高血圧に対するアルドステロン合成酵素阻害薬Lorundrostatの効果(解説:石川讓治氏)
アルドステロンが高血圧性臓器障害に影響を与えていると考えられており、いくつかのミネラルコルチコイド受容体拮抗薬が、現在、臨床で使用可能である。lorundrostatはアルドステロン合成阻害をする降圧薬として開発されている。本研究において、2剤以上の降圧薬を用いても目標血圧レベルに達していない高血圧患者に対して、アルドステロン合成阻害薬lorundrostatを投与し、その投与量、投与回数による降圧度および安全性を比較している。研究1では血漿レニン活性が低い患者、研究2では高い患者を選択して投与し、いずれの投与方法においてもlorundrostatはプラセボと比較して有意に血圧を低下させ、高カリウム血症は6例に認められたのみであった。ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は治療抵抗性高血圧に使用されることが多く、治療抵抗性高血圧は、サイアザイド系利尿薬を含む3剤以上の降圧薬でも目標血圧に達しない高血圧と定義されている。本研究の対象には、3剤以上の降圧薬の内服者も含まれているが、サイアザイド系利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)もしくはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の内服者の割合に各群間でばらつきが認められた。今後は、lorundrostatにおける(1)治療抵抗性高血圧に対する効果、(2)ACEIやARBに対する相加効果、(3)サイアザイド系利尿薬との降圧効果の比較、(4)ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬との比較など、今後、われわれが実臨床で使用していくためのデータの積み重ねが必要であると思われた。