退職後には心疾患のリスクが低下する――35カ国の縦断研究
退職後には心疾患のリスクが低下することが、世界35カ国で行われた縦断研究のデータを統合した解析の結果、明らかになった。京都大学大学院医学研究科社会疫学分野の佐藤豪竜氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Epidemiology」に5月8日掲載された。著者らは、「退職年齢の引き上げで、新たな医療コストが発生する可能性もある」と述べている。
現在、多くの国が人口の高齢化を背景に、退職年齢と年金支給開始年齢の引き上げを検討・実施している。しかし、退職による疾患リスクへの影響は十分検討されていない。仮に退職によって疾患リスクが変わるのであれば、国民医療費にも影響が生じることになる。これを背景として佐藤氏らは、退職前後での健康状態の変化を検討可能な世界各国の縦断研究のデータを用いて、特に心疾患とそのリスク因子に焦点を当てた解析を行った。