循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:266

ANGPTL4、LPL、SVEP1遺伝子変異は冠動脈疾患と関連/NEJM

 アンジオポエチン様タンパク質 4をコードしているANGPTL4の機能喪失型遺伝子変異キャリアは、非キャリアと比較してトリグリセライド値が有意に低く、同変異体が冠動脈疾患の予防と関連していることを、米・マサチューセッツ総合病院のNathan O. Stitziel氏らが大規模なゲノムワイド解析を行い、明らかにした。冠動脈疾患の発症にはリポ蛋白リパーゼ(LPL)経路が重要な役割を担っており、この経路を治療により調整することで冠動脈疾患の予防につながる可能性がある。近年、冠動脈疾患リスクに影響を及ぼす低頻度コード変異体が発見され、冠動脈疾患の治療や予防のターゲットとして注目されている。NEJM誌オンライン版2016年3月2日号掲載の報告。

テロのストレスがもたらす心血管イベント増加:フランス

 2015年1月7日朝に起こった「シャルリー・エブド事件」は、3日間のパリにおけるテロ攻撃の幕開けとなった。その際、地元メディアは、攻撃の詳細な報道に、彼らのプログラムの大部分を割いた。Francesco Della Rosa氏らは、感情的なストレスが心血管関連入院の増加を引き起こすと仮定し、トゥールーズ(フランス)における2015年1月の胸痛ユニットの状況を分析した。Archives of Cardiovascular Diseases Supplements誌2016年1月号の掲載報告。

冠動脈疾患リスク、ANGPTL4阻害遺伝子キャリアでは低い/NEJM

 ヒト遺伝子研究の解析から、アンジオポエチン様4(ANGPTL4)不活性変異体は良好な脂質プロファイルと関連し、同キャリアは非キャリアに比べ、冠動脈疾患リスクが低いことが判明した。米国・Regeneron Genetics CenterのFrederick E. Dewey氏らが、4万2,930人のデータを解析した結果で、NEJM誌オンライン版2016年3月2日号で発表した。また、マウスとサルを対象としたAngptl4モノクローナル抗体の影響を調べた試験でも、同様の効果が認められたという。

非STEMIに多段階PCIは必要か?:SMILE試験

 冠動脈完全血行再建術の非ST上昇心筋梗塞患者(以下、NSTEMI)における役割はいまだ明らかにはなっていない。この研究では、多枝冠動脈病変を有するNSTEMI患者に対する、単段階経皮的冠動脈インターベンション(以下、1S-PCI)と多段階の経皮的冠動脈インターベンション(以下、MS-PCI)という、2種類の冠動脈完全血行再建戦略の心血管・脳血管主要有害イベントの長期的結果を比較した。

血清尿酸値と心血管疾患死亡率の関係はJ字型

 アジア人における血清尿酸値と心血管疾患との関係を調査するために、大阪大学のWen Zhang氏らはEvidence for Cardiovascular Prevention from Observational Cohorts in Japan(EPOCH-JAPAN研究)のデータを用いて、日本における大規模なプール解析を実施した。その結果、血清尿酸値と心血管疾患死亡率との間にJあるいはU字型の関係が示唆された。また、日本人男女とも、血清尿酸値の最高五分位で心血管疾患の死亡率増加と関連していた。Journal of atherosclerosis and thrombosis誌オンライン版2016年2月18日号に掲載。

スタチンは心臓手術後の急性腎障害を予防するか/JAMA

 スタチン未治療、既治療を問わず、心臓手術を受ける患者への周術期の高用量アトルバスタチン(商品名:リピトールほか)投与は、術後の急性腎障害(AKI)リスクを低減しないことが判明した。米国・ヴァンダービルト大学のFrederic T. Billings IV氏らが、二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果、明らかにした。全体では有意差はないものの、投与群でリスクの増大が認められ、スタチン未治療患者では開始により有意なリスク増大が示された。スタチンについては、AKI発症機序に影響を及ぼす可能性が示されており、最近のいくつかの観察研究の解析報告で、スタチン既治療患者で心臓手術後のAKIリスク低減が報告されていた。ただし、それらの解析は検証が十分なものではなかった。JAMA誌2016年3月1日号掲載の報告より。

冠動脈手術前のアスピリンは中止すべきか?/NEJM

 冠動脈手術前のアスピリン術前投与は、死亡および血栓性合併症のリスクを低下させることはなく、出血リスクも増加しない。オーストラリア・アルフレッド病院のPaul S. Myles氏らが、冠動脈手術を受ける高リスク患者においてアスピリンが死亡率や血栓性合併症の発症率を減らすかどうかを評価する目的で行ったATACAS試験の結果、明らかとなった。ほとんどの冠動脈疾患患者は、心筋梗塞・脳卒中・死亡の1次または2次予防のためにアスピリンを投与されている。アスピリンは、出血リスクを高めるが、冠動脈手術前に中止すべきかどうかは不明であった。NEJM誌オンライン版2016年2月25日号掲載の報告。

試みない後悔よりも、試みる勇気を持て、高齢者へのPCI(解説:中川 義久 氏)-490

「後悔」とは、「ああすれば良かった、こうすれば良かった」と後から物事を悔いることで、皆ができれば避けたいと思っている感情の1つである。恋愛でも、仕事でも、対人関係でもそういう機会は多い。「あの時、勇気を出して告白すれば彼女の気持ちは変わったんじゃないか?」など、ギクシャクしたりした後で後悔の念は強まるものだ。“後悔先に立たず”というが、後悔しても取り戻せないとわかっていても執着心が勝ってしまうのが人間である。これはPCI施行医においても同様である。

脳卒中後の降圧目標、130mmHg vs.140mmHg/BMJ

 脳卒中または一過性脳虚血発作歴のある患者に対し降圧治療を行う際、目標収縮期血圧値を140mmHgに設定しても、130mmHgに設定した場合と比べて、12ヵ月後の両群間の降圧差は3mmHgとわずかで、臨床的重要性は同等であることが示された。英国・ケンブリッジ大学のJonathan Mant氏らが、529例を対象に行った非盲検無作為化試験「PAST-BP」の結果、明らかにした。プライマリケアにおいて、脳卒中/一過性脳虚血発作後患者の異なる目標血圧値に関する試験は、これが初めてという。BMJ誌オンライン版2016年2月24日号掲載の報告。