循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:319

植込み型補助人工心臓と血栓症/NEJM

 米国・クリーブランドクリニックのRandall C. Starling氏らは、著者の施設を含めた3施設で行った調査の結果、植込み型補助人工心臓「HeartMate II」について、デバイスに関連したポンプ血栓症の発生が増加しており、病的状態や死亡と大きく関連していることが明らかになったと報告した。HeartMate IIの重要試験および市販後臨床試験の結果では、血栓症の発生は2~4%と報告されているが、著者の施設の質的レビューで、ポンプ血栓症の発生が予想外に突然、増大していることが観察され本検討を行ったという。NEJM誌オンライン版2013年11月27日号の掲載報告より。

COPD患者へのβ遮断薬投与:原則禁忌だが、心筋梗塞後の予後は良好/BMJ

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者へのβ遮断薬治療は、気道けいれんを誘発する可能性があるため原則禁忌とされているが、心筋梗塞後の生存率を有意に増大することが、英国住民ベースのコホート研究の結果、明らかにされた。死亡ハザード比は、心筋梗塞発症前から服用していた患者で0.59、発症入院時に服用を開始した患者では0.50と、いずれの時期に開始した場合でも生存率の増加と関連していた。β遮断薬は心筋梗塞後の死亡および再発リスクを低下し、COPD患者にも有益であるとのエビデンスは積み上がってきているが、同患者への使用は制限され続けている。今回の結果を踏まえて著者は「処方されないことが同患者の心筋梗塞後の死亡を増大している可能性があり、われわれの知見は、心筋梗塞後のCOPD患者にβ遮断薬がより広く使用されなければならないことを示唆するものであった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2013年11月22日号掲載の報告より。

CORAL研究が動脈硬化性腎動脈狭窄症の診療にもたらすもの(コメンテーター:冨山 博史 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(163)より-

 CORAL研究は、重症動脈硬化性腎動脈狭窄(血管造影で80%以上狭窄あるいは60~80%未満狭窄で圧格差20mmHg以上と定義)で、高血圧(2剤以上の降圧薬服用だが収縮期血圧[SBP]155mmHg以上と定義)あるいは慢性腎臓病(eGFR 60mL/分/1.73m2未満と定義)を有する症例に対する腎動脈形成術・ステント留置術(renal revasculalization stenting: RRVS)の効果を検討した多施設共同前向き研究である。

利尿薬に低用量ドパミンを上乗せするメリットは?:腎機能障害を有する急性心不全患者/JAMA

 急性心不全で腎機能障害を有する患者に対し、利尿療法に低用量ドパミン(商品名:イノバンほか)または低用量のBNP製剤ネシリチド(国内未承認)のいずれの追加療法を行っても、利尿療法単独の場合と比べて、うっ血除去の強化および腎機能改善への有意な効果は示されなかったことが報告された。米国・メイヨークリニックのHorng H. Chen氏らによる大規模な多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験「ROSE」からの報告で、先行研究の小規模試験では、いずれもアウトカム改善の可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

太り過ぎのリスクは、血圧、脂質、血糖のコントロールによってかなり解消できる/Lancet

 高BMIにより冠動脈心疾患や脳卒中のリスクが増大した集団では、血圧、コレステロール、血糖を低下させることで、リスクの増分が大幅に減少することが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のGoodarz Danaei氏らGlobal Burden of Metabolic Risk Factors for Chronic Diseases Collaboration(BMI Mediated Effects)の調査で示された。この30年間で、世界的にBMIが上昇し糖尿病罹患者数が増加しているのに対し、全体的な平均血圧やコレステロールは低下または横ばいの状況だという。これら3つのメタボリック・リスク因子を改善することで、高BMIによる有害な作用をどの程度軽減できるかは、重要な臨床的かつ公衆衛生学的な課題であった。Lancet誌オンライン版2013年11月22日号掲載の報告。

人工股関節と膝関節置換術、肺塞栓症発生率はどちらが高いか?

 これまで、米国における、待機的初回人工股関節/膝関節置換術における入院中の肺塞栓症発生率は不明であった。以前の研究ではがん、外傷または再置換術の患者が含まれていたためである。今回、米国・メリーランド大学メディカルセンターのUsman Zahir氏らが行った後ろ向きコホート研究の結果、膝関節置換術は股関節置換術より入院中の肺塞栓症の発生率および発生リスクが高いことが明らかとなった。

虚血性僧帽弁逆流症、僧帽弁形成術vs.置換術のアウトカムは同等/NEJM

 虚血性僧帽弁逆流症に対し、僧帽弁形成術と置換術では、12ヵ月の左室収縮終末期容積係数(LVESVI)は同等であることが示された。死亡率も有意差はなかったが、中等度~重度の僧帽弁逆流症の再発率については、形成術群が置換術群より有意に高率だった。米国・ペンシルベニア大学のMichael A. Acker氏らが、251例の患者について行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。虚血性僧帽弁逆流症は、死亡リスクが高く、ガイドラインでは手術が推奨されているが、形成術か置換術かを支持するエビデンスは限定的であった。NEJM誌オンライン版2013年11月18日号掲載の報告より。

TAVR後の院内死亡率5.5%、脳卒中2.0%/JAMA

 経カテーテル大動脈弁置換術(Transcatheter aortic valve replacement:TAVR)を受けた米国患者のデバイス植込み成功率は92%であり、全院内死亡率は5.5%、脳卒中の発生は2.0%であったことなどが、Edwards Sapien XTデバイスの市販後調査報告として発表された。TAVRは2011年に米国食品医薬品局(FDA)によって、重症の症候性大動脈弁狭窄症で手術不能の患者に対する治療法として承認され、2012年には高リスクだが手術可能な症例にも適応となり施術が行われている。JAMA誌2013年11月20日号掲載の報告より。

遺伝子型に基づく初期投与量決定の試み(ワルファリン以外)/NEJM

 抗凝固療法の遺伝子ガイド投薬アルゴリズムの有効性と安全性に関して、アセノクマロール(国内未承認)、フェンプロクモン(同)について検討した無作為化試験の結果、治療開始後12週間の国際標準比(INR)治療域の時間割合は改善されなかったことが明らかにされた。オランダ・ユトレヒト大学のTalitha I. Verhoef氏らが報告した。抗凝固療法ではワルファリンの使用頻度が最も高いが、国によってはアセノクマロールまたはフェンプロクモンが、心房細動患者の脳卒中予防や静脈血栓塞栓症の治療または予防に用いられている。また観察研究において、遺伝子ガイド投薬が両剤投与の有効性および安全性を高める可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2013年11月19日号掲載の報告より。

われわれはOPIMIZE試験の結果を日本の実臨床にオプティマイズできるか?(コメンテーター:中川 義久 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(161)より-

 2013年10月末に米サンフランシスコで開催されたTCTで、OPIMIZE試験の結果が発表された。さらにJAMA誌にも結果が掲載された。このOPIMIZE試験は、ゾタロリムス溶出ステント(ZES)留置術後患者3,119例を対象として、留置後の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の至適期間を検討することを目的とした臨床研究である。