BMS後のDAPT延長、虚血性イベントを抑制せず/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2015/04/06

 

 米国・クリスト病院心血管センターのDean J. Kereiakes氏らはDAPT無作為化試験(Dual Antiplatelet Therapy Randomized Clinical Trial)の結果、ベアメタルステント(BMS)留置後12ヵ月間のアスピリン+チエノピリジン系薬の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の忍容性を認めた患者について、さらに同療法を18ヵ月間延長しても、ステント塞栓症、主要有害心・脳血管イベント(MACCE)、中等度~重度の出血の発生に関して、プラセボと比較して統計的に有意な差はみられなかったことを報告した。ただし今回の結果について著者は、BMSサブセットの検出力の不足を指摘し、さらなる検討が必要だとまとめている。JAMA誌2015年3月17日号掲載の報告より。

BMS後のDAPT至適期間について、12ヵ月vs. 30ヵ月を検討
 薬剤溶出ステント(DES)はBMSと比較して再狭窄を抑制するが、ステント塞栓症や有害心血管イベントの相対的なリスクについては明らかになっていない。また、DES後1年超のDAPTは虚血性イベントを抑制するが、虚血性イベントリスクはBMS後でより低いことが認められている。しかしBMS後のDAPTの至適期間については明らかになっていない。

 こうした背景を踏まえて、研究グループは次の2点を比較検討した。(1)BMS留置後アスピリン+チエノピリジン系薬投与の30ヵ月vs. 12ヵ月の、ステント塞栓症およびMACCE(死亡、心筋梗塞または脳卒中の複合)の発生率を比較検討する、(2)事前規定の二次解析としてDESまたはBMS留置治療群に無作為に割り付けられた患者を統合したコホートで、治療期間の影響について比較検討する。

 試験は国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照にて、2009年8月に開始された。最終フォローアップは2014年5月。試験は、ステント留置後、出血または虚血性イベントを認めず12ヵ月間のDAPT治療を完了した患者において、30ヵ月時点まで延長してチエノピリジン系薬vs. プラセボの投与を受け比較検討するようデザインされた。

 アスピリン治療を受けていた無作為化患者(BMS、DES両留置患者を含む)は1万1,648例であり、そのうち延長期間の12~30ヵ月にチエノピリジン系薬またはプラセボを投与された患者は、BMS群1,687例、DES群9,961例であった。

 主要評価項目は、ステント塞栓症、MACCE、中等度~重度の出血だった。

延長によるステント塞栓症、MACCE、中等度~重度出血に有意差なし
 結果、BMS群1,687例(チエノピリジン系薬延長群842例、プラセボ群845例)において、ステント塞栓症の発生率は、チエノピリジン系薬延長群0.5%(4例)、プラセボ群1.11%(9例)で有意な差はなく(ハザード比[HR]:0.49、95%信頼区間[CI]:0.15~1.64、p=0.24)、MACCEの発生(4.04%[33例] vs. 4.69%[38例]、HR:0.92、95%CI:0.57~1.47、p=0.72)、また中等度~重度出血の発生(2.03%[16例] vs. 0.90%[7例]、p=0.07)についても有意な差はみられなかった。

 無作為化された全患者1万1,648例でみると、ステント塞栓症の発生率は、チエノピリジン系薬延長群0.41%(23例)vs. プラセボ群1.32%(74例)(HR:0.31、95%CI:0.19~0.50、p<0.001)、MACCE発生率は同4.29%(244例)vs. 5.74%(323例)(同:0.73、0.62~0.87、p<0.001)と、いずれもチエノピリジン系薬延長群で有意な抑制がみられた。一方、中等度~重度出血の発生率は2.45%対(135例)vs. 1.47%(80例)(p<0.001)で、チエノピリジン系薬延長群の有意な増大がみられている。