糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:86

低LDLや低収縮期血圧と関連するgenetic variantsは生涯にわたる冠動脈疾患の低リスクと関連(解説:石川讓治氏)-1133

高LDL血症および高血圧は冠動脈疾患の確立された危険因子である。本研究では、英国のバイオバンクに登録された43万8,952人の対象者のデータを用いて、低LDLコレステロール血症と関連するgenetic variantsが多い対象者と低収縮期血圧と関連するgenetic variantsが多い対象者を評価し、これらのgenetic variantsが、独立して、相加的に冠動脈疾患発症リスク低値と関連していたことを報告していた。これらのgenetic variantsの数が増えるにつれて連続的に冠動脈疾患発症リスクは低くなっていた。同様の関連は虚血性脳梗塞においても認められていた。

「酸化コレステロール」を含んだ食品は食べないのが一番/日本動脈硬化学会

 メタボリックシンドロームにしばしば合併する脂肪肝だが、実は動脈硬化リスクも伴う。自覚症状に乏しいことから、一般メディアでは“隠れ脂肪肝”などと呼ばれ、患者から質問されることも珍しくない。しかし、脂肪肝だからと言って、ただ“脂モノ”を控えるという対処は正しくないという。  先日、日本動脈硬化学会(理事長:山下 静也)が開催したセミナーにて、動脈硬化と関連の深い「脂肪肝/脂肪肝炎」と「酸化コレステロール」について、2人の専門医が解説した。

80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症、レボチロキシンの効果は?/JAMA

 80歳以上の潜在性甲状腺機能低下症患者の治療において、レボチロキシンはプラセボに比べ、関連症状や疲労を改善しないことが、オランダ・ライデン大学医療センターのSimon P. Mooijaart氏らが行った2つの臨床試験の統合解析で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2019年10月30日号に掲載された。潜在性甲状腺機能低下症(サイロトロピン[甲状腺刺激ホルモン:TSH]上昇、遊離サイロキシン[FT4]正常範囲)は、便秘、精神機能低下、疲労、うつ症状などがみられ、心血管疾患リスクの上昇との関連が指摘されている。また、加齢に伴い併存疾患やフレイルが増加するため、80歳以上の患者は、疾患管理による有益性と有害性が、若年患者とは異なる可能性がある。一方、現時点で高齢患者のエビデンスはなく、プライマリケア医による治療においてばらつきの原因となっている可能性があるという。

高血圧の第1選択薬、単剤での有効性を比較/Lancet

 降圧治療の単剤療法を開始する際、サイアザイド(THZ)系/THZ系類似利尿薬はACE阻害薬に比べて優れており、非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬は、その他の第1選択薬4クラスの降圧薬に比べ有効性が劣ることが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMarc A. Suchard氏らが行った系統的な国際的大規模解析の結果、示された。残余交絡や出版バイアスなども補正した包括的フレームワークを開発し、米国、日本、韓国などの490万例の患者データを解析して明らかにしたもので、その他の第1選択薬については、現行ガイドラインに合わせて降圧治療の単剤療法を開始した場合の有効性は同等であったという。高血圧に対する至適な単剤療法については曖昧なままで、ガイドラインでは、並存疾患がない場合はあらゆる主要な薬剤を第1選択薬に推奨されている。この選択肢について無作為化試験では精錬がされていなかった。Lancet誌オンライン版2019年10月24日号掲載の報告。

アルドステロン拮抗薬の死角を制する!(解説:石上友章氏)-1130

腎ネフロンは、高度に分化した組織であり、ヒトの水・電解質の恒常性の維持に重要な働きをしている。ナトリウムの出納についての恒常性の維持機構が発達しており、尿細管の各セグメントごとに、特徴的なナトリウムトランスポーターが発現している。ナトリウムイオンは、原尿中にろ過されたのち、各セグメントのナトリウムトランスポーターにより再吸収される。NHE1(Sodiumu-Hydrogen-Exchanger)は、近位尿細管のapical membrane(頂端側)に発現し、Naイオンと、Hイオンの交換に関与している。ヘンレのループ(loop of Henle)には、NKCC:Na+-Cl--K+共輸送体が発現しており、ループ利尿薬であるフロセミドが特異的な阻害薬である。遠位尿細管の近位部(proximal DCT)には、サイアザイド感受性NCCT:Na+-Cl-共輸送体が、そして遠位部では、上皮性ナトリウムチャネル(ENaC)が、ナトリウムイオンの再吸収を行っている。

