消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

蒸留酒、ワイン、ビール、最も悪い生活習慣に関係するのはどれ?

 好きな酒の種類が、その人の生活習慣を知る手がかりになる可能性を示す研究結果が報告された。ビール好きの人は、ワインや蒸留酒などを好む人と比べて不健康な生活習慣を送っている人が多いことが明らかになったという。米テュレーン大学医学部研修医プログラムのMadeline Novack氏らによるこの研究結果は、米国肝臓学会議年次学術集会(AASLD 2024、11月15~19日、米サンディエゴ)で発表され、「Nutrients」に11月13日掲載された。  Novack氏は、「米国では、アルコールの過剰摂取が肝硬変の主な要因となっている。また、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)も急増している」と話す。同氏はまた、「これらの肝疾患は併存することも多く、管理や予防には生活習慣の改善が重要だ。そのためには、飲酒と栄養不良の関係について理解することから始める必要がある」とAASLDのニュースリリースの中で述べている。

医師の「スーツ」事情、所持数や予算は?/医師1,000人アンケート

 ビジネスパーソンにとってユニフォーム的な存在である「スーツ」。一方、医師の仕事着といえば白衣のイメージがあるが、実際には勤務中に何を着ているのか?スーツを着る機会はいつなのか? ケアネット会員の男性医師を対象に、仕事中の服装やスーツの所有状況などについてアンケート形式で聞いた。

便失禁を起こしやすい患者とは?便失禁診療ガイドライン改訂

 日本大腸肛門病学会が編集を手掛けた『便失禁診療ガイドライン2024年版改訂第2版』が2024年10月31日に発刊された。2017年に発刊された初版から7年ぶりの改訂となる。今回、便失禁の定義や病態、診断・評価法、初期治療から専門的治療に至るまでの基本的知識がアップデートされ、新たに失禁関連皮膚炎や出産後患者に関する記載が拡充された。また、治療法選択や専門施設との連携のタイミングなど、判断に迷うテーマについてはClinical Question(CQ)で推奨を示し、すべての医療職にとっての指針となるように作成されている。

HBV母子感染予防、出生時HBIG非投与でもテノホビル早期開始が有効か/JAMA

 B型肝炎ウイルス(HBV)の母子感染は新規感染の主要な経路であり、標準治療として母親への妊娠28週目からのテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)投与開始と、新生児への出生時のHBVワクチン接種およびHBV免疫グロブリン(HBIG)投与が行われるが、医療資源が限られた地域ではHBIGの入手が困難だという。中国・広州医科大学のCalvin Q. Pan氏らは、妊娠16週からのTDF投与とHBVワクチン接種(HBIG非投与)は標準治療に対し、母子感染に関して非劣性であることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年11月14日号で報告された。

酒で赤くなる人は睡眠満足度が低い?

 飲酒後に顔や首が赤くなる症状はアジアンフラッシュとして知られ、東アジア人の約36%がアジアンフラッシュの特徴を持っている。アジアンフラッシュに関連する遺伝的因子は睡眠時間と逆相関することが報告されているが、アジアンフラッシュと睡眠満足度との関連を報告した研究はない。今回、大阪健康安全基盤研究所の清水 悠路氏らがインターネット調査による横断研究で検討したところ、アルコール曝露に対する身体的反応の遺伝的特徴が睡眠の質にも影響を及ぼす可能性が示唆された。Medical Science誌2024年11月8日号に掲載。

手術ロボットが動画で手術手順を学習

 ロボットが初めて、経験豊富な外科医による手術動画を見て学習し、その手術手技を人間の医師と同じくらい巧みに実行できたとする研究結果が、米ジョンズ・ホプキンス大学のAxel Krieger氏らにより報告された。研究グループは、「このような模倣学習を利用して手術ロボットをトレーニングすることにより、手術中に必要な手技を逐一プログラムする必要がなくなり、ロボットが人間の手助けなしで複雑な手術を行えるようになることが期待される」と述べている。この研究結果は、ロボット学習学会(CoRL 2024、11月6〜9日、ドイツ・ミュンヘン)で発表された。

セマグルチド2.4mg、MASHで有意な改善示す(ESSENCE)/ノボ ノルディスク

 GLP-1受容体作動薬のセマグルチドは代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に有益であることが実証されているが、主要評価項目を「肝線維化の悪化を伴わないMASHの消失」「MASHの悪化を伴わない肝線維化の改善」とする第III相ESSENCE試験1)のPart Iで得られた結果がAASLD 2024 The Liver Meeting(米国肝臓学会議)において発表された。  

果物が大腸がんリスクを抑える~メンデルランダム化解析

 食物摂取とがん発症リスクに関する研究は多くあるが、観察研究は交絡因子の影響を受けやすく、因果関係の解釈が難しい場合がある。遺伝的変異を環境要因の代理変数として使用し、交絡バイアスを最小限に抑えるメンデルランダム化(MR)アプローチによって食事摂取と大腸がんリスクとの関連を評価した研究が発表された。韓国・ソウル大学のTung Hoang氏らによる本研究は、BMC Cancer誌2024年9月17日号に掲載された。  本研究では、UKバイオバンクの大規模データを活用し、赤肉、加工肉、家禽、魚、牛乳、チーズ、果物、野菜、コーヒー、紅茶、アルコールといった食品の消費に関連する遺伝的変異を特定した。具体的には9,300万以上の遺伝的変異から399の変異を選び出し、これをもとに食事摂取量に関連する遺伝的リスクスコアを構築した。MR解析では、この遺伝的リスクスコアを利用して、食品摂取と大腸がんリスクとの因果関係を推定した。また、観察解析としてCox比例ハザードモデルを用い、実際の食品摂取量と大腸がんリスクとの関連も評価した。

免疫療法を受けるがん患者は乾癬に注意

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療を受けるがん患者は、ICI以外(化学療法または分子標的薬)による治療を受けているがん患者と比較して、乾癬のリスクが高いことが、台湾・国防医学院のSheng-Yin To氏らによる全国規模のコホート研究で示された。ICIによる免疫療法は画期的ながん治療として認知されているが、自己免疫疾患の発症などの免疫関連有害事象に関する懸念も存在する。著者は、「今回の結果は、最適ながん治療を確実に行えるように、臨床医と患者は免疫療法に伴う乾癬のリスク上昇を認識しておくべきことの重要性を強調するものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年11月6日号掲載の報告。

オメガ3・6脂肪酸の摂取はがん予防に有効か

 多価不飽和脂肪酸(PUFA)のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の血中濃度は、がんの発症リスクと関連していることが、新たな研究で示唆された。オメガ3脂肪酸の血中濃度が高いことは、結腸がん、胃がん、肺がん、肝胆道がんの4種類のがんリスクの低下と関連し、オメガ6脂肪酸の血中濃度が高いことは、結腸がん、脳、メラノーマ、膀胱がんなど13種類のがんリスクの低下と関連することが明らかになったという。米ジョージア大学公衆衛生学部のYuchen Zhang氏らによるこの研究の詳細は、「International Journal of Cancer」に10月17日掲載された。Zhang氏は、「これらの結果は、平均的な人が食事からこれらのPUFAの摂取量を増やすことに重点を置くべきことを示唆している」と述べている。