循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:61

true worldにおけるAMI治療の実態を考える(解説:野間重孝氏)

急性心筋梗塞(AMI)の治療成績・予後の決定因子としては、発生から冠動脈再開通までの時間(total ischemic time:TIT)のほか、年齢、基礎疾患や合併症、血管閉塞部位と虚血領域の大きさ、血行動態破綻の有無などが挙げられる。この中でもっぱら時間経過が改善項目として議論されるのは、他の因子は医療行為によっては動かすことができず、時間経過のみが可変因子であるからである。

持続性AF、PVI+左房後壁乖離術で不整脈の再発率は改善せず/JAMA

 持続性心房細動(AF)患者に対する初回カテーテルアブレーションでは、肺静脈隔離術(PVI)に左房後壁隔離術(PWI)を追加しても、PVI単独と比較して12ヵ月の時点での心房性不整脈の再発回避の割合は改善されず、複数回の手技後の再発回避にも差はないことが、オーストラリア・アルフレッド病院のPeter M. Kistler氏らが実施した「CAPLA試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2023年1月10日号に掲載された。  CAPLA試験は、3ヵ国(オーストラリア、カナダ、英国)の11施設が参加した医師主導の無作為化臨床試験であり、2018年7月~2021年3月の期間に患者の登録が行われた(メルボルン大学Baker Department of Cardiometabolic Healthの助成を受けた)。  年齢18歳以上、症候性の持続性AFで、初回カテーテルアブレーションを受ける患者が、PVI+PWIを行う群またはPVI単独群に無作為に割り付けられた。PVIでは、左右の肺静脈の周囲を広範に焼灼し、PVI+PWIでは、これに天蓋部(roof ablation line)と底部(floor ablation line)の焼灼が追加された。

中国・高血圧の診断と治療、農村と都市での乖離が存続/BMJ

 中国では、高血圧の有病率は2010年以降にわずかに減少しているが、治療およびコントロールの割合は依然として低い状態にとどまり、農村部と都市部の乖離も存続していることが、中国・疾病管理予防センターのMei Zhang氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年1月11日号で報告された。  研究グループは、中国における高血圧の有病率と疾病管理の最近の傾向を評価する目的で、6回の全国調査データの解析を行った(中国国家重点研究開発計画の助成を受けた)。  解析には、China Chronic Disease and Risk Factor Surveillance(CCDRFS)の2004~18年のデータが用いられた。対象は、成人(年齢18~69歳)の地域住民64万2,523人で、6回の調査人数の内訳は2004年が3万501人、2007年が4万7,353人、2010年が9万491人、2013年が15万6,836人、2015年が16万2,293人、2018年が15万5,049人であった。  高血圧は、血圧≧140/90mmHgまたは降圧薬の服用と定義された。

重症高血圧では1日2杯以上のコーヒーで心臓死のリスク増?

 血圧が160/100mmHg以上の重症高血圧の人は、1日に飲むコーヒーの量に気を付けた方が良いようだ。1日に2杯以上コーヒーを飲む重症高血圧の人では、心血管疾患(CVD)による死亡リスクがコーヒーを飲まない人の2倍以上である可能性が、新たな観察研究で示された。米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)疫学・生物統計学部の寺本将行氏らによる研究で、「Journal of the American Heart Association」に12月21日掲載された。  この研究では、日本人のがんリスクに関する大規模な多施設共同コホート研究であるJapan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk(JACC)のデータを用いて、重症の高血圧を持つ人でのコーヒーまたは緑茶の摂取とCVDによる死亡リスクとの関連が検討された。対象とされた1万8,609人(男性6,574人、女性1万2,035人)は、1988〜1990年の間にJACCに登録され(年齢は40〜79歳)、2009年まで追跡されていた。対象者は、正常血圧群(130/85mmHg未満)、正常高値血圧群(130〜139/85〜89mmHg)、Ⅰ度高血圧群(140〜159/90〜99mmHg)、Ⅱ度高血圧群(160〜179/100〜109mmHg)とⅢ度高血圧群(180/110mmHg以上)を合わせたもの(重症高血圧群)の4群に分類された。

