循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:58

スタチン不耐患者、bempedoic acidがCVリスクに有効か/NEJM

 スタチンの服用が困難なスタチン不耐(statin-intolerant)患者において、ATPクエン酸リアーゼ阻害薬ベンペド酸(bempedoic acid)はプラセボと比較し、LDLコレステロール値を低下し、主要有害心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、冠動脈血行再建)のリスクを低下することが示された。一方でベンペド酸投与により、脳卒中、心血管死、全死因死亡のそれぞれのリスクは低減せず、また痛風や胆石症発生リスクはやや増大した。米国・クリーブランドクリニックのSteven E. Nissen氏らによる二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌オンライン版2023年3月4日号で発表された。ベンペド酸は、LDL値を低下し筋肉関連の有害事象の発生リスクは低いが、心血管アウトカムへの影響は明らかになっていなかった。

冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン、11年ぶりに改訂/日本循環器学会

 『2023年改訂版 冠動脈疾患の一次予防に関する診療ガイドライン』が第87回日本循環器学会年次集会の開催に合わせ発刊され、委員会セッション(ガイドライン部会)において、藤吉 朗氏(和歌山県立医科大学医学部衛生学講座 教授)が各章の改訂点や課題について発表した。  本ガイドライン(以下、本GL)は日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本動脈硬化学会をはじめとする全11学会の協力のもと、これまでの『虚血性心疾患の一次予防GL(2012年改訂版)』を引き継ぐ形で作成された。

動脈硬化は睡眠が不規則な人ほど発症する可能性が高かった

 睡眠不足や不規則な睡眠というのは心血管疾患や2型糖尿病などの発症に関連しているが、アテローム性動脈硬化との関連性についてはあまり知られていない。そこで、米国・ヴァンダービルト大学のKelsie M. Full氏らは睡眠時間や就寝タイミングとアテローム性動脈硬化との関連性を調査し、45歳以上の場合に睡眠不足や不規則な睡眠であるとアテローム性動脈硬化の発症リスクを高めることを示唆した。Journal of the American Heart Association誌2023年2月21日号掲載の報告。

治療抵抗性高血圧、超音波腎デナベーションが有用性示す/JAMA

 治療抵抗性高血圧に対する超音波腎デナベーションは、シャムとの比較において降圧薬なしで2ヵ月後の日中自由行動下収縮期血圧(SBP)を低下させ、重大な有害事象は認められなかったことが、フランス・Universite Paris CiteのMichel Azizi氏らが実施した多施設共同無作為化シャム対照臨床試験「RADIANCE II試験」の結果、示された。超音波腎デナベーションは、2件のシャム対照試験(RADIANCE-HTN SOLOおよびTRIO試験)において、軽度~中等度の高血圧および治療抵抗性高血圧患者の血圧を低下させることが認められていた。JAMA誌2023年2月28日号掲載の報告。

看護師からの電話が心不全患者の延命につながる?

 高血圧や腎不全などの併存疾患による負荷の高い心不全患者の退院後の生存率が、看護師からの電話により改善する可能性が新たな研究で示された。研究論文の上席著者である、米シダーズ・サイナイ医療センター、シュミット心臓研究所のIlan Kedan氏は、「心不全患者を遠隔で管理する方法には、多くの最新テクノロジーやアイデアがある。しかしわれわれの研究では、昔ながらのローテクな電話で患者の状態を尋ねることにより、転帰が改善する可能性が示された」と述べている。この研究の詳細は、「Journal of Cardiac Failure」に12月12日掲載された。

甘味料エリスリトールに心血管リスク、想定される機序は?

 人工甘味料は砂糖の代用として広く使用されているが、人工甘味料の摂取が2型糖尿病や心血管疾患と関連するという報告もある。米国・クリーブランドクリニック・ラーナー研究所のMarco Witkowski氏らは、アンターゲットメタボロミクス研究において、糖アルコールに分類される甘味料エリスリトール(多くの果物や野菜に少量含まれる)が3年間の主要心血管イベント(MACE:死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)の発生と関連していることを発見し、その後の米国および欧州の2つのコホートを用いた研究でも、その関連は再現された。また、エリスリトールはin vitroにおいて血小板反応性を亢進し、in vivoにおいて血栓形成を促進することを明らかにした。健康成人にエリスリトールを摂取させたところ、血小板反応性の亢進および血栓形成の促進についての閾値を大きく超える血漿中エリスリトール濃度の上昇が引き起こされた。Nature Medicine誌オンライン版2023年2月27日号の報告。

左房後壁は隔離すべきなのか?(解説:高月誠司氏)

発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションで確立された治療は電気的な肺静脈隔離術である。これは異論がない。ただし左心房と肺静脈は連続した組織であり、その境界を厳密に決めることは実は容易ではない。なるべく広範囲に肺静脈を隔離するということが大事なのだが、それは肺静脈内で焼灼すると肺静脈狭窄を起こす可能性があるのと、肺静脈と左房の接合部付近、前庭部と呼ばれる部分も十分に隔離するためでもある。

早期妊娠高血圧腎症予防のアスピリンを24~28週で中止、発生率は?/JAMA

 アスピリンは、早期妊娠高血圧腎症のリスクが高い妊婦においてその発生率を抑制するが、周産期出血のリスクを上昇させる可能性があるという。スペイン・バルセロナ自治大学のManel Mendoza氏らは、可溶性fms様チロシンキナーゼ1(sFlt-1)と胎盤増殖因子(PlGF)の比が正常な妊婦では、妊娠36週までアスピリンの投与を継続した場合と比較して、24~28週での投与中止は、早期妊娠高血圧腎症の発生に関して非劣性であり、出血性合併症は減少することを示した。研究の成果は、JAMA誌2023年2月21日号で報告された。

通院先の病院までの距離と下肢切断リスクが有意に関連

 末梢動脈疾患(PAD)で治療を受けている患者の自宅から病院までの距離と、下肢切断リスクとの関連を検討した結果が報告された。病院までの距離が長いほど切断リスクが高いという有意な関連が認められたという。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏らの研究によるもので、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に10月12日掲載された。  PADは心筋梗塞や脳卒中と並ぶ動脈硬化性疾患の一つ。下肢の疼痛や潰瘍などの主要原因であり、進行すると下肢切断を余儀なくされる。高齢化や糖尿病の増加などを背景に、国内でもPADが増加傾向にあるとされている。PADに対しては、動脈硬化リスク因子の管理に加えてフットケアなどの集学的な治療が行われるため、地域の中核病院への通院が必要なことが多い。一方でPADは高齢者に多い疾患であり、遠方の医療機関へのこまめな通院が困難なこともある。PAD以外の外科領域では、自宅から病院までの距離が疾患の転帰に影響を与える可能性を示唆する研究結果が報告されている。しかしPADに関するそのような視点での研究は少なく、特に日本発の報告は見られない。

心アミロイドーシス患者に、医療者と社会ができることは?

 ファイザーは、2023年2月28日の世界希少・難治性疾患の日に先立ち、「希少・難治性疾患の患者さんのEquity(公平)実現のために社会ができることとは?~心アミロイドーシス患者さんとご家族の歩み、専門医のお話からともに考える~」をテーマに2023年2月16日、メディアセミナーを開催した。  希少疾患は約7,000種類、世界中で約4億人の患者さんが存在し、そのうち80%は遺伝性とされている。現状の課題として、希少疾患に対する専門家や情報、治療の選択肢や患者さん向けのサポート等が不足しており、患者さんとその家族の生活の質に重大な影響が生じている。心アミロイドーシスも国の指定難病の1つであり、患者さんのEquity(公平)の実現が求められている。