新たに診断された2型糖尿病患者における心血管疾患(CVD)の10年間のリスクを一般集団と比較した結果、2型糖尿病患者では年齢や性別にかかわらずCVDリスクが有意に高く、CVDイベントの発生が12年早まっていたことを、デンマーク・オーフス大学病院のChristine Gyldenkerne氏らが明らかにした。Journal of the American College of Cardiology誌2023年10月17日号掲載の報告。
糖尿病とCVDリスクとの関連についてはすでに豊富なエビデンスがあるが、研究グループは新たに2型糖尿病と診断された患者のCVDリスクに関する最新データは適切な予防管理に必要と考え、性別および年齢別の10年CVDリスクを一般集団と比較したコホート研究を実施した。
対象は2006~13年にデンマークで新たに2型糖尿病と診断された全患者14万2,587例と、性別・年齢をマッチさせた一般集団38万8,410例で、10年間のCVD(心筋梗塞、脳卒中、致死的CVD)リスクを推定した。全例がベースライン時にアテローム動脈硬化性心血管疾患を有していなかった。
主な結果は以下のとおり。
・10年間の追跡で合計5万2,471件のCVDイベントが記録された。
・一般集団と比較して、2型糖尿病群の10年CVDリスクは男女ともにすべての年齢層で高かった。
・40~49歳ではイベントリスク差が最も大きかった(2型糖尿病群6.1% vs.一般集団3.3%、リスク差:2.8%、部分分布ハザード比:1.91、95%信頼区間:1.76~2.07)。
・一般集団の男性の10年CVDリスクが5%となったのは55歳であったのに対し、2型糖尿病群の男性では12年早い43歳であった。
・女性では、一般集団は61歳で5%に達したのに対し、2型糖尿病群では10年早い51歳であった。
これらの結果より、研究グループは「われわれのデータは、新たに2型糖尿病と診断された患者はすべてCVDリスクが高いと考えるべきであることを示している。CVDリスクを低減させるために予防的介入を強化することを考慮すべきである」とまとめた。
(ケアネット 森 幸子)