全粒穀物の摂取は、あらゆる死亡リスクを下げる/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/06/24

 

 全粒穀物の摂取は、心血管疾患、がん、全死亡、呼吸器疾患・感染症・糖尿病・非心血管疾患または非がんによる死亡のリスク低下と関連していることを、英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDagfinn Aune氏らが、前向き研究のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。全粒穀物の摂取量の多さと、2型糖尿病、心血管疾患および体重増加のリスク低下が関連することが示唆されていたが、慢性疾患や死亡リスクを低下させるための全粒穀物の摂取量や種類はよくわかっていなかった。著者は、「慢性疾患や早期死亡のリスクを減らすために全粒穀物を多く摂取する食事ガイドラインが推奨される」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年6月14日号掲載の報告。

穀物摂取と各種疾患の発症・死亡リスクとの関連を調査した45件の研究をメタ解析
 研究グループは、PubMedおよびEmbaseを用い、2016年4月3日までに発表された論文を検索し、全粒穀物または他の穀物の摂取量と心血管・がん・全死因または死因別死亡リスクとの関連(補正相対リスク)を報告した前向き研究45件(64論文)を特定しデータを分析した。統計解析にはランダム効果モデルを用い、相対リスクと95%信頼区間(CI)を算出した。

 全粒穀物の摂取量は、90gを3食分(1食分は全粒パン1枚、または全粒シリアル1ボウル、または全粒ピタパン1.5枚など)とした。

全粒穀物90g/日摂取で、心血管疾患の発症リスクが22%、全死亡リスクが17%低下
 全粒穀物の摂取量が1日90g増えた場合の発症の相対リスクは、冠動脈疾患が0.81(95%CI:0.75~0.87、I2=9%、7件)、脳卒中が0.88(0.75~1.03、56%、6件)、心血管疾患が0.78(0.73~0.85、40%、10件)であった。また、死亡の相対リスクは、全てのがん0.85(0.80~0.91、37%、6件)、全死亡0.83(0.77~0.90、83%、11件)、呼吸器疾患0.78(0.70~0.87、0%、4件)、糖尿病0.49(0.23~1.05、85%、4件)、感染症0.74(0.56~0.96、0%、3件)、神経系疾患1.15(0.66~2.02、79%、2件)、非心血管疾患または非がんによる死亡0.78(0.75~0.82、0%、5件)であった。

 全粒穀物の摂取量が210~225g/日(7~7.5食/日)までは、ほとんどの評価項目でリスクの低下が観察された。また、全粒パン、全粒シリアル、ブラン添加など特定の種類の全粒穀物、およびパン全体ならびに朝食用シリアル全体で、心血管疾患や全死亡のリスク低下との関連が認められたが、精製穀物、白米、米全体あるいは穀物全体では関連がほとんどみられなかった。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 島田 俊夫( しまだ としお ) 氏

地方独立行政法人静岡県立病院機構 静岡県立総合病院 リサーチサポートセンター センター長

J-CLEAR評議員

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