皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:49

乾癬治療が血管炎症も改善?

 乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、血管炎症ならびに将来の心血管イベント増加との関連が知られている。一方、炎症はアテローム性動脈硬化の進展において重要である。米国・国立衛生研究所のAmit K. Dey氏らは、乾癬患者における皮膚の炎症の治療と血管性疾患の関連を検討する前向きコホート研究を行い、乾癬の皮膚重症度(PASIスコア)の改善が大動脈の炎症の改善と関連していることを明らかにした。とくにPASIスコアが75%以上改善した場合に、大動脈の炎症の改善がより大きいことが観察されたという。結果を踏まえて著者は、「皮膚など遠隔標的器官の炎症をコントロールすることで血管性疾患が改善するかもしれない」と述べ、無作為化臨床試験で今回の結果を確認する必要性を強調した。JAMA Cardiology誌オンライン版2017年5月31日号掲載の報告。

センチネルリンパ節転移陽性の悪性黒色腫に完全郭清は有効?/NEJM

 センチネルリンパ節転移陽性の悪性黒色腫患者において、ただちに完全リンパ節郭清を実施することで、局所の病勢コントロール率が上昇し予後に関する情報は得られたが、悪性黒色腫特異的生存期間は延長しなかった。米国・Saint John’s Health CenterのMark B. Faries氏らが、国際多施設共同第III相無作為化試験MSLT-II(the second Multicenter Selective Lymphadenectomy Trial)の結果を報告した。先行研究MSLT-Iでは、原発腫瘍の厚さが1.2~3.5mmのリンパ節転移陽性悪性黒色腫患者において、センチネルリンパ節生検は悪性黒色腫特異的生存期間、すなわち悪性黒色腫により死亡するまでの生存期間の延長につながることが示唆されたが、センチネルリンパ節転移を有する患者に対する完全リンパ節郭清の意義は明らかにされていなかった。NEJM誌2017年6月8日号掲載の報告。

MTXによる表皮壊死、初期徴候と予後因子は

 メトトレキサート(MTX)誘発性表皮壊死症(Methotrexate-induced epidermal necrosis:MEN)は、スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN)に類似した、まれな、しかし致命的な皮膚反応である。台湾・国立陽明大学のTing-Jui Chen氏らは、MENの臨床病理、リスク因子および予後因子について調査し、MENはSJS/TENとは異なる臨床病理的特徴を示すことを明らかにした。著者は、「ロイコボリンが有効な場合があるので、初期徴候と予後因子を認識しておくことが重要である」と述べたうえで、「MENのリスクを低下させるためには、高リスク患者へのMTX投与を避け、MTXの投与量は葉酸を併用しながら漸増していかなければならない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年5月10日号掲載の報告。

蜂窩織炎、ST合剤追加は必要か/JAMA

 単純性蜂窩織炎の抗菌薬治療では、セファレキシンにスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合薬(ST合剤)を併用しても、臨床的治癒率は改善しないことが、米国・オリーブ・ビューUCLA医療センターのGregory J. Moran氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年5月23日号に掲載された。米国では、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の出現に伴い、皮膚感染症による救急診療部への受診が増加しているという。排膿がみられない蜂窩織炎は、β溶血性レンサ球菌が主な病原菌と推定されるが、in vitroでMRSA活性を有する抗菌薬レジメンが、MRSA活性のない治療に比べ転帰の改善をもたらすかは不明とされる。

亜鉛欠乏症のあなどれない影響

 2017年4月26日、都内においてノーベルファーマ株式会社は、「見落とされがちな『亜鉛不足』の最新治療~日本初となる低亜鉛血症治療薬の登場~」と題してプレスセミナーを開催した。セミナーでは、2008年に承認された同社の酢酸亜鉛水和物(商品名:ノベルジン)が2017年3月に低亜鉛血症にも追加承認されたことから、小児に多い亜鉛欠乏症の概要を小児科専門医の視点から、そして、亜鉛が肝疾患に与える影響について消化器専門医の視点から講演が行われた。

歯科治療で突然のむくみ!? 「遺伝性血管性浮腫」の危険性と予防

 2017年5月10日、都内にて「遺伝性血管性浮腫」をテーマにプレスセミナーが開催された(主催:CSLベーリング株式会社)。本セミナーは、今年3月に同社のベリナートP静注用500(一般名:乾燥濃縮人C1-インアクチベーター、以下ベリナート)が、「侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制」に対する、適応追加承認を取得したことを受けて行われたものである。

アプレミラスト、156週以上投与の安全性を確認

 中等症~重症の尋常性乾癬および関節症性乾癬に対する経口PDE4阻害薬アプレミラスト(商品名:オテズラ)は、156週以上の長期投与においても安全性プロファイルは良好であり、忍容性も概して良好であることが示された。米国・Bakersfield DermatologyのJeffrey Crowley氏らが、アプレミラストの有効性および安全性を検証する海外第III相無作為化比較試験のESTEEM-1および2のプール解析を行い明らかにした。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年4月14日号掲載の報告。

発症メカニズムから考える乾癬の治療戦略

 2017年4月10日、メディアセミナー「乾癬治療における生物学的製剤の最新エビデンスと今後の展望~乾癬の発症機序から考える最新治療戦略~」が開催された(主催:アッヴィ合同会社)。本セミナーでは、演者である佐藤 伸一氏(東京大学大学院 医学系研究科 皮膚科学 教授)が、「乾癬治療における生物学的製剤治療の意義」と題した講演を行った。

ヒーローと悪役の皮膚描写、その違いが偏見を助長?

 映画では、ヒーローと悪役に二分した皮膚描写が、無声映画時代から用いられている。米国・テキサス大学医学部ガルベストン校のJulie A Croley氏らは、米国映画歴代トップ10のヒーローと悪役について調査し、両者の皮膚所見には有意な差があることを示した。著者は、「映画では、善悪の二分を強調するため悪役には皮膚描写が用いられているが、それは、社会において皮膚疾患患者に向けられる偏見を助長する可能性がある」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2017年4月5日号掲載の報告。