糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:104

TG低下療法によるCVイベント抑制作用が示される:REDUCE-IT/AHA

 スタチン服用下でトリグリセライド(TG)高値を呈する例への介入は、今日に至るまで、明確な心血管系(CV)イベント抑制作用を示せていない。そのような状況を一変させうるランダム化試験がREDUCE-IT試験である。その結果が、米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会の11月10日のLate Breaking Clinical Trialsセッションで報告された。精製イコサペンタエン酸エチル(EPA-E)を用いた服用で、プラセボに比べ、CVイベントリスクは、相対的に25%の有意減少を認めた。

CV高リスク・高LDL-C血症の日本人高齢者に対するLDL-C低下療法の有用性は?:EWTOPIA/AHA

 高齢の高コレステロール血症例を対象としたコレステロール低下療法のランダム化試験としては、“PROSPER”がよく知られている(Shepherd J, et al. Lancet. 2002;360:1623-1630.)。しかし同試験には多くの心血管系(CV)2次予防例が含まれており、さらに「82歳」という年齢上限も設けられていた。  そこで、わが国の高LDLコレステロール(LDL-C)血症を呈するCV1次予防高齢者を対象に、LDL-C低下療法の有用性が検討された。ランダム化試験“EWTOPIA75”である。その結果、エゼチミブを用いたLDL-C低下療法で、食事指導のみの対照群に比べ、「脳・心イベント」リスクは相対的に34%有意に低下した。米国・シカゴにて開催された米国心臓協会(AHA)学術集会の11月10日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて、大内 尉義氏(虎の門病院 院長)が報告した。

父親が高齢、早産児や妊娠糖尿病が増大/BMJ

 父親が高齢であることにより、母親の妊娠糖尿病とともに、子供の早産、低出生時体重などが増加することが、米国・スタンフォード大学のYash S. Khandwala氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年10月31日号に掲載された。米国では、父親の平均年齢が過去40年間上昇してきた。高齢の母親においては、不妊、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、帝王切開による分娩に関して広範囲の調査が行われているが、出生時のアウトカムに及ぼす高齢の父親の影響はほとんど知られていないという。最近の研究では、高齢男性の精子におけるエピジェネティックな変化が、胎盤や胚の発育に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。

CV高リスク2型DMへのSGLT2iのCV死・MI・脳卒中はプラセボに非劣性:DECLARE-TIMI58/AHA

 先ごろ改訂された米国糖尿病学会・欧州糖尿病学会ガイドラインにおいてSGLT2阻害薬は、心血管系(CV)疾患既往を有する2型糖尿病(DM)例への第1選択薬の1つとされている。これはEMPA-REG OUTCOME、CANVAS programという2つのランダム化試験に基づく推奨だが、今回、新たなエビデンスが加わった。米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会の10日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて発表された、DECLARE-TIMI 58試験である。SGLT2阻害薬は、CV高リスク2型DM例のCVイベント抑制に関しプラセボに非劣性であり(優越性は認めず)、CV死亡・心不全(HF)入院は有意に抑制した。Stephen D. Wiviott氏(Brigham and Women’s Hospital、米国)が報告した。

益と害を見極めてポリファーマシーを解消させる

 超高齢化社会に伴い多剤併用が問題視されているが、果たして何が原因なのだろうか。2018年11月6日にMSD株式会社が主催する「高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)に関する実態と不眠症治療の課題」について、秋下 雅弘氏(東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授)と池上 あずさ氏(くわみず病院院長)が登壇し、ポリファーマシーの原因と不眠症治療のあり方について語った。  多剤服用でも、とくに害をなすものをポリファーマシーと呼ぶ。そして、薬物有害事象、アドヒアランス不良など多剤に伴う諸問題だけを指すのではなく、不要な処方、過量・重複投与などあらゆる不適正処方を含む概念に発展している。