スタチンと認知症リスク~900万人超のメタ解析

 認知症リスク低下に対するスタチンの影響については、これまで10年間にわたり議論の対象となってきたが、決定的なエビデンスは存在しない。台湾・台北医科大学のTahmina Nasrin Poly氏らは、スタチン療法と認知症リスクとの関連性を定量化するため、これに関連する観察研究のメタ解析を実施した。Neuroepidemiology誌オンライン版2019年10月1日号の報告。  2000年1月~2018年3月までに公表された関連研究を、EMBASE、Google、Google Scholar、PubMed、Scopus、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。2人の研究者により、研究の選択、データの抽出化、バイアスリスクの評価が行われた。次に、選択した研究からデータを抽出し、変量効果モデルを用いて観察研究のメタ解析を行った。サブグループ解析および感度分析も併せて実施した。

国内初の白内障3焦点眼内レンズ、生活の質向上に寄与

 日本アルコン株式会社(以下、日本アルコン)は10月25日、国内初承認の白内障治療向け老視矯正3焦点眼内レンズPanOptix®を発売。これは既存の多焦点眼内レンズ(2焦点)の見え方に中間距離での見やすさを加えたレンズで、“若い頃のような自然な見え方を追求したい”患者に対し、新たな選択肢となるよう開発された。  この発売に先駆け、日本アルコンは2019年10月17日にプレスセミナーを開催。ビッセン 宮島 弘子氏(東京歯科大学水道橋病院眼科 教授)が「最新白内障治療と適切な眼内レンズ選択のためのポイント」について解説した。

家族性高コレステロール血症患児へのスタチン、成人期の心血管リスク低減/NEJM

 小児期にスタチン治療を開始した家族性高コレステロール血症患者は、成人期の頸動脈内膜中膜肥厚の進行が抑制され、心血管疾患のリスクが低減することが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのIlse K. Luirink氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2019年10月17日号に掲載された。家族性高コレステロール血症は、LDLコレステロール値の著しい増加と心血管疾患の早期発症を特徴とする。小児へのスタチン治療の短期的効果は確立されているが、心血管疾患リスクの変動を評価した長期的な追跡研究は少ないという。

SGLT2阻害薬は糖尿病薬から心不全治療薬に進化した(解説:絹川弘一郎氏)-1125

ESC2019にはPARAGON-HF目当てで参加を決めていたが、直前になってDAPA-HFの結果が同じ日に発表され、パリまでの旅費もむしろ安いくらいの気持ちになった。もう少し時間がかかると思っていたのでESCでの発表は若干驚きであったが、プレスリリースで聞こえてきたprimary endpoint達成ということ自体は想定内であったので、焦点は非糖尿病患者での振る舞い一点といってもよかった。なぜ、HFrEFに有効であることに驚きがなかったか、それはDECLAREのACC.19で発表された2つのサブ解析による。1つが陳旧性心筋梗塞の有無による層別化、もう1つがHFrEF/HF w/o known EF/no history of HFの3群間の比較である。ともに心血管死亡と心不全再入院というDECLAREのco-primary endpointに対する解析である。陳旧性心筋梗塞を有する群で明らかに早期からイベント抑制効果が認められ、EMPA-REG OUTCOMEやCANVASで心血管疾患の既往を有する患者で知られてきたSGLT2阻害薬の心不全予防効果が投与早期から現れるということは、言い換えると大半が虚血性心疾患であり、そしてそれは陳旧性心筋梗塞の患者であるということである。

1型DMにはクローズドループシステムが有用/NEJM

 1型糖尿病患者において、クローズドループ型インスリン注入システム(人工膵島)の利用は、リアルタイム持続血糖モニター(CGM)機能付きインスリンポンプ(CSII)の利用と比較して、血糖値が目標範囲内であった時間の割合を増加させることを、米国・バージニア大学のSue A. Brown氏らが、6ヵ月間の多施設共同無作為化試験「International Diabetes Closed Loop trial:iDCL試験」で明らかにした。クローズドループ型インスリン注入システムは、1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善する可能性があり、これまでのメタ解析ではその有効性が示されていた。NEJM誌オンライン版2019年10月16日号掲載の報告。