成績が得られることが報告されており、また新世代DESの死亡、心筋梗塞、ステント血栓症のリスクがベアメタルステントや第1世代のDESと比べて低いことも示唆されている。しかし、新世代のエベロリムス溶出ステント留置後のDAPTの最適な投与期間について、適切に計画、実施された試験は少ない。

急性期脳出血に対する積極的降圧療法は有効か?/NEJM

 超急性期脳出血患者において、ニカルジピンによる収縮期血圧140mmHg以下への積極的降圧療法は、140~179mmHgを目標とした標準降圧療法と比較し、死亡や高度障害は減少しなかった。米国・ミネソタ大学のAdnan I. Qureshi氏らが、多施設共同無作為化非盲検比較試験ATACH-2(Antihypertensive Treatment of Acute Cerebral HemorrhageII)の結果、報告した。脳出血急性期の収縮期血圧の降圧目標については、INTERACT-2試験にて、発症後1時間以内に140mmHg未満に下げることで3ヵ月後の転帰を改善する傾向が示されたが、これまで推奨の根拠となるデータには限りがあった。NEJM誌オンライン版2016年6月8日号掲載の報告より。