潜在性甲状腺機能低下症への対応はいかにあるべきか(解説:吉岡成人氏)-943

血中サイロキシン(T4)あるいは遊離サイロキシン(FT4)値が基準範囲にありながらも、血中TSHのみが基準値上限を超えて高値を示している場合が潜在性甲状腺機能低下症である。潜在性甲状腺機能低下症では、倦怠感などの自覚症状のほかにも、脂質代謝への悪影響、動脈硬化の進展、心機能の低下、妊婦においては流・早産の増加、児の精神発育遅延などがあるため、TSHが10μU/mLを超える場合には甲状腺ホルモンを補充することが多い。65歳以上の高齢潜在性甲状腺機能低下症患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、平均年齢74.4歳の潜在性甲状腺機能低下症患者に甲状腺ホルモンを投与しても、甲状腺機能低下症の症状や甲状腺関連QOLに関した質問票の疲労感のスコアには差を認めないという結論が示されている。

50歳以上で増加の加齢黄斑変性、最新レジメンが患者と介助者を救う

 失明の原因第4位である加齢黄斑変性(AMD)。日本人の場合、50歳以上の男性の有病率が高く、なかでもリスクの高い滲出型になりやすいとの報告がある。2018年10月16日にバイエル薬品が主催するプレスセミナー「中途失明を引き起こす疾患・滲出型加齢黄斑変性治療の新しいあり方~日本人患者さんにおける最新エビデンスより~」が開催され、高橋 寛ニ氏(関西医科大学眼科教室主任教授)と塙本 宰氏(小沢眼科内科病院)が登壇し、新たな治療レジメンと地方における治療継続の是非を語った。

抗肥満薬であるlorcaserinは日本でも使用できるのだろうか(解説:吉岡成人氏)-942

肥満治療の基本は、食事療法と運動療法であり、非薬物療法を3ヵ月をめどに行ったうえでも、改善が認められない場合に薬物治療が考慮される。しかし、日本で使用が可能な薬剤はマジンドールしかない。米国では、膵リパーゼ阻害薬で腸管からの脂肪吸収を抑制する作用を持ったorlistatも発売されているが、日本での発売の予定はない。脳内で摂食亢進や快楽・報酬系に作動するカンナビノイド受容体の拮抗薬であるrimonabantは、自殺企図を含む重篤な精神疾患を引き起こすことから2008年に開発が中止となっている。また、ノルアドレナリンとセロトニンの再吸収取り込み阻害薬であるsibutramineは、血圧の上昇や心筋梗塞、脳卒中のリスク増加のため2010年に欧米の市場から撤退している。このように、抗肥満薬は開発・中断を繰り返しており、臨床の現場で応用されることがきわめて難しい薬剤となっている。

エンパグリフロジン、心血管疾患を有する2型糖尿病患者の生存期間延長の可能性

 ドイツ・ベーリンガーインゲルハイムと米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPA-REG OUTCOME試験のデータから、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者に対するエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)による治療が、平均生存期間の延長に寄与する可能性が示されたことを発表した。この結果はCirculation誌2018年10月9日号に掲載された。  EMPA-REG OUTCOME試験は、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジン群とプラセボ群を比較した試験。本試験で明らかとなった有益な影響が、エンパグリフロジンをさらに長期間使用した場合にも継続すると仮定し、生命保険数理法を用いて解析したところ、エンパグリフロジン投与群はプラセボ投与群よりも平均推定生存期間が1~4.5年(年齢により異なる)長くなることが示された。この解析から、エンパグリフロジン投与により生存期間延長の可能性が示唆された。

あの道端アンジェリカも、乾癬は自分だけと思い込む

 10月29日の世界乾癬デーは、乾癬に対する意識向上や症状で悩んでいる患者の治療アクセス改善、周囲の理解などを目指し、2004年の制定後から毎年世界中でイベントが開催されている。これに先駆け10月24日に、日本乾癬患者連合会、日本乾癬学会と製薬会社9社が共催でメディア・イベントを開催。第一部では乾癬患者への支援について、江藤 隆史氏(日本乾癬学会評議員/東京逓信病院皮膚科部長)と患者会の代表らがトークセッションを繰り広げた。第ニ部では乾癬患者の1人であるモデルの道端 アンジェリカさんが、乾癬患者さんにお薦めのファッションとメイクを紹介した。