ハイパーサーミア診療ガイドラインで各がん種の治療推奨度を明確に
『ハイパーサーミア診療ガイドライン』の初版が発刊された。今回、ガイドライン作成委員会委員長の高橋 健夫氏(埼玉医科大学総合医療センター放射線腫瘍科)に実臨床におけるハイパーサーミアの使用経験や推奨されるがん種などについて話を聞いた。
ハイパーサーミアとは39~45℃の熱を用いた温熱療法のことで、主に放射線治療や化学療法の治療効果を高める目的で用いられている。その歴史は意外にも古く、1980年代に放射線治療の補助療法として導入、1990年代には電磁波温熱療法として保険収載され、その臨床実績は30年以上に及ぶ。本治療は、生体では腫瘍のほうが正常組織よりも温度上昇しやすい点を応用した“43℃以上での直接的な殺細胞効果”が報告されているほか、抗がん剤の細胞膜の透過性亢進、熱ショックタンパク質を介した免疫賦活などの生物学的なメリットなどが示されている。しかし、どのような患者に優先的に勧めるべきか明確に示した指針は認められない、実施可能施設の少なさ、専門的な知識や経験を有するハイパーサーミア治療医が限れているなどの点から認知度がまだまだ低い治療法である。そこで日本ハイパーサーミア学会では2017年にガイドライン作成委員会が発足し、約7年の時を経てガイドラインの発刊に至った。