糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:89

インスリン療法開始時の選択肢にも有用ーゾルトファイ配合注

 インスリン療法時の低血糖回避が血糖コントロール不良を招き、心疾患の発症に影響を及ぼすことがある。このようなジレンマを新たな薬剤が解決してくれるかもしれない-。  2019年9月26日、ノボノルディスクファーマがゾルトファイ配合注フレックスタッチの発売を記念してプレスセミナーを開催。綿田 裕孝氏(順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学 教授)が「インスリン デグルデク/リラグルチド(IDegLira):2型糖尿病治療の新たな選択肢」と題して、新薬の有用性について語った。

EF低下心不全へのダパグリフロジン、心不全増悪・心血管死リスク大幅減/NEJM

 駆出率(EF)が低下した心不全患者に対し、標準治療に加えたSGLT2阻害薬ダパグリフロジンの投与は、糖尿病の有無にかかわらず、心不全増悪および心血管死のリスクを有意に低下することが示された。英国・グラスゴー大学のJohn J. V. McMurray氏らが、 4,744例の患者を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化試験で明らかにした。2型糖尿病(DM)患者では、SGLT2阻害薬が心不全の初発入院リスクを低下することが示されている。その機序はグルコースとは独立していると考えられており、研究グループは、2型DMの有無を問わず、EF低下心不全患者におけるSGLT2阻害薬の作用に関するデータを集めるため本試験を行った。NEJM誌オンライン版2019年9月19日号掲載の報告。

CKD治療抵抗性高血圧症、patiromer併用でスピロノラクトン服薬率上昇/Lancet

 治療抵抗性高血圧症の慢性腎臓病(CKD)患者に対し、カリウム吸着薬patiromerを用いることで、より多くの患者が高カリウム血症を呈することなくスピロノラクトンによる治療が継続可能なことが示された。米国・インディアナ大学のRajiv Agarwal氏らが、10ヵ国62外来医療センターを通じて行った第II相の国際多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。スピロノラクトンは、治療抵抗性高血圧症で血圧コントロール不良の患者において、降圧効果があることが示されている。しかし、CKDが併存する患者では高カリウム血症を呈することからスピロノラクトンの使用は制限される場合があることが課題となっていた。Lancet誌オンライン版2019年9月15日号掲載の報告。

適切な治療法を届けたい、「バセドウ病治療ガイドライン2019」

 バセドウ病は1,000~2,000人に1人に発症する疾患であり、日常診療において遭遇率の高い疾患の1つである。なかでも、若い女性では約300人に1人が罹患しているとされ、妊娠中の検査で判明することも少なくない。  2019年5月、日本甲状腺学会によるバセドウ病治療ガイドラインが8年ぶりに改訂。本書は専門医だけではなく非専門医やそのほか医療者のバイブルになることを目的として作成されていることから、吉村 弘氏(伊藤病院/バセドウ病治療ガイドライン作成委員会委員長)に一般内科医にも知ってもらいたい改訂ポイントや「バセドウ病治療ガイドライン2019」の特徴について聞いた。

糖尿病と食道腺がんリスク(プール解析)/Cancer

 糖尿病とさまざまながんの関係が研究されているが、食道/食道胃接合部の腫瘍との関係は明らかになっていない。米国国立がん研究所(NCI)のJessica L. Petrick氏らは、2,309例の食道腺がん(EA)、1,938例の食道胃接合部腺がん(EGJA)、1,728例のバレット食道(BE)、および1万6,354例の対照を含む、国際バレットおよび食道腺がんコンソーシアム(International Barrett's and Esophageal Adenocarcinoma Consortium:BEACON)の13の研究データを統合し、糖尿病とEA、EGJA、BEの関連についての研究固有のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を、ロジスティック回帰を用いて推定した。Cancer誌オンライン版2019年9月6日号掲載の報告。

低LDL-C・SBP値に関連の遺伝子変異体、CVリスクを減少/JAMA

 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値・収縮期血圧(SBP)値の低下に関連する遺伝子変異体を有する人は、心血管リスクが有意に低いことを、英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らが、約44万人のバイオバンク登録者を追跡し明らかにした。これまで、LDL-C値とSBP値がより低いことと心血管疾患リスクとの関連は完全には定量化されていなかった。JAMA誌オンライン版2019年9月2日号掲載の報告。  研究グループは、2006~10年に英国バイオバンクに登録した43万8,952例について、2018年まで追跡調査を行った。被験者を、遺伝的LDL-Cスコアと遺伝的SBPスコアにより、それぞれの中央値以下・超で4群に分け、両スコアともに中央値以下の群を基準群とした。

PCI後の糖尿病合併安定CAD、チカグレロル追加が有望/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた糖尿病を伴う安定冠動脈疾患の治療では、チカグレロル+アスピリンはプラセボ+アスピリンに比べ、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合の発生を有意に抑制する一方で、大出血を増加させるものの、良好なネット臨床ベネフィット(net clinical benefit)をもたらすことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らが行ったTHEMIS-PCI試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年9月1日号に掲載された。PCIを受けた糖尿病合併安定冠動脈疾患患者は虚血性イベントのリスクが高く、とくにステント留置術を受けた患者のリスクは高いという。THEMIS-PCI試験は、THEMIS試験に参加した患者のうちPCIを受けた患者を対象とするサブスタディである。

多価不飽和脂肪酸に糖尿病の予防効果はあるか?(解説:小川大輔氏)-1115

多価不飽和脂肪酸にはオメガ3脂肪酸(魚油に多く含まれるドコサヘキサエン酸やエイコサペンタエン酸、また植物油に含まれるαリノレン酸など)とオメガ6脂肪酸(リノール酸、アラキドン酸など)が含まれる。PUFAには中性脂肪を低下する効果があることが知られている。一方、糖代謝や糖尿病の発症を防止する効果については有効と無効のどちらの報告もあり、一定の見解が得られていない。今回著者らはシステマティックレビューの研究を検索し、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、総PUFAの増加と2型糖尿病の予防および治療に対する効果をメタ解析により検討した。

うつ病と糖尿病合併に関する調査結果

 うつ病と糖尿病合併との関連を明らかにするため、オーストリア・ウィーン医科大学のGernot Fugger氏ら欧州リサーチコンソーシアムの治療抵抗性うつ病研究グループ(GSRD)は、多施設共同研究を実施した。Progress in Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry誌2019年8月30日号の報告。  DSM-IVでうつ病と診断された患者1,410例の2012~16年の人口統計および臨床情報を、横断的に検索した。糖尿病合併の有無により患者特性の比較には、記述統計、共分散分析(ANCOVA)、二項ロジスティック回帰分析を用いた。

甲状腺機能低下症、TSH値と死亡率の関連は?/BMJ

 甲状腺機能低下症と診断された患者において、甲状腺刺激ホルモン(TSH)値が推奨される正常範囲内の場合は、長期的な健康アウトカム(全死因死亡、心房細動、虚血性心疾患、心不全、脳卒中/一過性脳虚血発作、骨折)で臨床的に意味のある差を示唆するエビデンスは確認されなかった。一方、TSH値が推奨範囲を外れる場合、とくに基準値上限を超える場合に、有害な健康アウトカムが確認されたという。英国・バーミンガム大学のRasiah Thayakaran氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。甲状腺ホルモン補充療法においてTSH値に特定の最適目標はなく、正常範囲内でのTSH値の違いが、患者のアウトカムに大きな影響を与えるかどうかについては、これまで不明であった。BMJ誌2019年9月3日号掲載の報告。