急性冠症候群、経橈骨動脈アクセスの安全性/Lancet 急性冠症候群(ACS)患者に対する侵襲的処置では、経橈骨動脈アクセスが、経大腿動脈アクセスに比べ臨床的有害事象の抑制効果が優れることが、オランダ・エラスムス医療センターのMarco Valgimigli氏らが行ったMATRIX Access試験で確認された。ACS患者に対する抗血栓療法を併用した早期の侵襲的処置の重要な目標は、出血イベントを抑制しつつ効果を維持することである。侵襲的処置で頻度の高い出血部位は心臓カテーテル検査時の大腿動脈穿刺部であり、経橈骨動脈アクセスは技術的な困難を伴うが止血の予測がしやすいとされる。2つのアクセス法の有害事象を比較した試験では、相反する結果が提示されているという。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告。
PARTNER臨床試験におけるTAVRと内科治療の5年の治療成績比較(解説:許 俊鋭 氏)-335 外科的大動脈弁置換手術(AVR)非適応の大動脈狭窄(AS)症例に対する無作為化前向き臨床試験(PARTNER)における、TAVRの5年の成績を検討した。
BMS後のDAPT延長、虚血性イベントを抑制せず/JAMA 米国・クリスト病院心血管センターのDean J. Kereiakes氏らはDAPT無作為化試験(Dual Antiplatelet Therapy Randomized Clinical Trial)の結果、ベアメタルステント(BMS)留置後12ヵ月間のアスピリン+チエノピリジン系薬の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の忍容性を認めた患者について、さらに同療法を18ヵ月間延長しても、ステント塞栓症、主要有害心・脳血管イベント(MACCE)、中等度~重度の出血の発生に関して、プラセボと比較して統計的に有意な差はみられなかったことを報告した。ただし今回の結果について著者は、BMSサブセットの検出力の不足を指摘し、さらなる検討が必要だとまとめている。JAMA誌2015年3月17日号掲載の報告より。
ワルファリン出血の急速止血に新たな選択肢?(解説:後藤 信哉 氏)-333 臨床家は50年にわたり、ワルファリンを使用してきた。新規の経口抗トロンビン薬、抗Xa薬が開発され、使用可能になったとはいっても、真の意味での血栓イベントリスクが高くない非弁膜症性心房細動など、薬剤の必要性が必ずしも高くない症例なので、これらの症例で出血が怖ければ薬剤を使用しないとの選択があった。ワルファリンを使用している症例は、人工弁、血栓性素因など抗凝固薬の必要性が著しく高い症例である。これらの症例でも、ワルファリンコントロールの良否にかかわらず、重篤な出血イベントが起こる場合がある。消化管出血などであれば、開腹、長時間の圧迫止血など、薬剤以外の手段がまったくないわけではない。頭蓋内出血となると、とても困る。時間と共に症状が増悪している頭蓋内出血では、頭蓋内圧増加が止血に寄与しても、ワルファリンの効果が持続している状態では止血は期待し難い。
PARTNER臨床試験におけるTAVRと外科的AVR(SAVR)の5年の治療成績比較(解説:許 俊鋭 氏)-332 外科手術が高リスクであるAS症例に対するRCT試験(PARTNER trial)においてTAVRと外科的AVR(SAVR)の1年、2年、3年の死亡率は同等であったが、今回、5年の成績を検討した。
冠動脈疾患の検出、CT血管造影 vs.機能的検査/NEJM 冠動脈疾患(CAD)が疑われる症状を有する患者への非侵襲的検査について、CT血管造影(CTA)と機能的検査(運動負荷心電図、運動/薬剤負荷心筋シンチ、負荷心エコー)を比較した結果、追跡期間中央値2年間の患者の臨床的アウトカムに違いはみられないことが示された。米国・デューク大学のPamela S. Douglas氏らが無作為化試験の結果、報告した。CADの示唆的な症状は多くの患者でみられ、診断検査が行われる頻度は高いが、治療ガイドのための無作為化試験のデータは限定的であった。NEJM誌オンライン版2015年3月14日号掲載の報告より。
降圧は「The faster the better(速やかなほど、よし)」へ(解説:桑島 巌 氏)-331 これまで降圧速度に関しては、急激な降圧が臓器虚血を誘発する可能性があるとの考え方から、概念的に「The slower the better(ゆっくりなほど、よし)」というコンセプトを持つ専門家が多かった。しかし、この考え方を支持する科学的根拠はほとんどなかったのである。
エナラプリル+葉酸、脳卒中を有意に低下/JAMA 降圧薬エナラプリル(商品名:レニベースほか)単独よりも、葉酸を併用したほうが、高血圧患者の脳卒中初発が有意に低下したことが報告された。中国・北京大学第一病院のYong Huo氏らが、同国高血圧患者で脳卒中または心筋梗塞の既往歴がない2万702例を対象に行った無作為化二重盲検試験CSPPTの結果、報告した。これまで、脳卒中1次予防に関する葉酸の効果については、データが限定的および一貫性がないため不明であった。JAMA誌オンライン版2015年3月15日号掲載の報告より。
ステント留置後DAPTの至適期間は?/Lancet 薬剤溶出ステント留置後1年超の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、心筋梗塞およびステント塞栓症のリスクは低いが、死亡リスクは増大することが明らかにされた。同群の死亡増大は、心臓死の減少分よりも非心血管死の増大分が大きかったためであった。イタリア・ボローニャ大学のTullio Palmerini氏らがネットワークメタ解析の結果、報告した。直近の試験報告でも、ステント留置後DAPTの至適期間は不明なままであった。Lancet誌オンライン版2015年3月13日号掲載の報告より。
PMS RegistryにおけるTAVRの1年成績(解説:許 俊鋭 氏)-330 RCTの結果とreal-worldの結果では、新規デバイス治療において患者対象も治療成績も異なる可能性がある。米国でのTAVRの30日生存と1年生存成績を最新のものに更新する目的で、STS/ACC Transcatheter Valve Therapies RegistryとCMS診療報酬請求データをリンクさせ、2011年9月~2013年6月までの米国299病院、1万2,182症例を1年間経過観察した。