コロナワクチン後の心筋炎、高濃度の遊離スパイクタンパク検出

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のmRNAワクチン(以下、新型コロナワクチン)接種後、まれに心筋炎を発症することが報告されているが、そのメカニズムは解明されていない。そこで、マサチューセッツ総合病院のLael M. Yonker氏らの研究グループは、青年および若年成人の新型コロナワクチン接種後の血液を分析し、心筋炎発症例の血中では、切断を受けていない全長のスパイクタンパク質が、ワクチン接種により産生された抗スパイク抗体に結合していない“遊離”の状態で、高濃度に存在していたことを発見した。Circulation誌オンライン版1月4日掲載の報告。

心筋梗塞、心不全、心臓移植を経験し、新たな人生観に到達した男性―AHAニュース

 米国のカリフォルニア州で教育委員会の会長と役人の首席補佐官という二つの任務を担っていた、当時46歳の男性、Eddie Garciaさんは、それらの重責のために疲労がたまっているようだった。ある日、息切れと首や胸の痛みを感じて、「パニック発作だろうか?」と思いながら受診したところ、そのまま緊急治療室へ搬送された。診断は心筋梗塞で、冠動脈の1本が100%閉塞していた。  ステントが留置されたが10日もすると疲労感と息切れを生じ、今度はうっ血性心不全と診断された。その治療のための入院中に、彼の心臓は停止した。緊急処置により心拍は再開したが、心機能が低下して肺に水がたまり、急性呼吸窮迫症候群によって諸臓器の酸素不足が生じた。それは致命的ともなり得る状態であり、肺機能の回復まで一時的に麻酔管理が行われた。彼の家族や友人たちが待合室で徹夜し、Garciaさんが持ち直すことを祈った。その数は多い時には25人にも達した。「意識はなかったが、待合室から壁を通り抜けて私のいるICUにエネルギーが届いたように思う」と、彼は後に語っている。

静脈血栓の抗凝固療法はいつまで必要?(解説:後藤信哉氏)

以前よりだいぶ増えてきたとはいえ、日本の静脈血栓症の発症リスクは欧米ほど高くない。症状はあるけど画像診断にて末梢側に血栓を認めた症例に抗凝固薬をどのくらい使用したらよいか? 実臨床では迷うケースが多い。静脈血栓症の症候は下肢痛、浮腫なのであるが、重症度にはばらつきが大きい。神経質な症例ではわずかの浮腫も気になるし、大まかな人もいる。症状があって、静脈血栓を見つけたら抗凝固薬を始めるだろう。

日本で承認されていなくても科学論文には読む価値がある(解説:後藤信哉氏)

心筋梗塞の症例に対してprimary PCIが日本では広く施行されている。多分、日本の臨床家は、抗血小板薬2剤併用療法にて血栓イベントは十分にコントロールされていると感じているだろう。しかし、心筋梗塞後とのこともあり、本試験では日本にて選択可能な抗凝固治療であるヘパリン群では全死因死亡・BARC分類3~5の重篤な出血イベントの発生は30日以内にて4.39%であった。bivalirudinは日本では承認されていない選択的なトロンビン阻害薬である。

コロナ5類変更に賛成は何割?現在診ていない医師は診られるか

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染症法上の位置付けについて、季節性インフルエンザと同様の「5類」に引き下げることを政府が検討を始め、議論が活性化している。ウイルスの性質や医療機関の負担、医療費の公費負担など、さまざまな意見がある中で、医師はどのように考えているのだろうか? CareNet.comの会員医師のうち、内科系を中心として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の診療に携わることが想定される診療科の医師1,000人を対象に、アンケートを実施した(2023年1月11日実施)。  COVID-19患者あるいは発熱患者の診療状況について、「COVID-19患者の診療を行っている」が63.8%と最も多く、「COVID-19疑いの発熱患者の診療を行っている」が18.8%、「いずれも診療していない」が17.4%と続いた。また、「5類となり、COVID-19患者の受診・入院が一般医療機関でも可能となった場合、実際に診療が可能か」質問したところ、「現在診療している」が63.7%、「診療できる」が18.7%、「診療できない」が17.6%であった。

意識していますか「毎月17日は減塩の日」

 ノバルティスファーマと大塚製薬は、「減塩の日」の啓発にちなみ高血圧症をテーマとしたメディアセミナーを共催した。  高血圧症は、血圧値が正常より高い状態が慢性的に継続している病態であり、わが国には約4,300万人の患者が推定されている。特に高齢者の有病率が高く、今後も患者数は増加することが予測されている。また、高血圧状態が続くことで、脳心血管疾患や慢性腎臓病などの罹患および死亡リスクが高まることが知られており、血圧を適切なレベルにコントロールすることが重要となる。